R「幸せのかたち」18 - takaci 様   


「東城…なんで…」


綾の拒否は考えられない、信じがたい事だ。





「真中くん、とても嬉しい。でも…まだダメ」


笑顔のまま、静かに語る綾。


「まだダメって…どうしてだよ?」





「真中くん、西野さんを抱いてあげて。結論はそれから…」


「えええっ!?」


信じられないような言葉が綾の口から発せられた。


淳平の動揺はさらに加速する。





「な、なんで…」


「真中くんは西野さんが好き。西野さんも真中くんが好き。だったら当然じゃない?」


「俺は東城が好きなんだ!西野は忘れる!だから…そんな事言わないでくれ!」


「あたしも…  大好きだよ…  その言葉だけで…  幸せ…」


涙声で言葉を詰まらせる綾。


瞳から雫がすっと流れ落ちた。


「あはっ、ヤダな…  なんで突然…」


笑いながら感涙を拭う。





(東城…)


綾の姿が淳平の心に痛みを与えた。


背中の傷の痛みが感じないほど、心の痛みが大きい。





「でも、だからこそきちんと選んで欲しいの。雰囲気に流されて決めたら、きっと後悔して幸せになれないよ」


綾は笑顔を崩さない。


「でも、俺と東城の事を知ったら、たぶん西野は俺から離れていく…」


「それはないよ。西野さんの気持ちはこんな事じゃ壊れない。それに西野さんは真中くんの助けを待ってる。真中くんに抱かれる事を望んでると思う」


「お、俺の助け?」


「西野さんは傷ついてる。その傷を癒せるのは真中くんだよ」


(西野…)


淳平の頭につかさの泣き顔が浮かび上がる。


とても放っては置けない、泣きじゃくるつかさの顔…


しばらく言葉を失う。





「だからあたし…無茶言ったんだ。このまま何もせずに帰ったら、真中くんと西野さんの間に入りこめなくなっちゃうもん。あたしって嫌な女だね」


淳平から目をそむける綾。





淳平は改めて、自分のして来た事を振りかえる。


綾の想いがここまで強いとは思わなかった。


そして、綾が話したことが本当であるならば、つかさの想いも同じくらい強い。


そして、今の自分が置かれた状況に大きな責任を感じる。


(東城も、西野も、俺の知らない所で苦しんできたんだろうな…)


(俺はそんな事を知らずにずっとフラフラして…結果的にこの二人をここまで追いこんじまって)





申し訳ないという思いが、言葉に表れる。


「東城すまない…こんな俺を好きになったばっかりに…」


「そんな事ない。あたしは真中くんを好きになれたからここまで変われた。あたしを変えてくれた真中くんにはとても感謝している。だから…どんな結果になっても構わないから」


「ゴメン東城…  ありがとう…」


淳平は、心底自分が情けなかった。


『構わない』という綾の言葉が、彼女の本心でない事は分かっている。


でも、だからと言ってどうしようもなかった。


綾を抱いても、つかさのことを忘れられない自分に気付かされた。


(ちくしょう…ちくしょう…)


涙が出そうになるほど悔しい。








「…普段はここまで、小さいの?」


綾はじっと下の方を見てつぶやいた。


「えっ…   あっ!」


欲望を出しきった淳平のものは通常の大きさに戻り、綾の中から押し出されていた。


別の情けなさが淳平を襲う。


「いや…どうだろう?自分でも良くわかんねえんだ。でもプールの後はもっと小さくなったと思う」


情けない上に恥ずかしさもあるが、開き直って話す淳平。





「東城、血が…」


自身のものを見た時、綾の女芯も目に入った


溢れ出した愛液の中に、赤い流れ。


(俺が東城の、初めての男になるんだよな)


改めて、自分のした事を痛感した。





「大丈夫だよ。初めてがこうなる事は知ってるから。それに真中くんに捧げられて、嬉しいの」


綾は気丈に振る舞う。


「ゴメンな…」


「そんなふうに落ちこまないで。まだ夜は…長いでしょ?」


「へっ?」


「真中くんが望むなら、あたしは…何度でもいいよ」


綾はやや頬を赤くした笑顔を向ける。


「い、いいよそんな… そ、それに…痛いんだろ?」


「すごく痛いのは最初だけなの。これから少しずつ痛みは減ってくみたいだから」


「で、でも…」


「真中くん、少しずつ大きくなってるよ」


「あ…」


綾の言葉通り、淳平のものは再び膨張を始めていた。


心では綾を気遣っているのだが、若い身体は綾を求めている。


「俺って一体なんなんだよ…」


心とは相反する自身のものが嫌になった。


ガクッと肩を落とす淳平。





「そんな事で気を落とさなくてもいいよ。それに西野さんのためにも、今はいっぱい経験をつんだ方がいいと思うな」


「経験?」


「そうすれば西野さんの時に、落ちついて出来るでしょ?だから今は、あたしで練習して。ね!」


綾は至って明るい。


(練習か…)


この時、淳平はさつきの顔が思い浮かんだ。


(そういえばさつきにも『練習』とか言って迫られたっけ)


(俺と東城の事を知ったら、あいつどんな顔するかな…)





(でもゴメン。俺はさつきの気持ちには応えられないんだ…)





「どうしたの?」


「あ、いや別に、ちょっとボーッとしちまって…じゃ、じゃあ…」


淳平は、まだ火照りが残る綾の身体を抱き寄せた。


「俺に、東城のこと…女の子のことをもっと教えてくれよな…」


「うん…」


二人は笑顔のまま、軽いキス。


そのまま2回戦に…





外の嵐はまだ収まらない。





二人の嵐も、まだ収まらない・・・



















そして、静かな泉坂の夜でも、


嵐が吹き荒れていた。





ギシッ…  ギシッ…


天井から吊るされた1本の麻縄。


そこに繋がれているのは白くて華奢な両手首。


さらに下っていくと…





長い髪


ややがっしりした白い肩。


豊満な胸。


細い腰。


大きく、形の良いヒップ。


肉付きが良く、はちきれそうな腿。


高校生とは思えない、とても魅力的な裸体を闇に晒される少女。






そしてその少女の前にしゃがみ、股間に手を伸ばす上半身裸の男の影。


「…もう…やめろぉ…」


「へへっ…やっぱさつきちゃんはエッチだなあ…」


「こ、小宮山ぁ…あうっ!!」


小宮山はあらわになったさつきの女芯に手を伸ばし、いやらしい手つきで動かしている。


くちゅくちゅくちゅ…


卑猥な音が闇夜の教室に響く…





ここは泉坂高校のとある教室である。


ここで小宮山はまた『獣』になっていた。


今までで最高の『ご馳走』を前にしたその目は血走っている。





「さつきちゃんスゲエな。どんどん溢れてらぁ…」


ぬちゃ…  ぐちゃっ…


卑猥な音がどんどん大きくなる。


溢れた蜜が小宮山の手にべっとりと付き、わずかな光りでも輝きを見せる。


「あうっ… くううううっ… 」


耐えるような声を漏らすさつき。





「さつきちゃん、ガマンは良くないよ。気持ちいいんならもっと声を出さなきゃ」


「あ、あんたの手なんか…気持ちいいわけ…  ああっ!!」


「無理無理。薬の力には逆らえないって」


「こ…この卑怯者…  あっ…あううううっ!!!!」


小宮山の舌がクリトリスを捕らえた。


くちゅくちゅくちゅ…


じゅるるるるる…


蜜をいやらしい音を立てながら吸い上げる。





「うあっ…   あっ!!   ああああああああっ!!!!」


激しい声と共に、全身を大きく震わすさつき。


そのまま崩れ落ちそうになるが、麻縄がそれを阻む。


さつきは強制的に立たされた状態で、絶頂を迎えた。





「ああああああ…  」


さつきの口から力のない声が漏れる。


(あたし…最低…)


(小宮山なんかに…あたし…イカされるなんて…)


薬の力があるとはいえ、いつも見下していた小宮山の手で感じた事が、絶頂を迎えた事が、


さつきにとって大きな屈辱だった。





「へへっ・・・やっぱさつきちゃんはいいぜ。美鈴なんかとは大違いだあ」


「なっ…それってまさか!?」


「そうだよ。俺がヤッたんだ。美鈴はつまんなくってなあ。ただ泣き叫ぶだけでよお。だから今回は媚薬を用意したのさ。さつきちゃんに悦んでもらうためにねえ」


「小宮山ァ…」


怒りをあらわにするさつきの顔。


だが腕を拘束され、媚薬の力と絶頂を迎えたばかりの身体はいう事を効かない。





「別にバラしてもいいけど、この事を美鈴が知ったらどうなるかなあ?」


「えっ…」


「俺をずっと見下していた美鈴が、『俺にヤラれた』事を知ったら、どうなっちゃうのかなあ?」


「あ、あんたって奴は…」


「あいつ今、拒食症なんだろ?美鈴はプライドが高い分ショックも大きいんだよなあ。この事知っちゃったら、ショック死しちゃうかもよお?」


薄ら笑いを浮かべる小宮山。


「あ、あんただけは…絶対ゆるさない…」


さつきは、美鈴の事を誰よりも心配していた。


初めて出会った時は大喧嘩したが、その後は仲良く話せる相手になっていた。


そして、そんな美鈴を傷つけ、苦しめた男に対する怒りもハンパではない。


目の前にいるその男を、鋭い眼光で睨みつける。





「やっぱさつきちゃんは元気だな。でもそれもどこまで続くかな?」


さつきの視界から小宮山が消える。


「ま…待てぇ…逃げる…   あうっ!!」


突如、吊るされている縄が緩み、前のめりになるさつき。


「逃げないよ。ここを貫くまではね…」


「あっ!?」


さつきの身体がピクンと跳ねた。


小宮山はさつきの後ろから、欲望の矛をさつきの女芯にあてがっている。


「やっ…やめてッ!!そ、そこは真中のためにとってあるの!!だからお願い!!」


必死に懇願するさつき。


「あれ?さっきまでの怒りはどうしたのお?」


「もういいから!あんたの事黙っててあげるから!!だからそこだけはっ!!」


「なんで真中なんだよ?あいつは今頃長崎で東城とヤッてるぜ?」


「そ…それでもいいの!あたしの初めては真中って決めてるの!だから…」





「んな事かってに決めんなあ!!!!!」


それまでへらへらしていた小宮山が急にキレた。


そして、矛を一気にさつきの中へ突っ込む。





「ああああああああっ!!!!」


絶叫するさつき。


媚薬の力でも、初めての侵入の痛みを和らげる事は出来ない。


引き裂かれた事を示すように、女芯からは鮮血が滴り落ちる。





「うはっ…うはっ…さつきちゃんの中…メッチャ気持ちいいぜえ…」


バックから激しく腰を突きたてる小宮山。


「痛い!!痛いよお!!やめてぇ!!!」


頭を振り、涙を流しながらさつきは叫ぶ。


だが、小宮山の激しい動きがもたらす激痛からは逃れられない。





「もうすぐ…もうすぐ終わるよお…中にぶちまけてやるからなあ…」


「や…やめてえっ!!それだけはあっ!!」


「ああっ…出るっ…うっ!!」


小さな叫び声の後、一気に腰を深く突き刺す小宮山。


矛の先端から放たれた欲塊が、さつきの中に広がっていく。





「あ…   あ…   あ…   」


全身を痙攣させるさつき。


体内に広がる熱いものを感じる。


それが、さつきを絶望のどん底に突き落とした。





光を失った目から流れ出る涙が止まらない。


まるで蛇口が壊れた水道のように…


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