R「幸せのかたち」17 - takaci 様



今夜、こんな事になろうとは予測していなかった。


避妊具のコンドームは持ち合わせていない。


(せっかくここまで来て、こんな事でダメになるのか?)


(でも西野にあんな事があったんだ。それを知ってこのままするわけには…)


(アダルトビデオみたいに外で出せばいいんだろうけど、初めてでうまく行くのかどうか…)


淳平の表情に不安と焦りが生まれる。





「いいよ」


「えっ?」


「そのままで、いいよ。今日は大丈夫な日だから」


「い、いいのか?」


驚く淳平は、綾の笑顔をじっと見つめる。


「うん。あたしも…真中くんが欲しい…」


かすれ声で淳平の背中を押す綾。





(俺って情けねえ…)


淳平は自分のふがいなさが嫌になった。


その一方で喜びにうちふるえている事も、それに拍車を掛けていた。


(好きな女の子の前では、恰好つけてリードしたかったんだけどな…)





(あ、忘れてた!)


ある大事な事に気づく淳平。


「東城!俺、東城に言わなきゃいけないことがあるんだ!」


「え?な、何?」


突然の事で驚く綾。


「今更こんな状態で言うのもなんだけど、でもやっぱり言っておきたいんだ」


「…」


綾はじっと淳平の言葉を待つ。





「俺…東城のことが…好きだ!」


「決してこうなったからじゃないよ。ずっと…ずっと前から好きだったんだ!」


突然…本当に突然の告白。





それを受けた綾の瞳から、すっと涙が流れ落ちた。


「と、東城!?」


驚く淳平。





「真中くん…嬉しい…」


「あたしも…真中くんの事…大好き」


感涙に咽ぶ綾。





「東城…」


淳平からも自然と笑みがこぼれる。





これで、心に引っかかるものは何もない。


あとは、





ひとつになるだけ…





淳平は蜜が滴る女芯の入口に、自身の欲望をあてがった。


ピクンと綾の身体が動く。


「いい?」


乾いた声で最後の確認をする。





やや固い笑顔で、大きく頷く綾。





「じゃあ、いくよ…」


言葉の後、淳平は挿入を始めた。





(くう…)


包み込まれる快感が淳平に襲いかかる。


「ううっ…」


対照的に、綾の顔は苦痛で歪んでいく…





(うわっ、メッチャ気持ちいい!スゲエ締めつけて…)


内壁と愛液が淳平の欲望に未体験の快感を与える。


(東城ゴメン。でももう…)


苦痛に歪む綾の顔が目に入った。


だが、もう止まらない。


腰に力をこめて、綾の中に埋没させていく。





「はあっ…はあっ…は、入ったよ…」


欲望が根元まで包まれた。


圧倒的な快感。


息が荒くなり、汗が噴き出してくる。





「東城、だ、大丈夫か?」


「う、うん…へ、平気…だよ」


引き裂かれるような苦痛に耐えながらも、綾は淳平に笑顔を見せた。


…愛しい人を心配させない為に…





(本当にゴメン。平気なわけないよな…)


綾の作り笑いは淳平の心をチクリと痛ませた。


だが、そんな事で男の本能が収まるわけがない。


淳平はゆっくりと腰を使いだした。


「はあっ、はあっ… と、東城のナカ…スゲエ気持ちいい…」


「あっ…くっ… ま、真中…くん… うっ… くっ… 」


「も… もう少し…だから…  そんなに…もたない…」


眼下で苦しむ綾に、淳平は限界が近い事を伝える。





綾はずっと淳平のものを熱く、きつく締めつけている。


今まで行ってきた手淫なんかとは比べ物にならない。


圧倒的な快感に溺れる淳平。





「はあっ!はあっ!…」


腰の動きは次第にピッチを早めていく。


快感はどんどん大きくなる。


だが、


(なかなか…イケない…)


限界が近いのだが、その先に行かない。


(もっと動いたら行けるんだろうけど…)


「うっ… あっ… くうっ… 」


苦痛に歪む綾の表情が、淳平を躊躇させていた。





綾の涙は止まらない。


両手でシーツを掴み、必死に耐えている姿はとても痛々しい。


(東城の為にも早く…。でもこれ以上動いたらもっと苦しむ…)


この状況で奇妙な葛藤を生む。


優しさゆえに、獣になりきれない。





「はあっ…  真中…  くん…  うっ…」





綾の表情が変わった。


一瞬だが、苦痛とは異なる表情を見せた。


今までの少女の表情ではなく、大人の女の顔…





ドクン





心のブレーキが解除される。


優しさを捨て、獣になる。


腰の動きを一気に早めた。


バンバンバンバンバン!!!!


肉と肉が激しくぶつかり合う。


「あっ!あっ!あっ!かっ!あっ!くっ!あっ!」


綾は堅く目を閉じ、増大した苦痛に耐える。





淳平は一気に限界が来た。


「東城!もうちょっとだから!だから…あ…イク!」


快感が全てを支配する一歩手前。





突然、綾の手はシーツを離し、淳平の背中に回した。


無意識のうちに愛しい人を引き寄せようとしたのだろうか。


激しく爪を立てて、淳平の背中に傷を付ける。





「つっ!? あっ…出るッ!!!」


突然の背中の痛み。


それと同時に、淳平は綾の中へ『白い欲塊』をぶちまけた。


(ウワッ…スゲエ出てるっ)


大量の精液が噴出している事を感じる淳平。


(あ…熱い…)


綾もまた、体内に広がる『淳平』を感じる。





二人はしばらく繋がったまま、荒い息を整えた。





「東城…抜くよ」


「ううん。もう少しこのまま…」


「えっ?でも痛いんじゃ…」


「それでも…もう少し真中くんを感じていたいの…」


乱れた髪のまま、綾は淳平に訴えた。





その言葉が、その表情が、ある決断を確固たるものにする。


(東城…メチャクチャ愛おしいよ)


淳平は綾の乱れた髪を優しく整えた。


「ありがとう真中くん」


笑顔の綾。





「俺、西野もさつきも忘れる。もう東城だけを見て行くから」


淳平の決断。


晴れた顔で綾に告げる。





目の前の綾は笑顔のままだ。


(もったいぶるなよ。早く頷いてくれよ)


淳平は綾の了承を確信していた。








(えっ!?)


だが、目の前の綾は、


笑顔のまま、静かに首を横に振った。


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