R宴2 - お〜ちゃん 様
はぁ・・・つかささん・・・・かわいいな・・・
バイトの帰り、僕はいつもつかささんのことばかり考えていた。バイト中の仕草、笑顔、話し方。全てを出来る限り思い出し、そして幸せな気分に浸っていた。
家に帰っても同じことで。時にはつかささんのことを思いながら布団の上で一人興じることもあった。
「よう、コータじゃねぇか」
「えっ!?」
一瞬にして背中が寒くなり、僕は今までの幸せな時間が全て消えてしまった。
「おい、コータじゃねぇかって言ったんだよ、お前はコータじゃねぇのかよっ!!」
ドカッ
「グッ・・・」
手加減のない拳が、僕のお腹にめり込んだ。
「コ・・・コータです・・・」
僕はお腹を押さえながらかがみこんだ。
「おい、誰が座れって言ったんだよ、立てよ」
「・・・す・・・すみません・・」
ズキズキという感覚に耐えながら、僕は震えながら立ち上がった。
「お前、こんな所で何やってるんだ」
「あ・・・い、いえ・・・その・・・」
コイツらにバイトのことは知られたくなかった。ましてやバイト先については絶対に知られたくなかった。
「まぁいいや。それよりよ、さっきまでお前と一緒にいた人、あれ誰なんだよ?」
見られた!?
「え?・・・・だ・・・誰って・・・」
「とぼけてんじゃねぇよ!お前、さっき女3人と歩いてただろうがよ!!そん時にいたあのメチャクチャかわいい女は誰だって聞いてんだよ!!」
胸倉を掴まれ、僕はアタマの中が徐々に真っ白になっていった。
「バ、バイトの・・・」
「あぁ?」
「バ、バイトの人です・・・・」
「・・・・ほぉ・・・」
強い力から開放され、僕は咳き込んだ。
「明日、昼休み必ずいつもの所に来いよ」
もっと色々と聞かれ、ヒドイ目に合わされるかと思ったが、意外にも僕はそこに一人取り残された。
昼休み、僕はいつものようにいつもと同じ場所にいた。
「そ、そんなこと・・・」
「うるせぇっ!いいから言うとおりにすればいいんだよ!!」
「無、無理だって。そんな僕には・・・」
「無理無理言ってんじゃねぇよ!やるのかやらないのか。俺が聞いてんのはそれだけだ!どっちなんだよ!!」
一斉に向けられた視線。鋭い眼光が僕を睨みんで離さない。背中ではない。真っ向から見られるというのはこうも威圧的なんだろうか。
「・・・・・・・」
沈黙というのが、こうも怖いと感じたのはたぶんこれが初めてだったと思う。
「・・・・・・・」
「わ・・・わかりました・・・」
「よし、じゃああとは俺たちが連絡するまで誰にも言うんじゃねぇぞ、わかったな」
「・・・・はい」
穏やかな口調が、僕にはとても恐ろしく感じた。
「お疲れさま♪それじゃコータくん、また明日もよろしくね!」
「あ・・・はい、お疲れさまでした」
僕はいつものようにバイトを終え、そしていつもの場所でつかささんと別れた。今日は他のバイトの子はいない。テスト期間中になったので試験前勉強で休みだった。
その中、僕は敢えて今日バイトを入れていた。
そう、今日しかないと思ったからだ。
「あ、あの・・・・すいません!!」
息を切らした少年が今まさに家に着きそうだったつかさに声をかけてきた。
「ん?何??」
「あ、そ・・・その・・・」
「コ、コータが・・・・」
「え?コータくんが!?」
「は、はい。バイト先の、確か・・・つかささん?ですよね?」
「うん、そうだけど、コータくんがどうしたの??」
「じ、実はさっき俺らとバッタリ会ってついついふざけあってバイクに乗ってたら転倒しちゃって・・・」
「えっ!?ケガは!?大丈夫なの!?」
「はい、たぶん大丈夫だと思うんですが何せあいつ、無免許なんで・・・」
つかさはその言葉で何となく意図を掴んだ。
「バレるとマズイってこと?」
「は、はい」
下を向いたまま少年は両手で拳を振るわせた。
「それで、どうしようかって言ってたらアイツ、さっきあなたと別れたばかりだから追いかけて相談してみてくれって」
「わかった、ちょっと待ってて!救急箱持って来るから!!」
「あ、ありがとうございます!!」
つかさは少年を残すと、急いで路地を曲がり自宅から救急箱を持って来た。
「場所は何処なの?」
「こ、こっちです!!」
つかさと少年は暗い道を必死になって走っていった。
「ここです!とりあえずこの中で休ませてます!!」
公園の片隅にある『地区公民館』。
入り口の前に一台のバイクが停められていた。
「誰かいないか叩いたんですが、誰もいなくて。そしたらドアが開いてたんで」
「いいから、とにかく急ごうよ」
「はい」
明かりの着いた廊下を通るとすぐに「救護室」と書かれた部屋から明かりがもれていた。
「コータくん!!」
つかさは勢いよく部屋に入った。
「えっ!?コ、コータ・・・・く・・・ん・・・」
つかさは眼を丸くした。
イスに後ろ手で縛られた姿。殴られたのであろう、唇から流れる血と青くなった顔。そしてボロボロになった衣服。
それがバイクの転倒によるものではないことは一目瞭然だった。
「き、キミ達、一体何をしてるの!!」
つかさは救急箱を開けながらコータの方へと走りよった。
「おっと、動かないでくださいよ」
つかさは足を止めると、その少年を睨み付けた。
「これ、何だかわかりますよね?これでプスっと刺したら痛いだろうなぁ」
少年はコータの頬に鈍く光る先端を突きつけた
「知ってます?一気に突き刺すよりも、この皮膚の表面を薄く切りつけていく方が痛みがひどいらしいですよ」
「や、やめなさい!キミ達、これがどういうことがわかってるの!!」
「えぇ、わかってます。でもね、僕たちはまだ未成年ですし、それにこいつは何があっても絶対にしゃべらない。」
「そういうこと。あとはあなたが、つかささんが黙っててくれればいいだけなんですよ」
ニヤニヤと笑いながら前と後ろから少年たちがゆっくりと言葉を発していた。
「何を言ってるの!?コータくん、早く帰ろう!!さぁ、早く!!!」
「ダメですよ」
「はい、そうですかと返すわけにはいきません。」
「そういうこと、何となくわかってるんじゃいの〜〜??」
ジリジリと近寄ってくる少年たち。少年とはいえ、高校生ともなれば身体も大きく、体力的にはもう大人だ。運動神経のいいつかさでもこの3人をかわして逃げることは容易ではない。ましてやコータを残してはどんなヒドイ目にあわされるかわからない。
「どうしろというの・・・」
つかさは二人を警戒しながら、今の現状を冷静に把握した。
この少年たちの目的。金銭的なものなのだろうか。だが、それならばまだいい。お金で解決できるのであれば。ただ、最悪の場合。そう、その最悪の場合を想像すると・・・
「もうわかってるんじゃないの?つかさちゃん」
廊下から低い声が届いた。
「誰・・・!?」
つかさが振り向くと、そこには一人の大人の男性が立っていた。浅黒い顔にやや茶髪なその男は、壁に肘をかけながらつかさに話しかけた。
「あれ?誰って、ひどいなぁ。俺のこと忘れちゃったのかな」
「あんたなんか知らないわ!それより、これはどういうことなのよ!!」
「あらら〜知らないときましたか。そうですか。ま、しょうがないか。俺なんかつかさちゃんから見たらその他大勢の中の一人だったからな」
「その他大勢・・・?」
「そう、まだわからない。そうだね、あの頃俺たちはこう呼ばれてたなぁ・・・」
男は不適な笑みを浮かべながら部屋の天井へ視線を移し、そしてつかさに鋭い視線を向けた
「親衛隊ってね」
「!?!?」
つかさの身体に戦慄が走った。身体中に寒気が沸き起こる。
想像していた、いや、それ以上に最悪の事態が今まさに目の前の現象となっていた。
「俺達さ、あれだけつかさちゃんの為に一生懸命だったのにさ」
男は一歩、また一歩と足を踏み出した。
「それなのに、それなのに真中なんてやつと一緒になっちまいやがって」
男はつかさの正面に立つと、ゆっくりと手をつかさの頬へと持っていった。
「ちょ、やめてよっ!」
大きく弾かれた手を押さえながら、男は顎でつかさの後ろを指した。
「彼がどうなってもいいの?」
「・・・・クッ・・・」
下唇を噛み締め、つかさは男を睨み付けた。
「くぅ〜、たまらないね。やっぱかわいいよ、つかさちゃんは。こんな顔、真中も見たことないんだろうな。」
「・・・・・用件は何なの」
「いや、別にね。たださ」
男の手がつかさの首筋を撫でながら、徐々に徐々にと豊かな膨らみへと移動していく。
「ただ、俺たちの相手をちょっとしてくれればいいだけ。それだけさ」
「さ、最低ね・・・」
「最低・・・か。ま、どうとても言っていいよ。どうせもうすぐそんな言葉も出ないくらい素敵な気分にさせてあげるからさ。」
シャツの上からの感触を楽しみながら、男は不適な笑みを浮かべ続けた。
「さて、どうする?別にこのまま帰ってもいいよ。俺たちはつかさちゃんには何もしない。ただ、わかるよね、その場合は・・・」
男は少年に合図を送ると、少年はコータの頬を思い切り引っ叩いた。
「グッ・・・・・ゲ、ゲホッ・・・・」
「やめてよっ!」
「えぇ、やめますとも。つかさちゃんの返答次第でね。」
「・・・・・・」
あ・・・つ、つかささん・・・ごめんなさい・・・
ぼくが、ぼくが悪いんだ・・・・こんな僕にいつも優しくしてくれてるのに・・・僕が・・・・・
「つ、つかささん!!」
コータは染みる唇の痛みに耐えながら大声を出した。
「逃げてください!!僕は、僕は平気です!!」
「コータくん!」
「うるせぇ!!誰が声出していいって言ったんだよ!!」
ドカッ
太い膝がわき腹にめり込んだが、コータは最期の力を振り絞って声を上げた。
「逃げてください!こいつらの目的はつかささんなんです!!僕はこういうの慣れてますから!慣れてるんです!!だから、逃げて・・・・」
「黙らせろ」
「はい」
少年たちはコータの口にタオルを巻き、その周りをガムテープできつくとめた。
「やめてよ、もうこれ以上コータくんを傷つけないで!!」
「えぇ、わかってますよ。ただ、今のは彼が悪い。俺とつかさちゃんの会話を邪魔した彼がね。」
男は腕組みをしながら長いすに腰を下ろした。
「さて、どうします?」
静かな室内の中、時計の秒針が刻む音と、苦しみに耐える声が入り混じっていた。
「どうすればいいの・・・」
「おぉ、やっぱりつかさちゃんだ。物分りがいいね。」
「そうだね、まずは・・・」
男は立ち上がり、ベッドの方を指差すと
「そこの前でとりあえずそのシャツだけ脱いでもらおうか」
少年たちの視線が一斉につかさに向けられた。
「・・・・わかった。シャツを脱げばいいのね。」
「そういうこと。まずはボタンだけでいいよ。」
つかさは顔を伏せながら、一つ、また一つと胸のボタンをはずしていった。
「くぅ〜〜たまんねぇ!!先輩、俺これだけでもたまんないっすよ!!」
「クックック・・・お前らはまだ子供だからな。おい、それより準備は出来てるんだろ?早く始めろよ。」
「あ、はい」
準備?何?何かを始めようというの・・・・
つかさは男たちの会話に不安を抱きながら、シャツのボタンを全部はずした。
「おぉ〜たまらないね、その姿。下は下着なんだね。少しだけ見えるってのがそそるねぇ」
男は立ち上がるとつかさに近づき、触れることもなく、ただギリギリの距離でつかさの白い肌を楽しんだ。
「先輩、用意できました。」
「おう、よこせ」
少年が男に渡したもの。それは一台のビデオカメラだった。
「や、ちょっとどういうことなの!!」
つかさは思わず身体を隠した。
「おっと、ダメだよ、そんなことしちゃ。」
男はカメラを覗き込みながら言った。
「言うこと聞くって言ったでしょ?俺が望むもの、それはコレ!」
カメラのレンズが足元からゆっくりと上に上がっていく。腰より上の辺りでチラチラと覗く白い肌をジックリと嘗め回しながら、胸から顔へと続いていった。
「そんな・・・・そんなの」
「いいですよ、止めても。そのかわり・・・」
男はあえて言葉を濁した。何も言わない。その事が逆につかさへこれからのコータへ起こりうる出来事を想像させることになるのだ。
「・・・・・・」
「どうします?」
止めてください!つかささん、だめです!!まだ間に合います!!逃げてください!!!
必死に叫ぶコータの声は届くことがなく、うめき声として部屋に響き渡った。
「次は、シャツを脱げばいいのね」
「そう、その通り。」
男はニコっと笑うと、カメラをつかさに向けてまわし続けた。
こ、こんなヤツらに・・・でも、コータくんを助けなくちゃ
白いシャツを脱ぎ、ベッドの上へゆっくりと置くと、少年たちは一斉に口笛を吹き始めた。
「あぁ、つかさちゃんの下着姿。何度想像したことだろう。かわいいね、この下着。」
男はカメラを手に持ちながら右手でブラジャーをそっとさすった。
ゾワゾワ
つかさは身震いをした。好きでもない男に触られることがここまで不快なものだとは知らなかった。
「さて、俺は監督だからね。つかさちゃん。監督の言うことはきちんと聞くように、わかったね。」
逆らうことはできない。
「わかったわ」
「あぁ、それと最初に言っておくけどね。あいつらはつかさちゃんには何もしないからね。」
男はコータの左右に立ちふさがってる少年たちを指差した。
「あいつらには代わりに金を握らせてあるから心配いらない。ここでのことも口外したらどうなるかという事もよく知ってるしね」
ニヤっと笑った男の表情に、少年たちは一瞬ビクッと身体を硬直させた。
「さて、はじめようか。つかさちゃん」
少し距離を取ってから男はビデオの録画ボタンを再び押すと、ゆっくり、ゆっくりとつかさの方へと近づいていった。
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