全年齢【BE IN LOVE】「EPILOGUE〜NORTH〜」 - スタンダード 様
【2005年8月24日】
事故から一年経ったこの日。
日は盛り雲が減る中、少女達はまだ墓の周りにいた。
「今さら誰を選んだか、なんて…しょうがない……か」
「そうね…。
答えは本人にしか…」
――真中…
みんな答えを待ってるよ…。
生きてたらあたしのこと選んでくれたかな…?
無理……だよね…。
そうだよね…。
あの二人には勝てない。
何で真中のこと好きになっちゃったんだろね…?
頭もよくない。
スポーツも出来ない。
何かといって長所もない。
優しいだけの真中。
何でよりによって真中のことを好きになっちゃったんだろね。
何で優しいだけのあんたがあんなにモテたんだろうね…。
…ううん。
本当は分かってるかもしれない…。
その優しさに惹かれたって。
後悔なんてしてない。
あたしも…
西野さんも東城さんも…。
いつもあたしにくれた優しさ。
すごく暖かかった。
真中以外の男なら…オトす自信あったんだけどな…。
真中は優しいから答えを出せなかったんだよね…。
でも…
やっぱり聞きたかったな…。
たまには自分の好きなようにしていいのに…。
誰を選んでも真中の自由なのに…。
でもそれで良かったのかもね…
だって…
そんな真中が大好きだったんだから!――――
ふっと顔を上げたさつきは…
見ていて気持ちいいような澄み切った笑顔だった。
心の中のもやもやしたものを振り切ったの如く。
真中が死んでからもさつきからは笑顔が絶えなかった。
もちろん辛いことではあった。
だが自分が悲しむ顔など真中は望んでいない。
きっと笑顔でいることを望んでいるはずだ。
最期の時もそれを伝えようとした。
そう思い…
悲しい顔は見せない…
涙は見せない決意をしたのであった。
そして周りにもそう説く。
つかさが沈んでいる時も励ました。
綾が心を閉じた時、強引にでも開こうとした。
さつきは強かった。
決して妥協せず、自分の信じた道を突き進んだ。
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