TAKE5 『回想 飛行機(前編)』 - そーす 様  


『わぁ〜〜〜〜〜すごい景色 ねぇ 淳平君淳平君!見てみて〜』

窓の外・・・・・・・・一面雲の絨毯
飛行機の中

そう現在真中たちを乗せた飛行機は映研の夏の合宿所である無人島に移動している最中なのである

『山あり谷ありなんでもあり』

機内はこれから起こるハプニングへの期待からか・・・・はたまた旅路の不安を押し隠すためか
いつもよりいささかハイテンションである

『なになに〜?西野〜〜』

(ドンッ)

『おおっとゴメン』

『へぇ〜すごいね。写真で見るよりやっぱり生で見たほうが迫力あるなぁ』

といつの間にかつかさの隣に立っている大草

『何で君が隣にいるのよ・・・・』

西野は心底すごくいやそうな顔をして大草をにらみつける

(これだけ嫌われてると、かなり痛い・・・・・)

『い、いやぁ・・・・なんとなく』

内心冷や汗をたらしながら大草は西野の肩に手を回そうとする

『・・・・・・・・・・・っ!!!!』

瞬間

「エアポケット」に入ったのだろう

突如機体内のバランスが崩れる

『キャッ』

『西野ぉぉぉおおっ』

自然・・・・・と身体が動いたのか気が付くと淳平が
つかさを抱きかかえている

『だ、大丈夫(お、思わず抱きしめちゃったけど)』

『う、うん(ドキドキ)』

『ちっ』

一人舌打ちをした大草

『西野〜〜〜〜大丈夫』気をとりなおしつかさの元へ駆け寄ろうとする大草

『キャッ』

ぱしゃ・・・・・

『あ・・・・・・』

まるでタイミングを計ったかのように・・・・・

『お、大草さん!!ご、ゴメンナサイ』唯

『い、いいよ・・・唯ちゃん』

大草は構わず西野の方へ向かおうとする

が、

ぐいっ

『あの・・・・離してくれないかな?ハハハ・・・』

『あ・・・・あの・・・・そのままじゃ風邪・・・・を引いちゃうから(もじもじ)』


『(な、ナイスだ!南戸隊員!! 非常にわざとらしくない反応だ 
天性のものか いや末恐ろしい邪魔っぷりだ)敵に回すとおそろしいやもしれぬな』

額に『つかさちゃんの恋を見守る会(友)』のたすきをしめているトモ子その人であった。

彼女はおもむろに携帯を取り出すと指示を飛ばす

『東尾隊員!西園寺隊員!南戸隊員が目標への第一次接触を果たした。至急作戦行動を開始せよ』

『『ラジャー』』まゆこ&めぐみ

元気な返事が聞こえる

『北原隊員は作戦名『クラッシャー大草』の準備のため待機』

『ら、らじゃ〜』

『あの・・・・トモ子先輩』

『なんだぁっ!!!作戦行動中は隊長と呼べと行ったでしょ!!!』

『は、はい 隊長!!あの〜〜〜本当にいいんでしょうか?こんなことして』

『大草くんがつかさにとられてもいいの?』

『い、いえそれは・・・・・でも・・・・』

『だったら言うことを聞きなさい!間違いないんだからっ』

そう・・・・・彼女たちの利害は一致している

唯たち桜海四人衆は大草を狙い、トモ子はつかさの恋路の邪魔をする真中以外の男どもを殲滅する

『(私はつかさから引き離せれば彼がどうなろうとどうでもいいの・・・
 大草君を落とせるかどうかは貴方たち次第、でも今回のことで嫌われても恨まないでね)フフフ』

『何やってんだ?あいつら』

策士外村は彼女達の様子を遠くから見守っている

(場面は真中に戻る)

『に、西野(や、やわらかい)』

『じゅ、淳平君・・・もう大丈夫だから』

『あっ・・・・ご、ゴメン』

『ううん・・・・・ま、守ってくれてありがとう』

二人の間に柔らかな雰囲気が流れる

『いい・・・・いいよ・・・・つかさその表情恋する乙女って感じで最高よ〜そんな笑顔で笑いかけられたら
どんな男もメロメロよ〜記念写真記念写真っと』

一人悶えているトモ子

は置いといて

『くーっ何よ何よ やっぱり東城さんより西野さんの方が強敵っぽいわね・・・・・
 オーラが出てるわオーラが!!!!!』

『北大路せんぱーい はやくしてください〜〜〜〜つぎ先輩の番ですよ』ちなみ

『ああっわかってるわかってる!!ほれ・・・・・・げっ』さつき

『わーいババ引いた〜〜〜〜』ちなみ

『このはちきれんばかりの魅力的なボディをもつ私を捕まえてどぅわ〜れがババァですって〜〜〜』さつき

『いや・・・・・どっちかというと『オニ』ですよ』美鈴

ようやく落ち着きを取り戻した美鈴が呟く

『(ひとまず戦闘力を重視して北大路先輩の方に付いた)』
『(端本さんはくやしいけど、私よりかなり魅力的。まぁいざというときのための餌にはなってくれそうだわ)』
さすが策士の妹・・・・・・・・どこまでも打算的


真中達の様子を見つめる綾
『(真中くん・・・・・・やっぱり西野さんのことを)・・・・・』思わず下を向く

『・・・・・・・・気になる?』天地
(どきん)
自分の心を見透かされた言葉に一瞬胸が高鳴る

『真中達のことが気になる?綾さん』

(言わないで・・・・・聞きたくない)

(どうして・・・・そういう事をいうの?)

 そっとしてほしい

『いや・・・・私は何も そんなとこ見てな・・・・』

『お似合いだよね彼ら・・・・・見てるこっちが恥ずかしくなる』

(もう・・・・・・やめてぇ!)

『まぁ僕たちは僕たちで・・・・・・』

不意に天地の手が綾の肩にそっとかかる

(っっっつっつ!!!!)

『ご、ゴメンナサイ!!!私ちょっとお手洗いに・・・・・』

『あ、綾さ・・・・・』

いつもとは違い明らかに拒絶の意思をしめた綾は
天地の手を全力で振り払う

バッ

そして気まずそうに化粧室の方に歩いていった

天地はしばらくは呆然としていたが、
『フッ・・・・まぁいいさ。時間はたっぷりあるんだから』
気を取り直したのか
ゆっくりとシートにもたれかかり目を閉じる


遠くから彼らの様子をうかがうもう一つのグループ

『真中さん・・・・・・東城さん以外にもあんなにお知り合いが・・・・うううっ』こずえ
『(ふーん結構複雑に入り乱れてるものねぇ・・・・これもあの男の才能かしら。だからこそこちらの付け入る隙もあるってか・・・フフン)』

不安に押しつぶされそうなこずえ・・・・
とは対照的に麻衣はこの状況を楽しんでいる

『どうしよう・・・・・こんな人たちと比べられたら私・・・・・なんか(しゅん)』こずえ

バシ〜ン

『きゃっ』
『だーいじょうぶっだってぇ 向井 もっと自信持ちなよ』
(まぁ今の所は特に進展はないよう・・・・・
 だけど このバランス・・・・何かのきっかけがあれば『簡単に崩れ 落ちるわ』・・・・・そのときが勝負ね!!!)
(・・・・・どっちにしろまずはこの子の男嫌いを何とかしないといけないんだけど・・・・・・)


『・・・・・・・・・・・・』 
綾の心は入り乱れている
先ほどとは全く別の意味で

目の前で繰り広げられている光景に思わず絶句してしまう

そう・・・・化粧室で彼女が目にしたものとはっっ!!!!


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