今度こそ・・・1 - シャバゾウ   様



俺、真中淳平24歳

今は実家を離れ一人暮しをしながら、自分の夢である映画監督になるため憧れの監督の元で働いている。



他の人たちはというと・・・



東城は俺と同じ大学を卒業してプロの小説家になった。

デビュー作品がヒットし、その名を知らぬ人はいない売れっ子作家だ。


それに、いまだ天地から告白されているみたいだ。



さつきは今や若手ナンバー1の呼び声が高い女優だ。

高校の時撮った映画のヒロインをつとめた時から女優になることを考えていたそうだ。

うれしい事に、いまだ俺の事を想ってくれているという話を耳にしたことがある。



外村は大学に行っても女の子の写真をとることをやめず、カメラマンになってまで女の子の写真をとりまくっているらしい。



唯はというと、大学で留年して今年卒業する。

今は一人暮らししていた部屋を出て、実家の誰も使う人がいなくなった俺の部屋に住んでいる。



一番驚いたのは小宮山だ、高校卒業して2年後、端本と本当に結婚してしまいその直後、宝くじで一等があたり今は世界一周の旅をしている。

世の中本当に何があるかわからないものだ。



最後に西野、パリから二年前に帰ってきて昔と同じように鶴屋で働いている。

4年間、俺も西野も違う場所で違う体験をしてきたのに、二人だけ高校の時から時が進んでないような感じがする。

でも4年ぶり再会うた時の事はよく憶えている。


あの時西野は、いつも笑顔ではなく、どことなく違和感のある笑顔を俺に向けていた。

その笑顔は、俺の胸を締め付けた。まるで「あの時の事は忘れて」と言っているように見えたから・・・。


今の俺は好きなこともできて、仲間達もたくさんいて幸せだけど悩みもある。

いまだに俺は好きな人を一人に決めきれないでいる。高校の頃からずっと考えていて、自分がダメ人間ってもの重々承知だ。

でも「もし断られたら」とか考えると、どうしても最後の一歩が踏み出せないでいる。



でもこの時の俺は、「自分の悩みも何とかなるだろう」くらいな甘い考えしかもっていなかった。

もっと早くきちんと答えをだしていたら、誰も傷つかなかっただろう。


あの日を繰り返してしてしまうこともなかっただろう。

その事がわかった時、すでに運命の歯車は動き出していた。





忘れられないあの日に向かって・・・



今度こそ・・・ 2- シャバゾウ   様



そう今思えば、再び「あの日」に向かって運命が動き出したのは
この日がきっかけだったのかも知れない。





ここは泉坂アパートの一室


ジリリリリ〜〜〜〜
一つ目の目覚ましが鳴り響く。
「バンッ」


ピピピッピピピッ・・・
二つ目の目覚ましが鳴りはじめる。
「バンッ」


ピーピーピーピーピーーーー
三つ目の目覚ましが鳴る。
「バンッ」


手だけは動いて目覚ましをとめるのだが、部屋の主が起きる気配は全くない。


♪〜♪〜♪〜〜
♪〜♪〜♪〜♪〜〜
♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜〜

目覚ましが鳴り終わったと思ったら、今度は携帯が鳴り出した。
さすがに観念したのか布団からでて携帯を手にとった。


「ふぁぁ〜〜、もしも」
返事をしようとした瞬間。


「淳平ぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜起きろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
家の外にまで聞こえるような声が部屋いったいに響き渡った。
さすがに寝坊すけも俺でも、これには驚いて完璧に目が覚めた。


「なっなんだよ、朝からうるせーな、どうかしたのか?唯」
急に起こされて機嫌が悪かったせいか面度くさそうに話しかけた。


すると唯は怒ったのかさらに大きい声で
「淳平が起こしてって言ってきたんじゃ〜ん、明日はどうしても大切な用事があるからって、なんで起こしてあげて文句言われなくちゃいけないのよ〜。ぶつぶつぶつ」


俺は、ハッとして時計を見た。

時計は9時50分をさしていた。

「サー」血の気が引いていくのが自分でもわかった。


急いで出かける準備をしていると

「ちょっと〜、ちゃんと聞いてるの?」
唯がなんか俺に向かって叫んでるが、俺はにもうそんなことを聞いている余裕はなくなっていた。


「何でもっと早く起こしてくれなかったんだよ、あっもう遅刻しそうだからからきるな」
文句を言っている唯に俺はそう言って、携帯をきって家をでた。


一方の唯は

「プープープープープー」
私の存在って・・・

「もう絶対に起こしてやらないんだからっ」
そう言って再び布団の中に入り眠りについた。




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