ichigfoWAR-1 - takaci 様
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中間テストが終わり、とりあえずひと段落着いた時期。
放課後、
泉坂高校1年4組の中山平一は大型書店で立ち読みをしていた。
「ダブルオーなんて面白いのかなあ?それより早くシードの続編やってくれないかなあ?」
「特集は・・・スコープドック?なにそれ?ボトムズ?この作品は知らないなあ。簡易型ザクっぽく見えなくも無いけど、なんか違うよなあ。
「相変わらずカープラモで目ざといものは無いな。キャンターは旧過ぎていまいちピンと来ないし、Z33もなあ、380RSどっか出してくれないかなあ?」
「ミニカーじゃあ作る楽しみないし、何より高いんだよねえ。安いプラモデルを提供して欲しいよなあ・・・」
と語りながら、模型専門誌のページをぱらぱらとめくっていた。
平一は見た目普通の高校生である。身長175センチ、体重63キロ。中肉中背だ。
中学時代はバスケットボールをやっていた。ただ持って生まれた身体能力の差はどうしようもなく、レギュラー出場の機会は与えられなかった。
そこで方針転換し、運動部を辞めて趣味の世界に走ることに。
平一の好きなものは「ガンダム」と「車」である。
ガンダムはプラモが買えるが、車の実車は買えない。
そこで車もプラモに求めているのだが、なかなかいいプラモが出ていないのが現状で、しかも高い。
ガンプラはともかく、車のプラモには常に不満を抱いていた。
車は高額ミニカーが主流であり、高校生の平一にとって購入はややきつい。
それがプラモ不満に一層の拍車をかけていた。
ただガンプラに関しては、個人的に驚いていた。
素組み+αの完成品でも高値取引されている。
さらには食玩の小さなおまけ、モノによっては信じられない価格で取引されている。
そのような金額は大人の購入者が決めているのだろうが、同世代でも買う人は多い。
平一は「ガンダム」が繰り広げる世界観にすっかりはまっていた。
平一のようにガンダムにはまる高校生はさほど珍しくない。
ホビー氏の陳列棚はカメラやラジコン、無線など、どちらかと言えば「オタク向け」が集まっている。
一般人だとやや地が寄りがたいスペースかもしれないが、平一は臆せず入っていく。
「趣味はガンプラ及びガンダム全般、模型関係。いわゆるオタクです。よろしくお願いします!」
入学式のあと、ホームルームで自己紹介のときに言い放った言葉だ。
隠すことも考えたが、どうせばれるので最初から全てぶちまけようと思って出た言葉。
でもその甲斐あって、クラスメートのガンプラ好き数人が新しい友人となた。
それら新しい友人と比較的楽しい日々を送っているので比較的充実してるとは思うが、女っ毛が無いのは正直寂しい。
さて、そんな平一がホビー氏を立ち読みしたとてもう1冊のホビー氏を手にかけようとしたとき、その雑誌は別の客が読んでいた。
(立ち読みが重なったのかあ。まあ珍しくないけど、でもコレを読んでる人って・・・?)
平一にはホビー専門誌を読んでるのが同世代の女性に見えた。
(女が読む雑誌じゃあないだろ。どんな記事読んでるのかなあ?)
少し気になったが、女性がどんな考えでオタク向けホビー専門誌を手に取る理由を知ることに抵抗を感じた。
そこでしばらく離れたところで、女性の様子を伺いながら雑誌が空くのを待つ。
(頼むから雑誌買わないで。買われたら俺が立ち読み出来なくなっちゃう)
これから立ち読みしようと考えている雑誌は1冊しかない。
平一は少女が雑誌をレジに運ばないことを祈った。
そして、その祈りは通じたようだ。
少女は雑誌を元の場所に戻し、足早に去っていこうとする。
「よし!」
平一は先ほどまで少女が立ち読みしていた雑誌に向う。
だが、ここで想定外のことが起きた。
「あれ、きみ、ひょっとして中山くん?」
不意に声を掛けられて、思わず振り向く。
「あ、君は確か・・・東山さん?」
オタク向けホビー氏を先ほどまで手にとっていたのは、平一のクラスメート女子生徒だった。
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