2004夏・赤丸ジャンプ読みきり「しーもんきー」といちご100%の二次創作
strike blue 様
SM ATTACK
しゅうううおおおんんん・・・
青黒いオーラバリアーが灼熱の炎と爆煙で焼かれた熱い大気を切り裂いている
街にいくつも立ち上る黒煙の大樹の幹をかわしながら、黒の学生服のまだ少年の面立ちの その男が跳んで行く
しゅわっ ・・・ しゅるるるるううううんんん・・・
突然、青黒いバリアーが左右に大きく菱形のカタチに拡がった
と、細長い菱形のバリアーが、そのままその男の足元に滑り込む
・・・るん
ちょうど「サーフボード」の様になった その青黒いバリアーの上に男は乗った
しゅぼあああ!
間髪を入れず「サーフボード」の後端から まるでジェット噴射の様な光の奔流がほとばしる
どうん!
弾かれるようにダッシュする「サーフボード」!
しゅきいいいぃぃぃんんん!
先ほどのオーラバリアーの時とは比べ物にならないほど速い!
何倍も、数倍も、十数倍も速いスピードで、まるで本当に「サーフィン」でもしているかの様に
その男は「天駆けるサーフボード」を操る
そして、巨大化し暴走を続ける“姫様”…「キャンサープリンセス トモコ」…のもとへと突撃して行く
すっ・・・ぱあああぁぁぁうううぅぅぅんんん・・・・・・
SM ATTACK その1
ざあああん ・・・ ざあああん ・・・ ざん ざん ざん ざん ざん ・・・ ざあああん ざあああん ざあああん ・・・・
街に大きくえぐられた 巨大なクレーター
その中央でうごめく 巨大な軟体生物
それは巨大な芋虫の様にも また 巨大な蛞蝓(なめくじ)の様にもみえる
ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・ ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・
赤黒い それでいて 半透明の淡いピンク色に透き通るゼリー…いや、ゲル状と言うべきだろうか?
液体とも固体ともつかぬその巨大「生物らしきモノ」・・・
それがクレーターの中で半身を立ち上げ 身をよじり あるいは 身を振り回している
ぶうおおおんんん ・・・・・・ ぐごおおおんんん ・・・・・・ ぶうおおおんんん ・・・・・・ ぐごおおおんんん ・・・・・・ びゅううううおおおおおおお---
巨体が振り回されるたび 火炎と爆炎の入り混じった火流が 爆風を伴って街に拡がり駆け抜けてゆく
きゃしゃあああ ・・・ ぎゃあしゃあああ ・・・ がああああっっ ・・・・・・・・・ ふうううぅぅぅおおおぉぉぉおおおぉぉぉ!
苦悶の叫び声を上げていた巨大軟体生物
その立ち上がった半身の頂上が さらに大きく大きく二つに裂ける
まるで雷魚が水面に息継ぎをしに浮かんできた姿のようである
眼も鼻穴も無いノッペラボウの「頭」 しかし そこには大きな大きな「クチ」だけがあった
ふうううぅぅぅおおおぉぉぉおおおぉぉぉ!
大きな大きな口が 息継ぎをしている
口から吐き出される息が うすい水蒸気の様に立ち上る
街の大火災に照らされ うすい水蒸気が下から紅く染まってゆく
生臭い・・・硫黄の様な臭いが一面に漂って来る
ふぉおおおぉぉぉおおおぉぉぉ
ぴき・・・ぴきき・・・ぴききいい
生臭い・・・硫黄の臭いの水蒸気が渡るところ・・・
かろうじて延焼を免れていた数少ない街路樹が
たちまちのうちに赤茶色にひび割れ・・・枯れて・・・土塊に還ってゆく!
ぱきゃん ・・・ がらがら ・・・ ずずずんんん ・・・
また 一本の大樹が瘴気に当てられて ・・・ 倒れた
と その影から!
しゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃあああぁぁぁんんん
鋼鉄のサヤから氷の刃が引き抜かれるような
冷たい金属音にも似た連続した発射音が聞こえた!
しゅうううおおおんんん!!!
跳ね上がる三日月の弧の軌跡を
いくつも いくつも いくつも かさねて
蒼い光の玉が巨大生物のゲルの体躯を駆け上って往く!
きいん きいいん きいいいん きいいいいん きいいいいいいん!!!
巨大生物のゲルの体躯を駆け上った いくつもの蒼い光の玉
と 今度はそれは 逆落としに巨大生物の「顔」めがけて一気に降り注ぐ!
だむだむだむだむだむだむだむだだだだだだだだああああぁぁぁぁんんんん!!!
巨大生物の 大きく開かれた 息継ぎのその口に、その中に、
いくつも いくつも いくつもの 蒼い光の玉が撃ち込まれた!
ばあごおおおぐおおごごごごおおおぉぉぉおおおあああぁぁぁあああぁぁぁんんん!!!
きゃあああんんんしゃあああぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁ・・・・・・
SM ATTACK その2
ばあごおおおぐおおごごごごおおおぉぉぉおおおあああぁぁぁあああぁぁぁんんん!!!
きゃあああんんんしゃあああぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁ・・・・・・
巨大な口の中で炸裂する いくつもの光の玉。
ゲルの巨体を弓に反らして叫ぶ巨大軟体生物。
ぐらあああぁぁぁ・・・ざあああぁぁぁ・・・どずずずうううぅぅぅんんん!
弓なりに反った半身は、中ほどのところで「く」の字のに折れ
そのまま左にバランスを崩して倒れ込み…クレーターの底に…横倒しとなった。
ごごごごごおおおぉぉぉこここおおおぉぉぉ・・・・・・
「姫様あああーーーっ」
その様子を見て、「戦場」から少し離れた公園から叫ぶ女が居た
なぜかその公園は・・・・・・巨大生物が引き起こした大火災の「被害」が・・・まったく見当たらない・・・・・・
その謎の「空間」に佇む 二人の女
そのうちの一人の女が叫んだ
「キャンサープリンセス トモコ」の守り役
「クラブナー ラ ムー」の摂政、「蜂矢炎音(かのん)」その人(?)である。
しゅざん!
叫ぶ蜂矢の背後で何かが引き出される音がした
それは蜂矢の背中に現れた、二対四枚の薄いクリアレッドの羽の「出現」した時の音だった
「くっ…黒騎士殿っ!やり過ぎです!姫様っ、今、参りますっ!」
びゅわっ…ざんっ!
蜂矢の全幅3メートル程の薄羽が四枚揃って大きく羽ばたいた
ふわり
蜂矢の身体が2メートル程宙に浮いた
す…びびびぃぃぃんんん・・・・・
蜂矢の羽が少し後退角をつけたかとおもうと、細かく細かく震えだした
すすうううぅぅぅ・・・・・・
蜂矢の身体は少し前のめりの格好で上昇を始めた
しかし・・・
「お待ちなさい!」
飛び立つ蜂矢の背後より投げつけられる もう一人の女の声
その声を無視して蜂矢は飛び去ろうとした・・・・・・が
ばちぃいぃいぃぃん!!!
「!!あうっ??」
飛び立つ蜂矢の背後より投げ付けられた 電撃!
くらっ・・・すう・・・とすん!
予期せぬ 電撃 に蜂矢は背中から墜落する
ぱりっ・・・ぱりりり・・・
「な・・・に・・・???」
痺れが身体を支配する
背中のクリアレッドの薄羽に白銀色の雷(いかづち)が走り回る
地に横たわった身体をころがし、かろうじて動く首で電撃が放たれた後方を確認する・・と・・・
ばしっ・・・ばちっ・・・ばちちっ・・・・・・
そこには 公園に残ったもう一人の女が…
黒騎士「真中淳平」の「愛人」の一人‥「向井こずえ」が・・・
白い柔肌にまとう、白いシーツの隙間から右手を突き出した女が‥「向井こずえ」が・・・
ぱりっ・・・ぱちっ・・・ぱっしぃーん・・・・・・
こずえ の突き出した右手の大きく広げた掌に‥その細い白い腕に‥まとわり付く‥白銀色の雷!
「・・・お・・・おまえ・・・は?・・・」
当惑する蜂矢に、こずえ の 凛とした声が飛ぶ!
「真中さまのすることを邪魔しないで・・・真中さまに全て任せておけば大丈夫!」
ぼうう・・・
こずえ の 降ろした癖のあるセミロング
それが白銀色の縁取りをした様に輝いている・・・
その白銀色のトリミングをしたかのような、セミロングの背後に・・・
「あん‥ぎゅらあぁぁぁ‥すううう」
甲羅状の背中一面に無数の「トゲ」がある
四足の白銀色の「幻獣」が‥吼えるのを・・・
蜂矢は確かに見た・・・・・・
SM ATTACK その2
ごごごごごおおおぉぉぉこここおおおぉぉぉ・・・・・・
巨大軟体生物は 自らが作り出したクレーターのスープ皿の底に
倒れ込んだ時の「く」の字の姿のまま 横たわっている。
ぼこっ・・・ぼこっ・・・
大きく開かれていた口は下顎とおぼしき部分の半分が吹き飛んでいる。
ぼこっ・・・ぼこっ・・・ぼここ・・・ぼここここ・・・・・・
大きな泡(あぶく)が鈍く爆ぜる音とともに、吹き飛んだ下顎からねっとりとしたピンクの体液が溢れ出る。
ごがあ・・・・・・ああぁぁ・・・・・・があぁ・・・・・・ああぁぁ・・・・・・
半分吹き飛んだ口が、まだ息をついている。
しかし、先ほどまでの荒々しい息吹ではない、静かに…ゆっくりと静まっていく呼吸のリズム。
ぐうう・・・るるるる・・・ぐうう・・・ううう・・・るるる・・・
時折 静かな呼吸の合間をぬって、「プリンセス」の「声」が聞こえる・・・・・・
しゅおおおぉぉぉ・・・るるるる・・・・・・
その 「プリンセス」の「声」を掻き消して 上空に現れた 一台の蒼いマシン!
ぼうう‥とした 蒼い靄(もや) のような光が その蒼いマシンを包む。
蒼いマシンの背後から噴出していた青白いジェットの奔流が 止んだ。
そして 横たわる「プリンセス」の上空の虚空に 止まった。
二等辺三角形の・・・いや、向かって右側が大きく張り出した左右非対称の三角形・・・
長さは五メートル程 幅は四メートル程か
張り出した右側は薄く平らに・・・ちょうど「舞台」のようになっている
左側‥と云うか‥左端は大きく涙滴状に膨らんで
その中に乗り込めるようになっている
まるで「片翼のジェット戦闘機」のようにみえる
あるいは 遥か未来からやって来た
「サイドカー付きのエアバイク」
と云ったところか・・・
その「片翼」の上に すっく と 立つ 男 が 一人
「すまないな、姫様・・・あんなに暴れていたのでは、『アンタの居る場所』 が 判らないからね」
腕組みをして、眼下の巨大生物を見下ろす 男 ・・・ 「真中淳平」
いや・・・
もう、そこに立つのは 我々の知るところの 「真中淳平」 ではなかった
蒼黒い 全身を覆う鋼鉄の鎧!
瞳の無い スリット状の横一条の 眼 だけが目立つ 鋼鉄の仮面!
そして その 真ん中の額から生える ・・・・・・ 一本の ・・・ 黄金色の ・・・ 角(つの)!
鋼鉄の 一匹の 「青鬼」 が そこに 居た !
「・・・・・・うん・・・そこに『居る』か・・・ではっ!」
ほんの暫く・・・ 「姫様」を 見下ろして・・・ うなづく様に・・・ 青鬼 は 呟く。
しゅぼわわわあああぁぁぁ!
その声を待っていたかのように マシン が 叫ぶ !
すっ きゅうううぅぅぅんんんんんん!
青白いジェットの奔流の軌跡を弧にしならせて
蒼いマシンが 「姫様」 へと 急降下 する!!!
きいいいいいいぃぃぃぃぃぃんんん!
「さぁーて、『デスバリアン』 ・・・ 気持ち悪いけど ・・・ 突っ込みますよう ・・・ あの“中”に!」
きゅううううううぅぅぅぅぅぅんんんんんん!!!