未完成―夢の終着点 つね様


夢の終着点〜現実と夢の狭間から〜








思い出が色彩を失い、景色がフェードアウトしていく。

…また、今日も…

再びその色が戻った時、僕の心は落胆と諦めの気持ちの中へ落ちる。

…また今日もここか…

夢の終着点は決まっていた。

一人分のベッド、そこに横たわる少女、

その姿を見下ろす僕…

西野ではない女性の姿を、二人きりの部屋で…











目覚めは落ち着いていた。

寝起きの倦怠感はどうにもならないことだったが、どうということもない。

「あの」夢を見たからといって、今更何も思わない。

それはいつものことだ。

もう何度も見た過去の夢。
初めの頃は慌てて跳び起きたり、どうしようもない無力感に苛まれていたが、もうこの夢にもすっかり慣れてしまった。

もう二度と見たくないと、そう願えば苦しかったが、この夢を見なくなることなどないのだと諦めてしまえば苦痛は和らいだ。

今の僕は自分をおとしめることで自分の存在を保っていた。

不安定な自分の存在を、希望も見えない暗闇に落とすことによって…









しかしながら、今日はいつもと違っていた。

何が違うのか、それが分からずに軽く苛立ちを覚える。

ベッドの上で上体だけを起こし、カーテンを開ける。

差し込む光の眩しさに目を細める。

就職してからは休日は家にこもって過ごしていた僕。

今日は窓の外がやけに輝いて見えた。







―ああ、そうか。



――僕は期待しているんだ。



―――何かをそこに…






それがすべてだった。

本能が呼びかけたのか、理性が呼びかけたのか、

それがどちらなのか分からないが、先ほどの苛立ちの原因はすべてそこに起因していた。





―――僕は変化を望んでいる。



――――変わることを…






――そんなことをしても何も変わらない。

後ろ向きな自分のそんな訴えを無視し、僕はシャワーを浴びて外への扉を開けた。

いつもの自分が耳元でささやく。





――今更何が変わるっていうんだ。



――お前の人生はもう終わっている。夢の終着点である、あの日に、とっくに。




僕は「それ」を無視する。




歩き続ける僕。やがて変化が訪れた。




―――こんな生き方は、もうたくさんだ。


―――いいことなんてありゃしない。




僕が、「それ」に反発した。




――…


―――……


――――………勝手にしろ。俺は知らない。








―――ああ、消えてくれ。もう二度と出てくれるな。








やっと受け入れられた。






やっと認められた。







僕は過去を受け入れ、






前に進むことを選んだ。




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