[memory]プロローグ - takaci 様
5年前・・・
ザアアアアアアアアアア・・・
ドドドドオオオオオオオオオオ・・・
とある山村にある大きな滝。
地元の人々は『神の住処』としてここを大切に保護している。
夏場には涼を求め、マイナスイオンを求めに都会から観光客も押し寄せる場所だが、
季節外れに加え、大荒れの天候の深夜に訪れる人はまずいない。
だがそんな状況にもかかわらず、滝の上に1台のワゴン車が止まった。
暗闇の中、ワゴン車から放たれる強烈な純白の光が辺りを照らす。
扉が開き、雨合羽を身に着けた3人の男が出てきた。
そしてテールゲートを開け、青いビニールに包まれているものを引っ張り出す。
異様な光景だった。
少女である。
しかも衣服を身に着けていない。
透き通るような白い肌に痛いほど強い雨が降り注ぐが、少女の反応はない。
白い肌を雨が冷やすのではなく、逆に肌が雨粒を冷やすほどに冷たくなっている。
その華奢な身体は、生命の鼓動を停止してからかなりの時が経過していた。
ゴロゴロゴロゴロ・・・ ドォオオオオン・・・
雷鳴が轟き、近くに雷が落ちたようだ。
男たちは雷鳴に驚きながらも、手早く作業を進めて行く。
一人が懐中電灯で足元を照らし足場を確かめながら慎重に滝へと近付いていく。
その後ろからふたりの男が少女の身体を抱え、前の男の誘導に従う。
この強烈な雨で地盤は緩み、とても危険な状態にもかかわらず、
3人の男は滝のすぐ側へ近付いた。
そして・・・
勢い良く、少女の身体を滝壺へと投げ込んだ。
3人の男は滝壺の辺りを覗き込む。
豊富な水量が生み出す滝の轟音に加え、激しい雨音が重なり少女が落ちた水音は全く聞こえない。
男の一人が小さな懐中電灯で照らすものの、豪雨により視界が悪く水面の状況はほとんど分からない。
ガガアアアアアァァァン!!!!・・・・・
バシバシバシバシバシィッ!!!!!
雷が近くにある大木に落ちた。
驚いた3人の男は慌てて立ち上がり、素早くワゴン車に乗り込んだ。
ヘッドランプの純白の光が動き出し、次第に遠く離れて行く・・・
この滝には、神が住んでいる。
雷は、神への冒?とも取れる行為に対しての怒りの表れだろうか?
ガガアアアアアァァァン!!!!!
ビシィィィィィィィィッ!!!!!
強烈な雷光が、滝そのものに打ち付けた。
まるで、神の怒りが最高潮に達したかのように・・・・・
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