「おみまい」4 takaci 様



その4


夕方。


真中は地図を片手に住宅街を歩く。


あたりはもうかなり暗くなっており、道路には夕食の香りが漂い、団欒の声が漏れてくる。


(ああ、腹減ったなあ。今夜の晩飯はなんだろう…)


そんな事を考えながら、こずえの家を目指す。





「ここ…かな?」


真中は地図が示す一件の家の前にたどり着いた。


(表札もあるし、間違いないと思うけど…)


(本当にここにいるのかなあ?)


目の前の家は、今まで通ってきた家とは異なり、真っ暗で人の気配を感じない。


(家族と一緒に病院へ行ってるのかな?まさか病人1人って事はないだろうし…)


そんな事を考えながらインターフォンを押した。





ピンポーン





(誰よぉ。これからって時に…)


インターフォンで妄想ワールドから現実世界に戻ってきたこずえ。


ちなみに妄想ワールドでは、真中に挿入される直前だった。


(あーあ。これから真中さんと…)





「あっ、そういえば!!」


こずえは舞との電話のやり取りを思い出した。


「そうだよ、真中さんが来る…じゃなくってもう来てるじゃん!ど、どうしよう…」


一気に慌て出す。


先ほどまでの淫靡な妄想の相手が現実にすぐそこに来ているのだ


恥ずかしさで身体中が熱くなる。


「お、落ちついて…まずは出ないと」


こずえはベッドから抜け出し、部屋を出て階段を降りていった。





「やっぱり居ないのかな…」


インターフォンを押してしばらく経つが、返事は帰って来ない。


(もう一度押してみて、返事が無かったら帰ろう)


そう考えてボタンに手をかけた時、


[はい?]


スピーカーから女性の声が聞こえた。


「あ、あの…俺こずえちゃんと同じ塾の真中っていいますけど…」


[あ、真中さん。あたしです]


「え?こ、こずえちゃん?」


この時、真中はようやく声の主がこずえである事に気付いた。


[ちょ、ちょっと待っててくださいね]


その声を最後に、スピーカーは切れた。


(こずえちゃん、大丈夫なのかなあ?)


まさか風邪で休んでいるこずえ本人が応対するとは思わなかった。


暗い玄関でひとり、じっと待つ真中。





(さあ、どうしよう…)


こちらはインターホンの受話器を置いたこずえ。


(下着は…大丈夫ね)


先ほどまで自慰を続けていたこずえの秘所はやや熱を帯び、蜜が湧き出しかけている。


だが染みになるほどは溢れ出ておらず、それをこずえは下着の感覚で確認した。


「じゃああとは手を洗って、ボサボサの髪にブラシ当てて…」


こずえは洗面所に向かった。


(オナニーしてた事、真中さんに気付かれないようにしないと…)


そう考えるこずえの身体は、風邪の影響ではない事で熱を帯びはじめていた。







「こずえちゃん、遅いなあ…」


だいぶ暗くなった玄関で、真中はこずえが出てくるのを待っている。


実際はそれほど長い時間待っているのではないのだが、緊張して早鳴る胸が時間の経過を遅く感じさせていた。


(でも、まわりでこの家だけ暗いよ。ひょっとしてマジでこずえちゃんだけ?)


そんな事を考えていた時、扉の上にある照明が点いた。


さらに扉の向こうから光が漏れ、暗かった玄関が明るくなる。


(あ、来た来た)


扉の向こうから聞こえる物音。


すぐ扉の向こうにこずえがいる。


そして、扉が開いた。


「真中さん、ごめんなさい迷惑かけて…」


漏れる光とともに、パジャマ姿のこずえがあらわになる。





(うわ…)


目から星を光らせる淳平。


白地にいちご柄のパジャマに身を包み、髪を下ろしたこずえの姿にすっかり心奪われていた。


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