even if you... 「プロローグ」 - つね 様
たとえ君が、何処へいたとしても
僕は君を探して見せるよ。
悲しい顔をしたときは
僕が笑わせて見せるよ。
生きていくのがつらいと思ったら
僕が君の生きる理由になってみせるよ。
周りが真っ暗で、何も見えないのなら
僕が君の目になるよ。
夢につまずいたら
そっと手を差し伸べるよ。
たとえ君が変わったって
僕は君を想うよ。
たとえ君が…
even if you...1 - つね 様
「sign」
高校3年の夏休み、今年の夏休みはいろいろなことがあった。
西野との旅行、そして映像研究部の合宿。
そんな夏休みの終わり、真中は久しぶりにテアトル泉坂にバイトに行っていた。
真中自身もバイトには顔を出したかったのだが、映研の合宿や映画の編集などで忙しく、行きたくても行けない状況だったのだ。
「すみませーん、館長いますか。」
そう言ったとたん
ドダダダダダダ
「コラー、淳平!いつまでさぼっとるつもりなんじゃ!!」
ビシィッ
館長の蹴りがまともに真中の顔を直撃した。
「うぅぅ、75歳の体力じゃねぇ…」
「ふん、今までさぼっとった罰じゃと思え。たっぷりゴミがたまっとるから出してもらうぞ。」
「まったく、ゴミくらい一人でも出しといて下さいよね。」
こんな調子で久しぶりのバイトは始まった。
ゴミを捨てた後、真中は館内の掃除を始めた。
そのとき、空いていた窓から近くのケーキ屋が目に入った
店の看板には「パティスリー鶴屋」と書いてある。
この店は抜群の人気を誇るケーキ店でありつかさが働いている店である。
(西野、今ごろあの中で働いてるんだろうなぁ)
そんなことを考えながら少しの間ボーッとしてしまった。
「コラ、さぼっとらんで働かんか!…ん?」
館長も怒鳴りかけたが真中の様子を見て、何を考えているか分かったようである。
「つかさちゃんが気になるんじゃろ。」
「べ、別にそういうわけじゃ…」
「つかさちゃんなら3日前から休んどるぞ。夏風かのう。」
「えっ、そうなんですか。」
(3日も。西野大丈夫なのかな…)
そうは思ったものの、このとき俺はこの休みをそれほど重いものとは考えていなかった。
この休みに隠された、西野の変化をまだ、感じ取れなかった。
西野が僕に送っている無言のサインに気付かなかった
明日にはきっと西野に会えるだろう。ただ、そう思ってた…
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