素顔〜プロローグ〜 - 金魚  様

素顔 〜プロローグ〜


 人は、変わらない
 
 簡単に変わることはできない

 



 大切なあなただから変わってほしくない

 これからもずっと、キミはキミだよ!!!


素顔 1 - 金魚  様

素顔1 〜理想のキミ〜


 季節は冬

 

  何年経っても変わらない町並み
 
  
  何年経っても変わらない友達


  何年経っても変わらないあたし


  何年経っても変わらない   キミ・・・・・









「・・・ハァ〜〜」

はぁっ、と大きくため息をつくこの女性は

 西野つかさ、23歳

「・・あたしにはただののろけにしか聞こえないんですけど??」

つかさと話しているのはトモコ

桜学の時の友達

今も、変わらない友達

「でもさぁ〜、せっかくパリから帰ってきて
 あたしは成長したのに、あいつは〜・・・」

「でも、立派な映画監督になったんでしょ?」

「うん・・・。すごいんだよ!今度の春もね、新作映画を―――」

目をキラキラと輝かせて喋る彼女は

大人びた高校生の様にも見える

「はい、ストップ
 あんたののろけ聞いてるとその新作映画が上映される季節になっちゃうよ」

泉坂のとある喫茶店

暇さえあれば彼女らはここに集まって

世間話をしている



「で?
 その映画監督さんにどんなご不満があるのかな?つかさちゃん?」

意地悪そうに聞くトモコに、つかさは顔を赤くしながら答えた


「淳平君さ、変わってないんだよ高校3年のあの時と・・・・・・4年後の今と・・・・・・・・・」

「『変わらない』って良いことじゃない?つかさに対する想いも変わってないんでしょ?」

「うん・・・・でも、あたしは―――」

少し沈黙があったが

トモコによってすぐに破られる
  
 
「あたしは・・・・もっと違う恋がしたい!デートしたってリードするのはあたし

 彼にリードしてもらいたいなぁ〜そしてゆくゆくは夜の公園で・・・・www

 
 みたいな感じ??」

また、沈黙が続く

「も、もしかして今の図星なの!?」

驚くトモコに対し、つかさの反応は・・・

「・・・・うん・・・」

ボソッっと呟くその顔はいちごみたいに

ほのかにピンク系の赤色だった

「ふ〜ん
 それがつかさの理想の彼なんだ」

「あたしは、今のままでもいいんだけど・・ちょっと物足りないかな・・なんて・・」

「じゃぁ、理想の彼氏になって!ってストレートに言えばいいじゃない」

「い、言えるわけないでしょう!!トモコったら、もぅっっ!!」

「まぁ、トモコは今、幸せだもんねぇ〜」



立場逆転

つかさの一言でトモコの顔はいちご色になり

さらにつかさのさっきの仕返しとでもいえそうな

マシンガンがトモコに炸裂する


「どうなの??
 外村君とは・・・?」

「・・・!!!・・・」

トモコの顔は一気に真っ赤になり、いちごというより

もぅ、りんごになっていた

驚くべきことに、外村とトモコは付き合っているのだ

つかと淳平は今でこそ落ち着いたカップルだが

当初はお互いギクシャクしており

時折喧嘩や問題を起こしていた

そんな問題児二人を仲直りさすべく、その度に外村とトモコは

色々と話をしていた

接する機会が増え、気づくとお互いは相手のことを好きになっており・・・見事にゴールインしたのであった



「ヒ、ヒロシ君は、十分理想の彼なの!!」

店内に響き渡るトモコの声

店の客、店員もみなこっちを見ている

目の前では『二カーーッ』と笑う女性

彼女の顔はもう真っ赤になっていた



すると

「お待たせ!トモつぁん♪」

そういってデジカメ片手に走ってきたこの男

 外村ヒロシである

「ごめんね、つかさっ!これからデートなんだ♪」

「へぇ〜デートねぇ〜〜〜ww」

「二人でなんのお話してたの?」

「つかさの理想の男の子についてよ」

『またやられた』と言わんばかりにつかさの顔はりんご色

「真中は理想の男性じゃないの?」
 
「ううん!!そうじゃなくて・・
 あぁ〜もう!!ほら、さっさとデートでもなんでもいいから
 どっか行け〜〜〜〜〜」

「わぁ、逃げろーーーー♪」

外村とトモコがどたどたと逃げていった店内は

西野と店の店員、その他の少数の客のみとなった

「・・理想の彼・・かぁ〜
 そういえば、あたしの彼は今なにしてんのかな?」





















「・・・ブァックションッッッ!!!」

大きなクシャミをした男

「西野、今頃トモコちゃんと遊んでんだろうなぁ〜」

 真中淳平、23歳

つかさが今、淳平に対し、少し不満をいだいているというのに

この脳天気な男は

「ん〜誰かが俺のこと『かっこいい!』とかって噂してたりして・・・ww」

西野の理想はしばらく叶いそうになさそうだ

しかし、淳平の人気は本当に凄かった

『若干23歳の天才監督!!』
『映画の神が生んだ子』

などと、世間から注目を浴びてるのは確かである

もちろん、ルックスを褒めてる人はただ一人としていないが・・・

「さぁて、天気もいいし、どっかに出かけでもするか!」

そう言って淳平は家を出て行った




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