〜君へ〜 第一話 たこねぎ様



君は今何処で何をしていますか?

君と二度と会えないと分かっていてもそれでも俺は・・・





「見なかった方がよかったんだろうな・・・」


淳平は一人ベットの上で今日見た事を思い出していた


「西野なんであんなとこから出てきたんだよ」


今日淳平は学校の帰り泉坂総合病院から親と共に出てくるつかさを見たのだった


そこはかなり大きい病院で回りの人間でも行ったことのある奴など居ない


「まぁ、明日バイトの時西野に聞いてみるか」


不安を胸にしまい込み淳平は眠りに付いた


次の日


学校も終わりバイトへ淳平が向かうとちょうどつかさが館長にケーキを持ってきていた


「ハイっ、注文されてケーキです」


「いつも悪いのぉー、おい!淳平早く来て仕事しろ」


「あっ、淳平くん、今からバイト?」


「あっああ」


いつもと変わらないつかさに少し安心した淳平だった


「あたし戻らなきゃまた帰りね、淳平くん」


そう言い残し走って行くつかさ


(西野ホントに昨日は何も無かったんだろうか・・・)


日は沈み、淳平はつかさと一緒に帰るため迎えに行った


カラーンカラーン


つかさが出てきた


「お待たせ、変えろっか、今日あたし淳平くんと寄りたいとこあるんだけどいいかな?


「え?別に俺はいいよ」


「よかった、じゃ行こっ」


つかさに連れられ二人が付いたのは街の夜景が見れる場所だった


「すげー、こんな場所あったんだ」


「今年の春見つけたんだ、ずっと淳平くんと見たかったんだよ」


つかさは笑顔で言った


(西野・・・、俺西野の事傷つけたのに)


(やり直したくてももう無理なんだろうな)


淳平が一人考え事してると昨日の事が浮かんだ、淳平は迷わず聞いた


「西野なんで昨日あんな大きい病院から出てきたの?」


「え?あたし昨日は普通に家に居たよ」


(え!?だって西野は確かにあそこから出てきた、なんで嘘つく必要あるんだ!?)


「西野何言って・・」


淳平は言いかけた言葉をしまいこんだ、つかさの今のも泣き出し
そうな顔を見てしまったから


「今日はもう帰ろっか、寒くなってきたし」


つかさが笑顔で言うがそれはいつもの笑顔ではなかった


(西野なんでそんなに悲しそうに笑うんだよ・・)


この日を境に二人の運命は大きく変わり始めた。




〜君へ〜 第二話
たこねぎ様

季節は冬学校ではもうすぐバレンタインデーという事で異様な雰囲気だった

「今年は絶対貰う!!」

小宮山が一人暑く燃えていた

「期待するだけ無駄だって」

それをなだめる外村

「そういや、真中は誰から貰うの?」

外村の急な質問に淳平は少し焦った

「え?ああ、なんでもいいんじゃね?」

「真中、お前分かってないなぁ〜、その日は女の子が勝負をかけるひだぜ、お前らの関係にピリオドがうてるかもな」

少し楽しそうに言う外村に対し淳平は

「ばっばか言うんじゃねぇ(でも、ちょっと期待しちまうな・・・)」

バレンタインデー当日

「まっなか〜!!」

バフッ、朝からさつきが抱きついてきた

「やめろってっ、皆見てるだろ!」

「いいじゃん、真中も毎日期待してんでしょ?」

「うっ」

とっさに反論できない淳平であった

「真中ったら〜♪、このエッチ」

「だから別に俺は・・」

反論しようとした時さつきはチョコレートを渡した

「これ、あたしの気持ち受け取ってくれるよね」

「じゃあ、また後でね!」

淳平にチョコを渡し走り去って行くさつき

(さつき・・・、こんな俺をまだ好きでいてくれるんだな)

(早く、答えださないとな)

放課後

(真中君居るかな)

綾は淳平の教室まで来ていた

(やっぱり、緊張するな〜・・)

(でも、今日じゃないと)

「あれーっ、東城」

淳平が廊下の向こうから急にあわられた

「あっ、真中く・・、キャ!」

東城はこけたその拍子にチョコが落下した

「それ、チョコレート?」

淳平は思わず聞いてしまった

(やばっ、俺何言ってんだまるでチョコが物欲しそうじゃねぇか!)

「うん。真中君のチョコなんだけど」

「よかったら、受け取ってください」

「あ、ありがとう。大事に食うよ」

淳平は少し顔が赤いが綾はもう真っ赤だ

「じゃじゃあね、また部活でっ」

走り去って行く東城

(東城にもこのままじゃやっぱだめだよな)

綾に貰ったチョコを見つめ自分を見つめる淳平であった
そのとき外村が

「おっ、いたいた真中さっきつかさちゃんから電話」

「西野から〜!?貸してくれ!」

「電波悪いから切るって」

「なんだよー、(なんの用事だったんだろ、やっぱりチョコかな)」

少し落ち込んだもののすぐに期待で元気になる淳平であった


「ただいまー」

「お帰り今年はチョコもらえたの?」

「ああ、少しだけど」

帰宅した淳平は何よりつかさからの電話を期待していた

(家の前には無かったし、電話を待つかな)

時は流れ

「あ?ん?ファ〜寝てたのか」

淳平は寝てしまっていた、そして

「淳平起きたのさっき西野って女の子から電話あって、近くの公園で待ってるそうよ、早く行ってきなさい」

「え!?マジ?、すぐ行ってくるよ!」

(西野のこんな雪の中ここまで来てくれたのか)

「ハァ・・ハァ・・・、西野!」

「遅い!」

ブランコに乗っていたつかさが蹴り飛ばした靴が淳平にヒット

「こんな、時間まで何処ほっつき歩いてたんだよ!?」

「実は、ちょっと寝てて・・」

「寝てた〜?、まぁいいやこうして会えたし」

ブランコから飛び降り淳平に抱きつくつかさ

(西野ほっぺすっげー、冷たい)

つかさがずいぶん長く待っていたことは容易に想像できた

「ハイっ、今年は直接渡したかったの」

「ありがとう・・」

(西野から直接チョコもらえるなんて俺ちょう幸せ!!)

喜ぶ淳平に対しつかさは寂しそうな表情をしていた

「これが、あたしのあげる最後のチョコになるかもしれないから・・・」

「え?西野なんか言った?」

つかさが呟いたその言葉を淳平は聞き取れなかった

「ううん、なんでもないの、あたしこれで帰るね親も心配してるし、バイバイ」

「ああ、バイバイ」

(みんな、俺にホントにチョコくれるんだな、俺もそろそろ前にすすまきゃな、いけないな)

つかさの背を見ていた淳平はある決意をするのだった




〜君へ〜 第三話
たこねぎ様

チュンチュン・・・



「八時か今日は日曜だしもう一回寝るか・・」



日曜だからといって二度寝の体勢に入ろうとする淳平しかし



ガチャ



「淳平!今日一日唯とどっかお出かけしよ!」



部屋に入ってきていきなりの一言



「めんどくせぇよ、ゆっくり寝かせろって」



「ダーメ、今日は唯と出かけるの、ほら起きなって!」



唯にせかされ仕方なく起きたっ淳平は出かける支度をしぶしぶするのだった



「何処に行くつもりだよ?」



「今日は唯の買い物付き合って」



めんどくさいと思いながらもしぶしぶ承諾した淳平は唯と共に街へ向かった





「これ欲しい!買って淳平!」



「お前の買い物でなんで俺が金出さなきゃならねぇんだ!」



「淳平のケチ〜」



「無理なものは無理だ」



何処か楽しそうな二人であった、



昼頃



「お腹もすいたし帰ろ淳平」



「昼飯そこらへんで食えばいいじゃん」



「淳平どうせお金出してくれないでしょ、それに唯は昼から用事があるから帰るのっ」



「はいはい」



帰り道唯は淳平に突然尋ねた



「淳平バレンタインデーにチョコ三つ貰ってたけど、あの三人の中に本命の女の子いるの?」



「え!?いきなりそんなこと聞かれても」



戸惑う淳平、唯には誰が淳平に渡したか分かっているようだ



「淳平が誰を好きなっても勝手だよ、でもこのままじゃ誰も幸せにならないよ?」



「分かってる、そんなことは分かってるさ・・・」



唯の言葉が胸に突き刺さる



「俺は・・・」



淳平は何も言えなかった



「何か困ったことがあれば唯も相談乗るから」



「サンキュー、唯」



唯の優しさに触れた淳平であった



その後も帰り道を歩いていると唯がまたも急に



「噂をすれば一人登場♪唯先に一人で帰ってるから、後はがんば!」



「お前何いって・・・」



淳平が言うより早く走り抜けてゆく唯の向こうに居たのは



さつきだった・・・




〜君へ〜 第四話
たこねぎ様

「あれ?真中じゃん今日はあのがきんちょとお出かけ?



「まっまあな、それよりさつきはこんなとこで何してんだよ?」



「あたしは真中の家行こうとして、今偶然会ったってわけ」



これ以上にない笑顔で答えるさつき



「せっかくだから今からデートしよ!」



「今から!?まぁいいけど」



さつきの笑顔を見ると断れない淳平であった



昼だったのでファミレスに寄った二人



「真中この後何処行く?」



「さつきの行きたいとこでいいよ」



「ホント!?じゃあ映画見にいこっ」



「映画?俺は嬉しいけどお前が珍しいな」



「いいじゃん、早く食べて行くよ」



昼飯を済ませ映画館へ向かう二人



「真中どの映画が面白いの?」



「見る映画あったから来たんじゃないのかよ!」



思わずツッコミを入れる淳平



「真中が見たい映画見たいと思って」



「分かったよ、じゃあこの映画でいいか?」



「うん!」



こうして二人は映画を見た、内容はありきたりな恋愛物だったがヒロインは男のことを一途に思っていたが、男は自分のことしか見えず、ヒロインは男の元を去ってしまう話だった







夕方、映画も終わり映画館を出た二人



「なかなか、いい話だったね真中」



「そうだな、俺もここまで泣ける映画だとは思ってなかったよ」



映画の感想を言い合う二人、



「時間も遅いし帰るか?」



淳平は時間が時間なのでさつきに尋ねた、さつきはいつもに無い真剣な顔で



「最後に公園でも寄って帰らない?」



「いいけど(どうしたんだろ?さつきのこんな真剣な顔初めて見るかも)」



さつきの眼は何処か遠くを見つめていた






しばらく歩いて公園に着いた二人



「さつきなんで公園なんだよ?」



「・・・・・・」



さつきは黙った



「さつき?(どうしたんだよいきなり・・・)」



不安になる淳平沈黙がしばらく続いた後さつきが口を開いた



「真中あたし今日あの映画見て思ったんだ」



(何言い出すんだよ・・・まさか自分だけを見て欲しいとか・・?)



黙ってさつきの話を聞く淳平



「あたしは真中の事が好きでも真中があたし以外の誰かを見ているの知ってるだけど今ハッキリさせておきたいの、真中はあたしのこの気持ち受け止めてくれる?」



そういうさつきの顔は今にも泣き出しそうだった



「俺は・・・(言うべきなのか?でも言わないと前には進めない)」



「俺はこれ以上さつきの気持ちは受け止められないだから・・・」



淳平が続きを話そうとした時さつきが口を開いた



「やっぱね、あたしじゃダメだよね、だって他の二人といると真中すごい輝いてるんだもん」



さつきの目からは涙が落ちていた



(俺さつきのこと傷つけた・・・)



「ごめんさつき、でも俺さつきが俺の事好きでいてくれてホント嬉しかった、映画作りに力貸してくれて感謝もしてる」



淳平は自分がさつきのことを思っている事を精一杯伝えた



「ありがと、真中誰か決めたらその人のこと精一杯想ってあげなよ、絶対に幸せにしてやってよ!」



「もちろん、分かってる」



泣きながらも笑顔で言うさつきの顔は淳平の心に突き刺さる



「じゃあ、真中また明日ね、バイバイ」



「バイバイ」



走りながら帰って行くさつきその背中を見て淳平は



(俺ホントにこれでよかったのか?でも言わないと伝わらないんだこれでよかったんだよな、さつき・・・)



季節は冬、
公園にたたずむ淳平の体をいつもよりも寒い風が通りぬけるのだった




〜君へ〜 第五話
たこねぎ様

「ただいまー」



「おかえり淳平!」



「さつきちゃんと何か・・・」



唯は言いかけた言葉をしまった淳平の顔をみれば一目瞭然だったからだ



「唯、なんか言ったか?」



「ううん、なんでもないご飯早く食べないと冷めちゃうよ?」



「おう、すぐ行く」



(そっか、淳平さつきちゃんの事振ったんだね)






夕食後



「はぁー、あれでよかったのか」



淳平はベットで寝転がり公園でもやりとりを思い出していた



(いつかは言わないとだめなんだ、西野にも東城にも)



さつきの泣き顔を見た淳平は他の二人の泣き顔は見たくないと思っていた



ガチャ



「淳平、ぼーっとしてるの?」



淳平が心配で唯は淳平の部屋に来て遠まわしに尋ねた



「あたしでよければ相談に乗るよ?」



「ありがとう、実はさつきと・・・」



淳平はさつきとの今日の出来事を全て話した



「まぁ、こんな感じだ」



唯に話を聞いてもらい少し気持ちが晴れた淳平



「淳平確かにさつきちゃんを泣かしたのはよくないことかもしれないけど、このままの状態にしとくのはもっと良くない!だから悩むないつかは一人に決める気なんでしょ?」



「ああ、もちろんそのつもり」



「だったらウジウジしてないで、前を見なさい!」



「ありがとな、唯」



唯に励まされ元気を取り戻した淳平



「じゃあ西野さんと東城さん今はどっち?」



「う〜ん、どっちも好きって言うか・・・」



「あちゃ〜、さつきちゃんに気持ち伝えたのはいいけど早くしないと二人が可哀想だよ」



「あ、そういえば西野さんと言えば」



唯は何かつかさの事で思い出したようだ



「最近西野さん、学校休みがちなんだけど、淳平何か知らない?」



「知ってるわけないだろ、バイトでしか会わないのに」



「でも、なんか学校来ても元気無い感じなんだよね」



「心配しすぎだって(西野なにもなければいいんだけど)」



淳平の脳裏には悲しそうに笑うつかさの顔が思い浮かんだ



〜君へ〜 第六話 たこねぎ様

土日の連休も終わり新しい一週間が始まろうとしていた、もちろん学校も



「おはよう!真中」



「ああ、おはよう」



さつきが淳平に話しかけてきた



(さつきの奴普段と変わらないな)



さつきの元気な姿をみて安心した淳平



「オッス、真中」



次に外村が話しかけてきた、さつきを見る真中の顔を見て外村は大体の事は感づいた



「真中お前さつきちゃんと何があったんだ?」



「え!?別に何も無いけど」



「嘘はいかんなぁー、全て洗いざらい話してもらうぞ」



(なんでこいつこんなに勘がいいんだ!?)



外村の勘の良さに負け全てを話す淳平



「お前もついに決断したか、で西野と東城どっちだ?」



「それがどっちもってゆうか・・・」



「はぁー、ほんと優柔不断だよお前は」



淳平の返答に呆れる外村



「二人とも何話してんだ!?」



会話に突如小宮山が割り込んできた



「「なんでもねぇよ」」



めんどくさそうに声をそろえて小宮山に答える二人



ガラ



「席に着け、朝礼を始めるぞ」



黒川先生が教室に入ってそれぞれの席につく三人








放課後



「さてと、学校も終わったし今日は帰ろうかな」



帰り支度を急ぐ淳平、すると横から外村が



「真中お前明後日空いてるか?」



「明後日学校じゃなかったっけ?」



「バカ野郎!明後日は創立記念日で休みだろうが!」



「ああ、そうゆうことね空いてるけどなんだよ?」



「実はな、黒川先生に部活のことで買い物頼まれてな、映研で全員で行くぞ」



「別にいいけど、みんな大丈夫かよ?」



「泉坂の映研のメンバーには確認とったがつかさちゃんがまだなんだ、だから頼んだぞ」



「西野は関係ねぇだろ!俺らだけで買える量なんだった俺らでやればいいだろ!?」



「ええいうるさい!とにかくお前はつかさちゃんの説得たのんだぞ」



淳平にそう言い残し去って行った



「あの野郎・・・、西野は他校だろってんだ」





愚痴りながらもつかさのバイト先に着いた淳平



(西野明後日大丈夫かな、唯が言ってたのも気になるけど)



「とりあえず、入るか」



カランカラン



「いらっしゃいって坊主あんたかい、つかさちゃんなら今日はもう上がったよ」



「そうなんですか?(明日でもいっか)」



少し残念だなと思う淳平



「ちょうどよかった、つかさちゃんに渡したいものがあってね、頼まれてくれるかい?




断る理由も無かったので店長から荷物を受け取りつかさの家へ向かった淳平



(このインターホン、緊張するなー)



ピーンポーン



「はーい」



ガチャ



元気よくつかさがドアから出てきた



「淳平君!?どうしたの?」



「西野に少し用があって、あと店長のおばあさんに頼まれ事されてさ」



「なるほどね、とりあえず上がってよ」



「いっいいのか?」



思わず聞いてしまう淳平



「うん、全然いいよ」



「おじゃましまーす・・・」



淳平は緊張した様子で家に上がりどうも落ち着かないようだ



(家誰も居ないじゃん、西野と二人っきり・・・)



淳平の頭の中は口に出せない事で満たされていた



「こらっ淳平くん、人の話聞いてる?」



「ん?あっごめん聞いてなかった・・・」



「まったく、淳平くんあたしに用があったんでしょそれって何かなと思って」



あきれ気味でたずねるつかさ



「ああ、実は・・・」



外村に言われたことをつかさに全て説明した淳平



「そうゆうわけなんだけど、大丈夫?」



「学校終わった後でいいなら」



「ありがと!ほんと助かるよ」



用件が済み気まずくなる二人



(用事終わったし俺帰った方がいいよな)



(でも唯の言ってたこと聞いてみるか・・・)



淳平は唯の言っていた事がどうしても気になっていた



「西野最近学校休んでるって聞いたんだけど、どうしたの?」



「う〜ん、最近ちょっと調子悪くてさ、それより今週の日曜暇?」



なぜがすぐに話題を変えようとするつかさ



(そんなに聞いて欲しくないのかよ、西野俺は・・・)



いつもと違うつかさに違和感を感じる淳平、黙りこんでいたのでつかさが心配そうに顔をのぞいていた



「あっ、日曜ね全然大丈夫(思わずボーっとしてしまった)」



「よかった!今からすごい楽しみ!」



笑顔で言うつかさ



(西野こんな俺でも喜んでくれるんだな)



その後二人はしばらくたわいもない話ばかりしていた



1時間後


淳平は時間だったのでつかさの家を出た



「じゃあね淳平くん、また明後日」



「おう、バイバイ」



帰り道淳平の頭はつかさの事でいっぱいだった



(西野なんで学校休んでる理由聞いたら話そらしたんだろ)



つかさと二人夜景を見た夜の寒い空の下つかさが悲しそうに笑う顔が淳平をより不安にさせた



(俺はどうやった西野あの悲しい顔を消せるだろう・・?)




〜君へ〜 第七話 たこねぎ様

二日後、今日は泉坂の創立記念日、夕方買出しのため淳平と美鈴は駅までつかさを迎えに来ていた





「なんでお前まで来るんだよ?」





「西野さん一人だと心配だからよ!」





「お前俺を信用してないのか!?」





「女の事に関してはとくにね!」





淳平の恋愛事情は美鈴にはよく思われてないらしい





二人が口げんかをしていると、つかさと唯が駅から出てきた





「二人とも何けんかしてるの?」





駅から出てきたつかさが心配そうに聞く





「西野さん全然気にしないで下さい、このバカがいけないんです」





「やっぱり淳平はバカなんだね」





唯と美鈴にバカにされる淳平





「うるせぇぞお前等っ、てかなんで唯がいるんだよ?」





「西野さんに話聞いて付いてきちゃった」





(まったく、こいつは)





呆れるが時間が無かったので買い物を済まし外村達と合流する事を伝え歩き出す四人





「淳平これ欲しい!!」





「あほか、お前の買い物に来てるわけじゃないだろ!」





買い物に来たデパートでなにやらもめている淳平と唯





しかしそんな二人よりも美鈴はつかさの事が気になっていた





「西野さん大丈夫ですか?顔色少し悪くないですか?」





「全然大丈夫だよ、あたしもとからこんなんだし」





(でも、前見たときがもう少し顔色よかったような気がするし)





疑問には思ったが美鈴にはつかさにどうしても聞きたい事があった





「西野先輩は真中先輩の何処がいいんですか?」





「いっいきなり何言うの美鈴ちゃん」





突然の質問に驚くつかさ





「だって西野先輩可愛いし性格だっていいし、どう考えても真中先輩とつりあってるとは思えません!」





「でもね美鈴ちゃんはそう思うかもしれないけど、淳平くんはいいとこたくさんもってるよ、あたしにとって淳平くんは大切な人なんだ、たとえ誰がなんと言おうとも」





「人を好きになるって理屈じゃないよね!」





(西野さんって人を中身で判断するから良い人なんだ)





笑顔で答えたつかさであったが唯とけんかしている淳平を見つめる瞳は悲しみを含んでおり何処か遠くを見ていた





「ごめん、あたしちょっとトイレ行ってくるね」




そういって美鈴のもとを去っていくつかさ、美鈴にはさっきつかさが見せた瞳が頭の隅に残っていた





(西野さんなんか切なそうな顔してたな、真中先輩と何かあったのかな?)





「あれ?西野は?」





唯とのけんかを終えた淳平がつかさが居ないことに気づく





「トイレ行きました、しばらく待ちましょうよ」





とりあえず、近くのベンチに座り待つ三人





しかしつかさはなかなか帰って来ない





少し不安になった唯はつかさを探しにベンチを立った





「西野先輩何してるんだろ?」





唯はトイレの前で倒れている人影を見つけた






「まさか・・・!」




唯の勘は当たっていた、倒れていたのは








つかさだった




〜君へ〜 第八話 たこねぎ様

「西野さん!!」





つかさを見つけ駆け寄る唯





「西野さんしっかりしてください!」





唯の声に反応し目を覚ましたつかさ





「ん?唯ちゃん・・・」





「西野さん大丈夫ですか?どこか悪いなら今すぐ病院に行くべきです!」





「ほんと大丈夫だから心配しないで」





「どうみたって大丈夫じゃありません!!」





二人の間に沈黙が流れる





唯が先に口を開いた





「最近西野さん、調子悪そうだし今だって倒れてたのになんで大丈夫とか言うんですか?
何を隠してるんですか!?」





「・・・唯ちゃんはここで倒れてた事淳平くんに言う?」




「西野さんが隠してることを教えてくれないなら、言います!」





唯の瞳にはハッキリとした意思がありそれを見たつかさは誤魔化すのは無理だと悟った





「じゃあ、教えてあげるそのかわり今から話す事は淳平くんには内緒だからね」





「実は・・・」
















「いくらなんでも遅すぎるだろ」





つかさを探しに行った唯まで帰って来ないので不安になる淳平





「子供じゃなんですから、大丈夫ですよ」





「でも、何かあったら・・!」




淳平が言葉を言いかけた時二人が帰ってきた





「二人ともごめん、ちょっと混んでちゃっててさ」





「そうそう、なんか凄い人がいっぱいいたんだよ」





淳平は二人が帰ってきて安心した





「そうそう聞いてくださいよ西野さん、真中先輩ったら、西野さんのことずっと心配してたんですよ」





「あー!何言ってんだお前!」





赤くなる淳平





「唯の心配はしてくれなかったんだ」





「それはだなお前のことだからきっと迷子にでもなってるものだと」





「ひどい淳平!いつまでもあたしを子供扱いして!」





唯はすねてしまった





「わかったわかった、俺が悪かった、今度なんかおごってやるから」





「ホント!?やったー」





(単純な奴め)





唯の機嫌も直り外村達と合流した四人





「よし、これで全部だな外村買い忘れたものないよな?」





「つかさちゃん、一枚写真どう!?」





久しぶりにつかさを見てカメラ小僧の血が騒ぐ





「今回は勘弁しとくよ、外村君・・・」





「外村!お前西野と話してないで俺の話を聞け!!」





淳平に怒られ外村は荷物の確認をすませた





「えーじゃあ今日はこれで解散さからみんなお疲れ様」





淳平がその場をしめて帰路に映研メンバー





「じゃあ唯俺達も帰るか」





「唯はひとりで帰るから淳平は西野さん送ってあげなよ」





「?お前がそういうなら」





唯を残しつかさの元へ走る淳平





「淳平、西野さんのこと大事にしてあげなよ」










「ハァ・・・ハァ・・・、西野!」





「淳平くん!?走ってきてどうしたの?」






「おっ送ってくよ」





必死で呼吸を整え言葉を振り絞る





「ありがとう」





つかさが少し頬を赤らめ言う





それから二人並んで歩くがつかさは黙ったままで沈黙が続いた





(気まずすぎる、ここは俺から話を切り出すべきか)





この状況に耐えられなくなった淳平は思いついた話題をだすが流れがわるく途切れ途切れになってしまった





15分後





「ここまでいいよ、家そこだから。」





つかさが立ち止まった





「ああ、分かった・・・(何やってんだ俺は)」





「日曜日はすっごい楽しみにしてるから」





「俺も、もちろん楽しみだよ」





「じゃあね、今日はお疲れ様」





「お疲れ様」





二人はそれぞれの道に分かれた





「ただいまー」





「お帰りつかさちゃん、身体は大丈夫?」





つかさに心配そうに聞くつかさの母





「大丈夫、でも今日はお風呂入って寝るね」





「つかさちゃん、無理しなくても病院の先生が言ってたようにすれば・・・」





「もう少しだけ、考える時間ちょうだい」





「わかったわ、ただ時間が無い事は理解しておくのよ」





つかさは静かに頷き、お風呂場へ向かった





ザッパーン





「ハァ・・・時間が無いか、そんなこと自分が一番分かってるよ」





湯につかり天井を見つめ一人つぶやく





「淳平くん・・・離れたくないよ・・・・」





一人になり淳平への想いが胸をはしる





そして





つかさの瞳からは熱いものがこみ上げていた