雪の降る日は天気が悪い 悪いはずだよ雪が降る 2. - たゆ
『邂逅』
「あ・・・」
「あっ西野?」
軒先で肩の雪を落とす少女は、心の片隅にいつもいる女の子の一人であった。
・・・去る人・・・真中がそう位置付けた人でもある・・・
連絡も暫く取ってはいなかった。
真中からは自分の優柔不断さで取りづらく、つかさからは受験の妨げになるのではと取れなかった。
そんな思惑があったとはお互い知らない、知らせることもこれからもないだろう・・・気遣う故に傷つきたくない故に。
「久しぶり、淳平くん! 塾終ったの?買い物?」
「今年最後の塾も終ったよ、寒いしさあ、このまま帰っても晩飯残ってないだろうしラーメンか肉まんを買いに、西野も?」
「うん、バイトも仕事納めだよ、親もいないしもう遅いし買い物ですませようと思って」
「そうか・・・」
「うん」
寒さに鼻先を赤くしてうつむくだけの真中、それを覗き見るつかさ。
二人の胸中は決して交差しない、触れられぬまま時は経つ。
「寒いね・・・買い物しようか?」
「・・・ああ・・・」
店内を並んで二人で歩く、雪の所為で人気のないコンビニは二人の貸切だった。
つかさは機嫌よく買い物かごの中にぽいぽいと勢いよく入れていく、女の子一人分には明らかに多い量だ。
「淳平くんこれ好き? 家にあさりがあるからこれを買ってと・・・」
「好きだけど・・・」
(西野もしかして、いやまさか、しかし俺の好きなものとかかごに入れてるし・・・一人分には多いような・・・)
ぐるぐる頭を回転させても真中には妄想しか出ない。
※以下妄想
「ご飯にする?お風呂?それとも あ・た・し(ハァト)」
「もちろん、お前を先に食べちゃうよ! いただきまーす♪」
がばぁっ!
「あん、せっかちなんだからぁ〜(ハァト)(ハァト)」
※妄想終了
「うちに来てまともにご飯食べた事ないよね、今度こそちゃんと食べさせたくて・・・都合悪かった?」
「あっいやっその、ぜんっぜんっ都合悪く無いよ、いいの?・・・」
「じゃあ決定! 買い物済ませて早く帰ろうよ♪」
(親いないんだよな〜止める人間なんていない・・・ご飯食べるだけなんだから深く考えない考えない・・・)
普通の高校生、健康優良高校生にはかなり美味しい展開だ。
据え膳食わずは男の恥・・・下心と妄想にくらくらしながらつかさの家に向った。
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