「幸せのかたち」26 - takaci  様


「え〜〜〜っと…次はここね…」


夜の闇の中に、汚れた電灯の下で脚本をめくるこずえの姿。





最初はしぶしぶ引き受けた『主演女優』の役だったが、その後、悲しい事件が重なって映画製作どころではない雰囲気に包まれた。


(演じられなくなっちゃうのかな…)


この時、成り行きで引き受けたとはいえ、本人が思っていたよりもずっと、『主演女優』という立場に前向きだった事に気付かされた。


(このまま、幻の作品で終わっちゃうんだろうな…)


外には漏らさなかった。いや、事件の事を考えると漏らせなかったのだが、映画製作が無くなったと感じていたこずえはかなり凹んでいたのだが、





状況が、つい先日になって急変する。


映画製作再開に向けて動き出し、新たな脚本がこずえに手渡されたのだ。


諦めかけて半ば手放そうとしていたものが突然舞い戻ってきた。


沈んだこずえのやる気を取り戻すには十分である。





「前の脚本も良かったけど、今回のはホントすごいな」


「じゃあ…次はここね」


こずえは電灯の下で脚本の内容をチェックする。





ここはこずえが通う塾が入っているビルの屋上である。


普段、しかもこんな夜の時間にここに訪れるものはまず居ない。


塾が終わってからしばらくの間、ここでコソ練をするのが最近の日課だ。


やはり演技の練習は人に見られたら恥ずかしいものである。


人目を気にせずに済むここはこずえにとって格好の練習場所であった。





タンタンタン…


(だっ、誰か来る!?)


出入り口の扉の向こうから、階段を上る足音が聞こえてきた。


(と、とりあえず隠れないと…)


コソ練がばれるのが恥ずかしいという事もあるが、この時間にここに来る人間が怪しくないはずが無い(という事はこずえも十分怪しいのだが…)。


身の危険を感じたこずえは息を潜め、怯えた眼で出入口の扉をじっと見つめる。


(怖いよう…)


動悸がどんどん高鳴っていく。





ガチャン


扉が開く。


緊張がピークに達した。









(あれ?)


扉から出て来た人影を見て、こずえの緊張は急速にしぼんでいく。


目の色も怯えから安堵に変わる。


(何であのふたりが?)


こずえの眼は、先ほどまで下のフロアで一緒に居た淳平と綾の姿を捉えていた。





「東城、話ってなに?こんな所で」


「うん。どうしてもお礼が言いたくなっちゃって」


「お礼?」


「この前、外村くんから聞いたんだ。その…『あたしを守り続ける』って…」


「あのバカ…」





(真中さん、顔が真っ赤だ)


(でも、真中さんが東城さんを守り続けるって、それってつまり…)





「ありがとう。あたし、とても嬉しかった」


「その…まあ…当然だよ。東城は俺にとって、本当に大切な人だから」


「真中くん…」


「東城…」





(ええっ!?ふたりが身を寄せ合って、目を閉じて、顔が近づいてって)


(きゃ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!)


こずえは生まれて初めて、ナマの『キスシーン』を目撃した。


(でもあのふたりってこーゆー関係だったんだあ)


(ちょっと悲しい気もするけど、やっぱいいよなあ〜〜〜)


長いキスをうっとりとした眼で見つめ続ける。





「ねえ真中くん…」


綾の眼が妖しい光を放つ。


その光を淳平は見逃さなかった。


「おいおい東城…」


「だって、シタくなってきちゃったんだもん…」


「しょうがないなあ。じゃあホテル行こっか」


「ううん、ここでして。あたしもう待ちきれない」


「こっここで!?でっでも…」


「ここってめったに人がこない場所なの。しかもこの時間なら誰も来ないよ。だからお願い…」


「東城がここまで大胆な女の子だとは思わなかったよ」


「女の子ってね、好きな人の前では大胆になるんだよ」


「覚えておくよ…」





(うわ〜〜〜〜。またキスしちゃったよ…)


(でもさっきとなんか違う。二人ともほっぺたがもごもご動いてる…)


(ま、まさか…ここでエッチしちゃうなんて…事はないよね)


(で、でもさっき『ホテルに行こう』とか『ここでして』とか言ってたし…)


(うわっ!!真中さんの手が、キスしながら東城さんの胸を揉んでるぅ!!)


(なんかクチュクチュ言ってるし、ひょっとして舌を絡めてるの?)


(ああっ!東城さんったら凄く腰をくねらせてる!!なんていやらしい動きなの!!)





淳平は綾の首筋に唇を這わせる。


そうしながらセーラー服の赤いリボンをゆっくりと解いた。


ホックを上から順に外し、セーラー服の前を開ける。





(大きいブラだなあ。羨ましいなあ。でも白のレースかあ。東城さんらしいなあ)


(…ってあたしったら何考えてるのよ!真中さんが東城さんの下着姿を見てる…)


(う、うそお!?真中さんったら、東城さんの背中に手を入れちゃったよお)


(あのあたりにはブラのホックが…あっ緩んだ!)


(きゃ〜〜〜〜っ!!!!東城さんの胸が〜〜〜〜〜っ!!!!!)





淳平の手はホックがはずされたブラを擦り上げ、白く大きな乳房を電灯の光にさらした。


「あれっ、もう勃ってるよ」


淳平は大きくなっている綾の乳首を指で転がす。


「あっ…やっやだ真中くん…あっ…ああ…」


「東城の胸は、いつ見ても魅力的だな。大きくって、柔らかくって」


「はあぁ…あぁ…」


喘ぐ綾を見上げながら、淳平はピンク色の突起物を口に含んだ。


ちゅぱっ…  ちゅっ…


「はあ… はあ… あああ…  真中くん…  ああ… 」





(真中さんってばいやらしい!!胸を揉んで、音を立ててむしゃぶりつくなんて…)


(でも東城さんもすごい声…ものすごく気持ちよさそう…)


(あたしもああされたら、気持ちいいのかな…)


こずえの手は自らの乳房を揉み始めた。


(ああっついに!!真中さんの手が東城さんのスカートの中にぃ!!!)


(ええ!?いちご柄のパンツ履いてるう!!)


(あたしもさくらんぼ柄持ってる、って言うか今履いてるけど、あれを男の人に見せるのはちょっとなあ…)


(じゃなくってえ!!いやだああ!!真中さんの指があ!!いちごパンツ越しにアソコに触っちゃってるよおおおおお!!!!!!)


こずえのテンションはどんどん上がっていく。





「あっ…ま、待って…」


「何言ってんだよ。今更恥ずかしがる事も無いじゃないか」


「そうじゃなくって、その…」


「うん?」


淳平は指を止め、恥ずかしそうにうつむく綾に優しい笑顔を向けた。


この優しい笑顔が、綾の緊張や恥じらいを解すのには効果的なのだ。


「あのね…もう、溢れそうなの。このままだと染みになっちゃう」


「えっ、もう?」


「だから…お願い…」


「お願いって?このまま染みを作ればいいのかな?」


淳平はわざと意地悪な問いかけをして、女芯の上に当てた指をゆっくりと動かした。


「あっ、ダメだよう…意地悪しないで…」


「じゃあどうすればいいのかな?はっきり言って」


淳平は再び綾に笑顔を見せる。


今度はやや意地悪っぽい笑顔だ。





綾は、淳平の笑顔に逆らう事は出来なかった。


この笑顔を見ると、どんな恥ずかしい事でも本心を言ってしまうようになっていた。


今回も、顔を真っ赤にして小さな声で囁いた。


「お願い…あたしのパンツ脱がせて」





「分かったよ。意地悪してごめんな」


淳平はそう言って、綾の前にひざまづき、いちごパンツに両手を掛けた。


そしてゆっくりと擦り下ろしていく。





(ついに、ついにパンツ脱がせちゃったよう。右足を抜いて…)


(パンツが左足にかかったままだよう。なんかものすごくいやらしい…)


(あっ!!スカート捲し上げちゃったよう!!裾をウエストに突っ込んで、全部曝け出しちゃってるよう!!!!)


(東城さんのヘアーって、薄くって綺麗だなあ。処理してるのかなあ?)


(ああっついにいいいいい!!真中さんの顔が東城さんのアソコにいいいいいい!!!!!!)





(やっやだああ、あたしも濡れて来ちゃったよう)


ふたりの痴態は、こずえの泉を潤わせるには十分な刺激だった。


左手で胸を揉み、右手をパンツの中に入れる。


(ひゃああっ!!こ、これじゃああたしも染みになっちゃうよう…)


こずえの決断は早かった。


履いているさくらんぼパンツを素早く下ろし、綾と同じように左足に引っ掛けた。


(あたし、ものすごい格好してるよう)


そう思うだけで、こずえの女芯は濡れていく。


(あとは、このままじゃあ声が出ちゃうから…)


スカートからハンカチを取り出して、折りたたんだそれを強く噛んだ。


これで声は漏れにくくなる。


こずえはとても恥ずかしい姿で自慰をしながら、さらにエスカレートする二人の行為にじっと目を凝らしていく。





ぴちゃっ…    ぴちゃっ…


「あっ… あっ…  あはあっ…  」


「東城、すごく濡れてるよ。もう溢れ出してる…」


淳平の顎は綾から滴り落ちた愛液で光っている。


「真中くん…もっと…もっとして…」


「じゃあ、これはどう?」


指で皮を剥き、舌先でクリトリス本体にダイレクトに刺激を与える。


「ああああっ!! あふっ!! はああっ!!  あうっ!!」


声のトーンが上がり、綾の下半身はがくがくと震え出した。


「めちゃめちゃ敏感になってる。これも『いちご攻め』の効果かな?」


「やっ…  やだああ…   あっ…  うあっ!!」





(イチゴゼメって何イチゴゼメって何イチゴゼメって何いいい!!!???)


(いちご…果物のいちご…いちごミルク…いちごパンツ…いちごジャム…)


(いちごジャムだあ!!いちごジャムを東城さんのアソコに塗ってそれを真中さんが舐めるんだあ!!)


(あのふたり、そんな変態プレイまでしてるなんて…)


こずえの妄想はこずえなりの『いちご攻め』を作り上げていた。


しかしこの妄想は事実とは異なっていた。


もっとも、当たっていようが間違っていようが関係無い。


妄想でより自分が興奮できればそれでいいのだ。


事実、こずえは今だかつてないほど激しく濡れており、


本人はそれすら気付いていない。


ただ快楽をむさぼり、激しく指を動かし続ける。


(あああああっ!!!つ、ついに真中さんの指がああ!!東城さんのアソコに入っていくよおおおおお!!!!!!)







「外も凄いけど、ナカはもっとすごいことになってるよ。ぐしょ濡れなんてもんじゃないよ」


挿入した中指を伝って愛液が滴る。


少し掻き回すと、くちゃくちゃといやらしい音を立てて周りに飛び散るほどだ。


「はあ…はあ…はあ…はあ…はあ…」


綾は甲高い喘ぎ声を出しながら、快感で全身を大きく震わす。


特に下半身の震えが強く、膝ががくがくと大きく震えている。


身体が崩れ落ちそうになるが、指が挿入されている淳平の右手に支えられてなんとか姿勢を保っていた。


だが、次第に右手に圧し掛かる重みが増していく。


体重を預けるほど、指が奥深く進入して大きな快楽を生み出していた。


その結果、膝はさらに力を失い、さらに体重を預けることに…





「真中くん…もうダメ…」


「ん?」


「あたし…イキそう…」


「俺、ナカでちょこっと掻き回してるだけだよ?」


中指はピストン運動を一切行わずに、綾の膣の中で先端を動かしているだけだ。


「それでもいいの…もう…イカせて…」


涙をいっぱいに溜め込んだ瞳は妖しい光を放っている。


顔は赤く、緩んだ口元からは唾液が光る。


全ての思考を止めてしまいそうな快楽の中で、綾は必死になって懇願する。


求めるのは、全てが真っ白になる『快楽の頂点』





「指は一本のままがいい?それとも…」


「もう一本…挿れて…」


この言葉で中指に加えて薬指も挿入した。


「あうううっ!!!」


その瞬間、綾の身体が大きく動き、バランスを崩す。


淳平は慌てて綾の細い腰を左腕で抱え込み安定を保った。


身体を安定させた方が絶頂に導きやすい事を、淳平は綾との経験で学んでいる。


「もっと…もっとぐちゃぐちゃにしてえ…」


「ああ。ぐちゃぐちゃにしてあげる。イカせてあげるよ」


2本の指を挿れた右手を激しく動かす淳平。


「ああああああああああっ!!!!!あううううううううっ!!!!!!」


ぐちゃぐちゃと大きく卑猥な音を奏でながら、大量の愛液が飛び散っていく。


薄暗い電灯の光に晒されたそれは、儚い輝きを放つ宝石のようだ。


「東城!!すげえ溢れてるよお!!」


「あああああっ!!!!!い、イクううっ!!!!!イッちゃううっ!!!!!」


「ああ!!イッていいよ!!イッていいよお!!」


「イッ…  イクッ!!!…   ああああっ!!!  あっ!!!  あふっ!!!!!」


綾は大きな声をあげながら、背中を仰け反らせて絶頂を迎えた。


短い周期で大きな波を打ち続ける身体が快感の大きさを伝えている。






(すごい…あんな風にイクんだ…)


(あたしも…ああなってみたいよう…)











淳平はゆっくりと慎重に、綾の身体を横たわらせた。


「東城…俺ももう…」


淳平の息が荒い。


「うん。あたしも真中くんが欲しい…」





(ついについについに!!あの激しい行為の後にすることはただひとつ!!!)


こずえの興奮もレッドゾーンに突入する。


(真中さんが東城さんのスカートを脱がせて…あっ!真中さんベルト外してる!!)


(ズボン下ろして…真中さんってトランクスなんだ。あたしはどちらかと言うとブリーフの方が…)





(いっやあああああ!!!!!大っきく反り返ってるよおおおおお!!!!!)


(エッチな漫画とかでは見たことあるけど、男の人のモノってあんなに大きくって、すごいエッチな形してるぅ)


(きたよきたよきたよきたよお!!!!ま、真中さんのモノが東城さんのアソコにあてがわれて…)





(入ってるううううううう!!!!!!ズブズブとめり込んでいってるううううううう!!!!!!)


(あんな太いのが入っちゃうなんてえ!!!!!す、すごおおおおおいいいいい!!!!!)


(いやだああ!!!東城さんったらすごい気持ちよさそうな顔してるううう!!!!!)


(あ…あたしも…すごい気持ちいいよう…)


こずえの指は自身のクリトリスに刺激を送りつづけている。


強すぎず、弱すぎず、最高の快感が得られる強さを身体が覚えている。


さらに今だかつてないほどの興奮状態が、さらなる快感を生み出していた。


次第に頭の中が白くなり、何も考えられなくなる。


全てを快楽が包んでいく。


そしてそれは、目の前で繋がるふたりも同じ。










「はあはあはあ!!真中くん気持ちいい!!もっともっと突いてえ!!!」


「俺もすげえ気持ちいいよ!東城のナカ、いつもよりぬるぬるしてるよ!!」


「あっあああっ!!!あはあああっ!!!もっと…もっとお!!!」


「はあっはあっ!!…   こうか!! こうか!! こうかあ!!!」


淳平は掛け声と共に、動きをさらに激しく、早くする。


「ああああああっ!!あっくっ!!  うっ!! うあっ!!  あああっ!!!」


激しい喘ぎ声が、屋上から夜の闇へと消えていく。





「お、俺…もうイキそうだ…」


「はあっはあっはあっ!!あ…あたしももうダメ…」


「じゃあ…一緒にイコう!お腹の上に出すから…」


「うん…イッてぇ…いっぱい出してぇ…いっぱいカケてぇ…」


「ああああ…東城…出るよ出るよ…」


「ま…真中くん…い、イクう…イクっ!!!」


「ああああっ…俺も…ううっ!!!」


「「あうっ!!!!」」


二人は同時に絶頂を迎えた。


淳平は欲望を綾のナカからすばやく抜き出し、白濁の欲塊を綾のへその当たりに放出させる。


どくどくどくどくっ!!!


大量の白い液体が飛び散っていく。







綾は荒い息のまま、腹の上にある淳平の欲塊を掌で確かめ、身体に塗りこむようになすりつけている。


まるで愛を確かめるかのように…








その後、息を整えたふたりは素早く服装を正して、まるで何事も無かったかのように屋上を後にした。





ガチャン





金属の扉が締まる。















ポトッ





こずえがずっと咥えていたハンカチが落ちた。


それは唾液を吸って、かなり重くなっていた。





「はあ…はあ…はあ…」


こずえの荒い息。





こずえもまた、ふたりと同じようなタイミングで絶頂を迎えていた。


今までの自慰で得ていたものとは比較にならないほどの大きな快感だった。


(あのふたり…すごい…)


(あたしも…東城さんみたいになりたい…)


(あたし…もっともっと気持ち良くなりたい…)


ぺたっとへたり込んだこずえの下は、自身から溢れ出した愛液が作り出した大きな水溜りが出来ていた。


だがこずえはそれにも気付かずに、


他に誰も居ない屋上でただひとり、


まだまだ大きな快楽の余韻にしばらく浸っていた。


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