「幸せのかたち」10 - takaci 様
「お、おばさんに追い出されたって…なんでですか?」
喫茶店の窓際の席で向かい合って座り、話をする淳平と唯の父。
唯の父の現状が、本人の口から語られていた。
「実は…浮気がばれてしまってね…」
バツが悪そうな唯の父。
あの威厳はすっかり陰を潜め、情けない姿をあらわにしている。
「う、浮気!?お、おじさんがですか!?」
淳平は頭をハンマーで殴られたようなショックを受けた。
「いやまあ。君もいずれ分かると思うが、男なら人生で一度や二度はするものだよ…」
「で、でも…」
「いや、もちろん私は妻を愛している。でも長く一緒にいるとその…刺激が欲しくなるというか」
「は、はあ…」
淳平はただ頷くしかない。
「少し前に…若くて綺麗な女性と仲良くなれて、そのまま深い仲になってしまったんだ。その女性は胸が大きくて、男の本能が強く働いてしまってな」
唯の父はにやけて顔が崩れている。
「む、胸ですか?」
「私の妻は胸が小さくてね。それもあって大きな胸を見るとどうも…君も大きな胸には惹かれるだろ?」
「ま、まあそうですけど、でもだからって浮気は…」
不快感を示す淳平。
「君は、『据え膳食わぬは男の恥』という言葉を知っているか?」
「な、なんですそれ?」
淳平にとって初めて聞く言葉だ。
「男は、出された食事は断らずに頂くべき。という事だが、この場合の『食事』とは『女性』を表すのだよ」
「へっ?」
「要するに、『女性が自らの身体を差し出したら、男なら抱くべきだ』と言う意味だよ。これは私の持論でもあるんだ」
唯の父の声にやや張りが出てきた。
…開き直ったのだろう…
「いや…でもそれはちょっとおかしいんじゃ…」
淳平はその考えに反対するものの、やや押され気味。
「良く考えてみたまえ。こういう事は本来、男が女性を口説き落とすものなんだ。それを女性から言い出すという事は、女性にとっては大変勇気のいる事なんだよ。それを断ることは、その女性に大きな恥をかかす事になるんだ」
(って事は、俺はさつきに恥をかかせた事になるのか?)
さつきに迫られた事を思い出す淳平。
「男が女性に恥をかかせてはいけない。どんな事があっても、男は女性を受け入れるべきなんだ」
その言葉が淳平の心に突き刺さる。
(俺は、男としてはダメって事なのか…)
「でもそうした事で、私は妻から追い出されてこんな所で途方に暮れているんだがね…」
それまでの勢いが急速にしぼむ唯の父。
「やっぱダメじゃないですか!」
逆に勢いを取り戻す淳平。
「理想と現実は違う事を改めて思い知らされたよ。普段は私が強くても、やはりいざとなると妻にかなわん。こっちに来たのも、唯に協力してもらって妻に許してもらおうと考えたからだからな」
コーヒーカップに口をつける唯の父の姿は、とても情けなく見える。
「おじさん、それってメッチャカッコ悪くないですか?」
「もうこうなってしまってはそんな事は言ってられんのだよ。淳平くんも唯の説得、協力してくれないだろうか?」
「お、俺もですか?」
「如何せん私は娘に嫌われてるし、ひょっとしたらもう妻からこの事が伝わってるかもしれん。でも、もしそうでも唯が慕っている君が一緒なら、私の話を聞くと思うんだ。だから頼む」
なんと淳平に向かって頭を下げた。
予想外の事で、淳平はもちろん慌てた。
「ちょ…ちょっと頭を上げてください!わ…分かりましたから…」
本心は嫌だったが、あの厳しい唯の父にここまでされてはもう頼みを聞くしかない。
「そうか!ありがとう淳平くん!!」
唯の父は満面の笑顔を見せる。
(据え膳がなんだかどうだか知らないけど、それであのおじさんがこんなみっともない姿を見せる事になったんだ)
(そんな事…俺には、出来ん)
(でも、嫌な事を頼まれちゃったなあ…こんな事で唯の説得か)
(はあああああぁぁぁぁぁ…)
心の中で大きなため息をつく淳平だった。
その頃、唯の部屋では
「あっ… ああ… 」
暗い部屋に、まだ幼さの残る喘ぎ声。
上下の下着のみを身に着けた唯の身体はベッドに投げ出され、
その上から黒のブリーフ1枚の高木が覆い被さっている。
高木の唇は唯の耳たぶから首筋へ、さらに少しずつ下がっていく。
背中に廻した手は、ブラのホックを外す。
「あっ…」
唯が気づいた時には、ブラを上にずらされて小さな二つのふくらみがあらわになっていた。
「唯ちゃん…綺麗な胸だね。かわいいよ」
「やっやだ、恥ずかしい… 唯、胸ちっちゃいから…」
「いくら大きくても、綺麗じゃなきゃダメだよ。唯ちゃんの胸はスゲエ綺麗だ…」
高木の左手は唯の右胸を下から優しく揉み解す。
「あっ… 」
快感が声を漏らす。
その声を聞いた高木は淡いピンク色の小さな乳首を優しく摘み、指の腹で優しく転がす。
そして反対側の乳首は唇と舌で刺激を与える。
「ああっ! あっ… あっ… 」
漏れる声のトーンが上がる。
高木が与える適度な刺激が、唯に最大限の悦びをもたらしていた。
「乳首が大きくなってるよ」
「あっ…そ、そんな…は、恥ずかしいよう…」
「でも、嫌じゃないだろ?」
「あ…」
唯は恥ずかしそうに頷く。
「あとね、男の手で揉まれると、女の子の胸は大きくなるんだよ」
高木の左手と唇は、胸への愛撫を再開する。
「あっ… あはぁ…」
唯の口からは、再び快楽の声が漏れる。
「ああ… はあっ… 」
「ああ… あ… あ… あ…」
声の間隔が狭まり、呼吸も次第に荒くなる。
唯の思考を快楽が支配していく…
「あっ! そ、そこは… あっ! あっ!」
一瞬の戸惑いの後、声のトーンが一気に上がる。
高木の右手は、今やただ一つ身に纏っている白い下着の上から、
前人未到の唯の女芯を優しくなぞり始めた。
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