even if you...2 - つね  様


『告白』









「…平。淳平!」


「ぅ…ん、あと5分だけ…」


「何言ってんの!今日は登校日でしょ!」
(……え、…)


目を開け時計を見ると時計の針は8時半を指している。



「うああああっ!!何でもっと早く起こしてくれないんだよ!」


「何度も起こしたわよ。その度に『あと5分』って言ってたじゃない」


「やばい!絶対遅刻だよ」


淳平の高校は一応進学校であり、夏休みには何回か補習授業があるのだ。淳平は急いで着替えを済ませ、走って家を出た。









ガララララ
教室のドアを開けると授業の真っ最中だった
「すみません。遅れ…」
バシィッ



チョークが淳平の頭をかすめ、壁に当たって粉々になった。


淳平は驚きと恐ろしさのあまり、動けなくなった。


「私の授業に遅れるとはいい度胸だ。そんなに私の授業が嫌いか?」
そういう黒川先生の顔は引きつっていて、上まぶたがピクピクと震えている


「いえ…、すみません…」


(この先生、ホント無茶苦茶だよ…)


淳平はなるべく先生の怒りを買わないように静かに席についた






授業が終わると、外村が話しかけてきた


「最初の補習から遅刻かよ、真中。お前時間通り来たことあったっけ?」


「きょ、今日は忘れてたんだよ」


「ふーん。それでさ、話変わるけど、今日授業終わったら集まろうぜ。」


「編集のほう大分出来てんだ。」


「そうなのか。珍しいじゃんお前からやろうなんて」


「まあな。もう最後だし、今回のはかなりいい作品になりそうだからな。」


「あぁ、文化祭のためにも早めに準備しなきゃな。」











そして、放課後…
久しぶりに映研のメンバーが集合した。


もちろんそこには東城とさつきもいた。


そのとき淳平は自分の気持ちを確認した。


そのふたりにはもう未練は無いこと、そして今一番好きなのは誰かということを。



淳平は一週間前につかさに告白することを決意した。



淳平は合宿が終わった頃から自分が誰を好きなのかということを真剣に考え始めていた。


何度も、何度も考えてみたが、いつも一番頭に浮かぶのはつかさだった。



綾とさつきにはすでにつかさに言うことは伝えており、二人とも始めは悲しい顔をしたが、結局は応援してくれた。











部活が終わると淳平はバイトへと向かった。


バイト先に行く途中、淳平はつかさの働いているケーキ屋を覗いてみた。
店の厨房でつかさは忙しそうに働いている。


(良かった、今日はいるみたいだ)
その姿を見て、淳平は安心した。









映画館でいつもの仕事を済ませた淳平はつかさのバイト先につかさを迎えにいった。



淳平がケーキ屋に着いたとき、つかさはちょうどバイトを終えたところだった。


「淳平君!?どうしたの?」



「い、いや、一緒に帰ろうかと思ってさ」


突然話し掛けられたせいか、これから告げようとしている言葉のせいか淳平は少し緊張してしまった。



「そっか。わざわざ迎えに来てくれてありがとね」



そう言って淳平の顔を覗き込むようにして笑った。



ドキッ



(やっぱりかわいいな)



淳平は無邪気に笑うつかさに思わず見とれてしまった






「…くん、ねぇ、淳平くんってば!」


気付くとつかさの顔が目の前にあった。


「うわっ!」


淳平はあまりに驚いて声をあげた



「もぅ!またボーッとして、早く行くよ!」



「え、あ、ごめん」


そうして二人は歩き始めた




「西野、3日も休んでたけど大丈夫なのか?」



「うん。ちょっと体調崩しちゃっただけ。もう大丈夫だよ」



「そっか、それなら良かった。3日間も休んでたみたいだったから心配したよ」






ジーッ






横からの視線を感じた淳平はつかさの方を向いた


すると、つかさと目があった。つかさは随分長い間淳平を見ていたようだった



「どうしたの?俺の顔、なんかついてる?」




そう言うとつかさは急に赤くなってうつむいた。







「あ、えっとね、その…淳平くんでもそーゆーこと心配してくれるんだなって思って」



(え…ええ!?)



「そりゃするよ心配くらい…」




(かわいすぎる…)



あまりにドキドキした淳平は思わず後退りした。






ドンッ



そのとき道路の横の壁に当たってしまった。



あれ、ここは…







壁には『泉坂中学校』と彫られている。




(こんなとこまできてたんだ。話してたから気付かなかったよ)








「うわぁ、懐かしいなぁ。あたしたちここに通ってたんだよね」



つかさが懐かしそうに話した。


そう話すつかさを見て、淳平は、以前真夜中に一緒にここへ来たときのことを思い出していた。



淳平は勇気を出した。







「入ってみる?」


いつかつかさに言われた言葉を、自分から言ってみた。



「そうだね。入ってみよっか」

そうして、二人は中学校の中へ入っていった。









いろいろなところを懐かしみながら見て回っていると、グラウンドにたどり着いた。


「今見るとすごく懐かしいよな。な、西野。………西野?」






つかさは微笑みながら鉄棒を見つめている。



まるで、あの頃にタイムスリップしているかのように、






そんな西野を見て淳平は今日二度目の勇気を出した。



「西野、待ってて!」




「淳平くん!?」




淳平は鉄棒に向かって走り出した。





そして鉄棒にぶら下がり、あの日と同じように叫んだ。



精一杯の思いを込めて。







「西野つかさちゃぁぁぁん!!!好きだあああ!!俺と付き合ってくださいっっっ!!!!!」



淳平はそう叫んでつかさの反応を待った




つかさの目からは涙が溢れている。


(え…?)


淳平が心配して駆け寄ろうとした、そのとき






「はい!」





満面の笑顔でつかさが答えた。




そして、淳平に抱きついた




「西野、今までごめん。でも、もう西野だけしか見ないから、もう迷わないから。」



「うん、ありがとう淳平くん。嬉しいよ。」


つかさの目からはまだ、感激の涙が溢れている






二人はしばらく抱き合って、目を合わせた










そして、







月明かりに照らされた二人の影が、重なった。






それと同時に二人の心も…





この時がずっと続けば、どれだけ幸せだろう。



そう思った。









ずっと続けば……


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