The summer from the west 第2話 - UZ 様
つかさとの再会から数日後、彼らは実家へ帰った唯を除いてテアトル泉坂へ来ていた。
館長から熱烈に(女性陣だけ)歓迎され、淳平はやはりこき使われるている。
「ねぇ、淳平君ってまだここでバイトしてるの?」
「うん、一応。あのじいさん普段はエロじじいだけど、映画の事になると凄くいい事言ってくれるからね。大学じゃ学べないものをここで学んでる、って感じ。」
目を輝かせて話す淳平を見て、つかさも自然に笑みがこぼれる。
「そっか、なんか充実してるっぽいね。最近は映画とか作ってないの?」
「作ってないなぁ。まだ一回生だし。西野はどうなの?」
「やっぱり本場は違うよ〜。日本でも楽しかったけど、パリはもっと楽しいかも。」
「お〜い真中。始まるぞ〜。」
映画が始まった。
(え?これって・・・)
スクリーンに映るのは、つかさ主演の、あの映画。
あれから2年。映画を作り続けた者、別の道を歩んだ者、それぞれである。だが、「この映画を作った」という思い出は皆共有している。
そして映画は終了した。
「あれからもう2年もたったんだね。なんか昨日の事みたい。」
「そういえば天地が遭難してたよなぁ。」
「真中がNGばっかりで・・・」
彼らは時間を忘れて昔話に花を咲かせた。
映画館へ一人の男が入ってきた。
「すまんが今は貸し切り中なんじゃが・・・」
館長が機転をきかせたが男は無視して話しはじめた。
「スイマセーン。パティスリー、ツルヤーハ、ドーコデスカ??」
あまりの片言の日本語のため館長は聞き取れなかった。
「おーい淳平。ちょっと来てくれ!」
淳平が面倒くさそうに出てくる。
「何っすかぁ?」
「スイマセーン。パティスリー、ツルヤーハ、ドーコデスカ??」
しかし、淳平も聞き取れない。
「どーしたの?淳平君。」
つかさが淳平を追って出てきた。
「え?フィリップ?」
「オー!ツカサ!!」
「えぇ?西野、知り合い?」
「うん。日暮れさんの友達で、私が今いるお店の常連さんなんだ。」
さすがフランス人だけあって、かなりの美形である。
そう言うとつかさはフィリップとフランス語で話し始める。
「#$%&’$%&*@!」
「/¥@−’&=%$$?」
(何喋ってるか全然わからない・・・)
「ねぇ淳平君。」
「何?」
次につかさが発した言葉で、淳平は人生の岐路に立たされる事となる・・・。
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