2004夏・赤丸ジャンプ読みきり「しーもんきー」といちご100%の二次創作
strike blue 様
SM MONSTER
あたし の 目覚めは ・・・・・・ 穏やかな 陽だまり の なか などでは なかった ・・・・・・
あたし の 目覚めは ・・・・・・ 喧騒 と 想念 が 混ざり合う ・・・・・・ 混沌の戦場( いくさば )だった ・・・・・・
それは ・・・・・・ 『 第四次聖戦 』 を 闘い抜く為に 此の世に 出された あたし に 相応しい目覚めだったのかもしれない ・・・・・・
だが ・・・・・・・・・
ただ ひとつ ・・・・・・・・・
あたし を 此の世に 送り出した “ 母様 ” ですら 予想 していなかった
予想外 の 出来事 が そこで 発生 した ・・・・・・
声を聞いたのだ
あたし の 全ての 知覚 と 認識 が 確定 する その直前
【 あたし が あたし で ある 】 と いう 【 存在意義 】 が 創造される その直前
『 その名前 』 を 呼ぶ 声 を 聞いたのだ
あたし が 目覚めた時 ・・・・・・ その声が “ 繭 ” の外から聞こえて来た ・・・・・・ あの声 を 聞いたのだ
・・・・・・・・・・・・ 『 その名前 』 を 呼ぶ 声 を 聞いたのだ ・・・・・・・・・・・・
< くにお ・・・ なにが 起きたの ?? ・・・ なにが ?? ・・・・・・・・・ え ? ・・・ あ ?! ・・・ ああっ !! >
・・・・・・・・・・・・ く ・・・・・・・・・ に ・・・・・・・・・ お ・・・・・・・・・ ? ・・・・・・・・・・・・
< くにお ・・・・・・・・・ あたし ・・・・・・ 眼が ・・・ 眼が 見えないよぉぉ! ・・・ あぁぁ ・・・ >
・・・・・・・・・ く ・・・・・・ に ・・・・・・ お ・・・・・・・・・
< おっ ・・・ 落ち着けて言ったって ・・・ ああっ ・・・ く に お ぉ ぉ ぉ ! >
・・・・・・・・・ くにお ・・・・・・・・・・・・ なにが? ・・・・・・ くにお ・・・・・・ なんなの? ・・・・・・・・・
< くにお ・・・ ぁ ・・・ いやっ! そばに居て ! ひとり に しないでっ ! >
・・・・・・・・・ くにお? ・・・・・・・・・・・・ くにお ・・・・・・ って ・・・・・・ なに? ・・・・・・・・・
< くにお ? ・・・ くにお なの ? ・・・ >
・・・・・・・・・ あ た し ・・・・・・ の ・・・・・・ なんなの? ・・・ く に お ・・・・・・・・・
< くにお ・・・ くにおぉぉぉ! >
・・・・・・ あ た し の ? ・・・・・・ く に お ・・・・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ く に お ・ ・ ・ ・ ・ ・
ば り っ ! ・ ・ ・ ばりばりばりっっ!! ・・・・・・ ば っ し ゃ あ あ あ ぁ ぁ ぁ あ あ あ ん ん ん !!!
小さな クリアエメラルド の 炎 が 僅かに 燃え残り 立ち上る カラーアスファルト の 歩道 に
乾いた 薄皮 を、 硬い 殻( から ) を、 割り 破る ような 音 が 響く
し ょ お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ・ ・ ・ ・ ・ ・
立ち上がる 長い黒髪 の 一本一本 に 赤いオーラ を 立ち昇らせながら
あたし は 破れた 薄紅色 の 繭 から 立ち上がる ・・・・・・
あたし の 赤いシルエット が カラーアスファルト に 揺らめいた ・・・・・・
お お お ぉ ぉ ぉ お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お ・ ・ ・ ・ ・ ・
あたし は 立ち上がる 長い黒髪 の ひとすじ ひとすじ に 赤いオーラ を まとわせて ・・・・・・
あたし は その “ 繭 ” の なかから 生まれた ・・・・・・・・・ そして ・・・・・・・・・
あたし の 制服 の 赤いシルエットに ・・・・・・ 揺らめき 立ち上がる 赤いオーラ に ・・・・・・・・・・・・
この 惑星(ほし) の すべて の 大気 が ・ ・ ・ ・ ・ ・ 震えた ようだった ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
お お お ぉ ぉ ぉ お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お ・ ・ ・ ・ ・ ・
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ く ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ に ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
・・・・・・・・・ あたしは 目覚めの まどろみ の なかで 聞かされた ・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ 『 その名前 』 を 口に していた ・・・・・・・・・
・・・・・・ あたし が 此の世 で 初めて聞かされた 『 名前 』 ・・・・・・ それは ・・・・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ く に お ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
か ら ら ら ら ら ・ ・ ・ ・ ・ ・
カラーアスファルトの歩道に面した 一軒の家の ニ階の窓が開けられた
窓から半身を乗り出して 背丈が低い 眉毛が濃い そして なぜか 前髪の一部が 角(つの) の様に 立ち上がった
出っ歯の 男 ( たぶん 高校生 なんだろうが ・・・ 中学生 の ようにも みえる ・・・ ) が 叫んだ
「 おいっ ! さっきから うるっせぇーんだよぅー ! こちとら受験で 大変なんだぁー !
右島 にも 真中 にも 負けられんのにぃー ! ええかげんに しねえとぉー ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
右島 と 真中 の 名 を 知る その 少年 の 抗議 の セリフ は そこで 終わった
彼 の 短い 十七年余りの人生 も そこで 終わった
彼 の 父 の 後 を 継ぎ ・・・ 小さな 町工場 を 建て直す と云う 夢 も そこで 終わった
右島 と 真中 の 名 を 知る その 少年 の すべて は ・・・ そこで 終わった
・・・・・・ すべて が 終わる 直前 ・・・・・・ 少年 が みた モノ は ・・・・・・
赤く 揺らめく オーラ に 包まれて 立ち上がる ・・・・・・ 制服 の おんな の すがた ・・・・・・
紅く かがやく オーラ に 包まれて 振り返る ・・・・・・ 長い 黒髪 の おんな の すがた ・・・・・・
あかい オーラ の おんな が あやしく ささやく ように いう ・・・・・・ その名前 ・・・・・・
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ く ・ ・ ・ に ・ ・ ・ お ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
それが ・・・・・・ すべて ・・・・・・
ど ど ど お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お ん ん ん !!!
少年 が 半身 を 乗り出していた 二階の窓 は 吹き飛んだ !
少年 を 巻き込んで 爆発 した !
いや ・・・
爆発したのは 二階の窓 だけでは ない !
彼 の 居た その 家 の 二階すべて が ・・・・・・
彼 の 暮らした その 家 の すべて が ・・・・・・・・・
ちがう ・・・・・・
彼 の 家 の その まわり すべて が ・・・・・・
吹き飛んだ !!!
爆発 した !!!
ご ご ご お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お ん ん ん !!!
青い 春の 夜空 に 巨大な 赤い 爆煙 が 立ち昇った
少年の 家 の 前 の カラーアスファルト の 歩道 を 吹き飛ばし
少年の 若い 肉体 を 吹き飛ばし
少年の 暮らした 家 を 吹き飛ばし
少年の 家 の 周囲 を 吹き飛ばし ・・・ 半径 200メートル ほど の 範囲 を ・・・ 一瞬 の うち に 消滅 させ ・・・
消滅させた 範囲 と おなじ 大きさ の 巨大な クレーター を 造り
青い 春の 夜空 に 巨大な 赤い きのこ雲 が 立ち昇った
赤い 衝撃波 が ・・・ 泉坂市じゅう を ・・・ 襲った
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
赤い きのこ雲 ・・・ 高さ 100メートル いや、 それ以上か ・・・ の 影 から ・・・ 叫び声 が する !
赤い きのこ雲 を 切り裂いて ・・・ あかい その 影 は 現れる !
赤い きのこ雲 を 吹き払う ほど の 大きさの ・・・ あかい その 巨大な影 が 現れた !
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
S M MONSTER
『 ・・・・・・ がががっ ・・・・・・ ざざっ ・・・・・・ ががっ ・・・・・・・・・ ざざざざっ ・・・・・・ ざっ ・・・・・・ ががっ ・・・・・・ 』
「 00009号 ! 応答しろっ ! ・・・・・・ 千年皇子 が どうした ? ・・・ 姫様 の 繭 は どうなっている ? ・・・・・・ 」
『 ・・・ ざざざざ ・・・・・・・・・ じじじ ・・・・・・ じいいい ・・・・・・ じっ ・・・・・・・・・・・・ ざ ・・・ ざざざざざ ・・・・・・・・・・ 』
「 00009号 ! ・・・・・・ 千年皇子 が よみがえったのか ? ・・・・・・ 姫様 は ? ・・・・・・ 00009号 ! 応答しろ ! 」
『 ・・・・・・ がががががが ・・・・・・・・・・・・ がっ ・・・・・・ つ い い い ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ー ー ー 』
「 ! ぜ っ ・・・・・・・・・ 00009号 !!! 」
『 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ぷ つ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 』
『 発信元消滅 』 の サイン である
長音の連続発信 を 最後に
『 ワスプナー BEE 00009号 』 の テレパス は 途切れた
「 00009号 ・・・・・・ 」
わたし は また ひとり ・・・ 貴重な忠臣 を 失った コト を 知った ・・・・・・
『 摂政さま! ・・・・・・ 00009号 が ・・・ 00009号 が ・・・ やられたのですか !? 』
テレパス を 同時傍受 していた 00011号 から 泣き出す様な テレパス が 飛び込んで来る !
「 ・・・・・・ 00011号 ・・・・・・ まずは 我が元 に 戻れ ・・・・・・ 態勢 を ・・・ 立て直す ・・・・・・・・・ 」
『 摂政さま ! ただいま 00009号 の 位置 を トレース しています ・・・ 00009号 の 居た ポイント に ・・・・・・ 』
「 いいから 戻れっ !!! これは 命令 だ っ !!! 」
『 はっ ・・・ はいっ ・・・ 了解っ ・・・・・・ 00011号 ・・・・・・ 戻ります ・・・・・・ 』
取り直した 00011号 の 返信 ・・・・・・
「 すまぬ ・・・・・・ オマエ まで 失う わけには ・・・ いかぬ ・・・・・・・・・ 」
『 ・・・・・・・・・・・・ 』
そこまで 言って わたし は テレパス を 切った ・・・・・・・・・
「 ・・・・・・ 復活した ・・・ いや ・・・ だれかが ・・・ その “ ちから ” を ・・・・・・ 継承 したのか ・・・ 千年皇子 ・・・・・・ 」
わたし は お母様 から 聞かされていた 千年皇子 の “ちから の 継承” の コト を 思い出した
「 ・・・・・・ サルタヒコ から タケル へ ・・・・・・ タケル から マサカド へ ・・・・・・ 」
「 ・・・・・・ ヤツラ は ・・・・・・ ほぼ 千年 ごとに ・・・・・・ “ デュナミスト(適能者) ” が その “ ちから ” を 継承 してきた ・・・・・・ 」
「 “ デュナミスト(適能者) “ が 千年ごと に 現れる からなのか ・・・・・・ “ ちから ” が 千年ごと に 現れる からなのか ・・・・・・ 」
「 ともかく ・・・ 『 第三次聖戦 』 から 千年 ・・・・・・ ヤツは ・・・・・・ 三度(みたび)我々の前に 現れた ・・・・・・ 」
わたし は 桜 の 樹 の 幹 に もたれながら 千年皇子 の “ちから の 継承” の コト を 考えていた
「 ・・・・・・ 姫様 は ・・・・・・ もう ・・・・・・ 繭 から 孵(かえ)って ・・・・・・ しまわれている ・・・・・・ ころ ・・・・・・ 」
ど ど ど お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お ん ん ん !!!
少し 離れた 泉坂駅 の 方向 に 青い 春の 夜空 に 巨大な 赤い 爆煙 が 立ち昇った
ご ご ご お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お ん ん ん !!!
少し 離れた 泉坂駅 の 方向 から 赤い 衝撃波 が わたし の 居る 夜の公園 を 吹き抜けた
「 なっ? ・・・ なにっ? 」
反射的に 両腕 で 顔 を 覆った わたし が ・・・・・・ その 両の腕 を 下ろした とき ・・・・・・ 見たモノは ・・・・・・
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
「 !!! ・・・ ひ ・・・ 姫様っ ・・・ !!! 」
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
わたし の 居る 公園 の 低い 木々 の 向こう ・・・・・・
泉坂駅 に 続く 住宅地 の その 中 あたり ・・・・・・
二階建て の 民家 が 肩 を 寄せ合う その 中 あたり ・・・・・・
青い 春の 夜空 に 巨大な 赤い きのこ雲 が 立ち昇った !
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
赤い きのこ雲 ・・・ 高さ 100メートル は あろうか ? それ 以上 か ? ・・・ の 影 から ・・・ 姫様 の 叫び声 !
赤い きのこ雲 を 切り裂いて ・・・ あかい 姫様 の すがた が 現れる !
赤い きのこ雲 を 吹き払う ほど の 大きさの ・・・ あかい 姫様 の 巨体 が 現れた !
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
「 ひ ・・・ ひめさまああぁぁぁ ! 」
こんな コト が あるはずが ない !
繭 から 孵(かえ)った ばかりの 姫様 が ・・・・・・ 『 本性 』 を 現して ・・・・・・ 『 暴走 』 している !!!
なにか ・・・・・・
われわれ の モノ では ない ・・・・・・
異質 の エネルギー の 影響 を 受けた としか ・・・・・・ 考えられない !!!
ざあああん ・・・ ざあああん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざあああん ・・・ ざあああん ・・・・・・
ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・・
『 本性 』 を 現した時 に 自ら が 造りだした クレーター ( おそらく 深さ は 50メートル は あるか ) の なか で
身を 悶え ・・・ 身を よじらせ ・・・ 苦しまれている 様子 の ・・・ 姫様 !!!
「 ! いっ ・・・ いかん ・・・ 姫様 っ ! 」
まだ 外骨格 を 持たない “ 幼成体 ” の すがた の まま 巨大化 してしまい
ゼリー の ような 軟体質 の その 身体 を 支えられない で 苦しまれている !!!
ざあああん ・・・ ざあああん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざあああん ・・・ ざあああん ・・・・・・
ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・・
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
「 姫様っ! ・・・ ただいま “摂政 蜂矢” が 参りますっ ! 」
わたし は ・・・・・・ まだ 痛む 身体 に 鞭 を 入れ ・・・ 無理に 立ち上がろうと するが ・・・・・・
ズキンッ!!!
またしても ・・・・・・ まだ 半身 に 残る 激痛 !
「 ! く っ ! 」 がくんっ
立てた 右の ひざ が わらう
ずしゃああっ
いきおい あまって おおきく 前のめり に 倒れ込んだ
「 つ ・・・ ひ ・・・ ひめさまああ ・・・ 」
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
ざあああん ・・・ ざあああん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざあああん ・・・ ざあああん ・・・・・・
ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・・
姫様は ・・・・・・ クレーター の なか で ただ のたうち まわって おられる ・・・・・・ ただ それだけ なのだが ・・・・・・
がががあああんんん !!! ばばばばああああんんんん!!! ぴしいっ! どどどどおおおおんんんん!!!
姫様の 巨体が引き起こす 暴風 と 激震 は その 周囲 に 徐々に そして 確実に 甚大なる 被害 を 引き起こし始めている
がががあああんんん !!! ばばばばああああんんんん!!! ぴしいっ! どどどどおおおおんんんん!!!
いくつもの 建物が 崩れ ・・・・・・ 青白い 火花 が 飛び交い ・・・・・・ また ひとつ 赤黒い 火柱 が 街に 立ち上がる
ぐっ ・・・・・・ う ・・・ う〜 う〜 う〜 ・・・・・・ ううううーーーー ううううーーーー ううううーーーー ううううーーーー ・・・・・・
泉坂駅の東に在る 泉坂市庁舎のタワーから くぐもった響きの 防災サイレン が 叫びだした !
「 こ ・・・・・・ このまま では ・・・・・・ 」
まるで 安物 の “ 怪獣映画 ” で ある ・・・・・・ “ 怪獣映画 ” ともなれば こう云う シーン の後 には ・・・・・・
爆弾 や ミサイル、 ロケット弾 を 満載した “ 防衛軍 ” の 戦闘爆撃機 の 大編隊 が 飛来 するのが パターン だ !
「 そんなコトになったら ・・・・・・ 」
「 いかに 姫様 と 云えども ・・・ お命 が 危ない ・・・ と 言った トコ かな ? ・・・・・・ “ 蜂矢 の ねぇーちゃん ” ・・・・・・ 」
「 え っ ? 」
「 たすけて やろうか ? ・・・・・・ 摂政 蜂矢 炎音(かのん) 殿 ・・・・・・ 」
り り り り り り り り り り り る る る る る る る る る る る り り り り り り り り り り り ・・・・・・
いつの間にか 軽やかな “ イオノクラフト ” が “ フィールド ” に 展開 してゆく 音 が 聞こえていた
わたしは 呼びかけて来た その声 の 主 を 求め ・・・・・・ 大きく 視界 を 上 に 移した
大きく見上げた そこに 漆黒 に 近い 紫 の オーラ を まといながら ・・・・・・ ゆっくりと 天 から 降りてきた 男 が いた
り り り り り り り り り り り る る る る る る る る る る る り り り り り り り り り り り ・・・・・・
男 は 学生服姿 ・・・・・・ 背は あまり 高くない ・・・・・・ 顔も それほど でもない ・・・・・・ だが ・・・・・・
すっく と 空中 に 立ち ・・・・・・ 左腕 に 白い素肌 に 純白のシーツ を まとわせた ひとり の 全裸 の 少女 を 抱き ・・・・・・
ゆっくり と 空中 に 在る その すがた ・・・・・・ ゆっくり と 空中 から 降りてくる その すがた ・・・・・・
姫様 の 赤いオーラ の 輝き を 背 に 受けて 立つ その男 の 漆黒 の シルエット は
我々 が 呼ぶ その男 の 『 ふたつ名 』 に 相応しいモノ だった ・・・・・・・・・
「 おおっ! 真中淳平さま! ・・・・・・ 『 黒騎士 』 殿(どの) !!! 」
り り り り り り り り り り り る る る る る る る る る る る り り り り り り り り り り り ・・・・・・
・・・・・・・・・ るん ・・・・・・・・・
軽やかな メガフィールド(亜空間) の 音 を 鳴らして 真中淳平 ・・・ 『 黒騎士 』 が 大地 に 降り立った ・・・・・・
「 まったく ・・・・・・ アノ可愛い “ 姫様 ” の おかげで ・・・ お気に入りの ラブホ が ひとつ ・・・ 消滅 しちまったじゃないか 」
「 え ? 」
「 このコ と ちょうど いいトコ だった のに ・・・・・・ ‘俺’ で なかったら ・・・・・・ 死んでいるぞ ・・・・・・ 」
「 あ ・・・ 申し訳無い ・・・ すべては ・・・・・・ 」
「 ああ ・・・ いい いい ・・・・・・ それより “ 摂政どの ” ・・・ 怪我 を しておられるようだが ・・・・・・ 」
「 いえ ・・・ たいした 怪我 では ・・・・・・ 」
つ ぅ い い い い い い ん ん ん ん ん
真中淳平 の ・・・ 『 黒騎士 』 の 右の指先 が 青く煌いた
真中淳平 は ・・・ 『 黒騎士 』 は 左腕 に 気絶 した その “クセ毛気味 の 髪 の 少女” を 抱いたまま
右手 の 人差し指 と 中指 を Vサイン の ように 立てた
すると そこに 微細 な 青い粒子 が いくつも 集まってきた
つ ぅ い ん !
小さな ハンドベル を 振ったような 響き と ともに ・・・ そこに 青い 小さな 楕円 の “ キャンディー ” が 現れた
「 ・・・・・・ これを飲め ・・・ “ 青 の ドラゴン ドロップ ” だ ・・・・・・ 」
つ ん
弾かれるように 指の間の “ ドラゴン ドロップ ” が わたし の 右の てのひら に 飛び込んで来て 収まった
「 ・・・・・・ ふ ・・・・・・ うふふふふふ ・・・・・・ 」
わたしは おもわず ・・・ 年甲斐も無く ・・・ 照れ笑い を してしまった
「 『 黒騎士 』 殿 ・・・ この わたし も “ 妾 ” の ひとり と する おつもりか ・・・・・・ ? 」
わたし は てのひら の なか の “ 青い ドラゴン ドロップ ” から 視線 を 移しながら 問いた
「 『 黒騎士 』 殿 が この “ ドロップ ” で ・・・ 何十人もの 女人 を “喰って” おられるコト ・・・ 知っておるぞ ・・・・・・ 」
この “ ドロップ ” が ・・・・・・ 超強力な “媚薬” であるコトを ・・・・・・ わたしは 知っていた
「 ふ ・・・ まさか ・・・ “ 摂政どの ” が 言って おられる のは コチラ ・・・ “ 赤 の ドラゴン ドロップ ” の コト だ ・・・・・・ 」
き ぃ い い い い い い ん ん ん ん ん
Vサイン の 指 に もう一本 ・・・ 右の親指 を 添えると ・・・ 三本 の 指 の あいだ に 赤い 素粒子 が 集まり
そこに “ 赤い キャンディー ” が 現れた
「 ・・・ ! あああ ・・・ まなか さまぁ ・・・ キャンディー ・・・ 赤いキャンディー ・・・ くださいな ・・・・・・ 」
いつのまに 気が付いていたのだろう ?
『 黒騎士 』 が 左腕に抱いている 気絶していた少女 が 『 黒騎士 』 の 指 に 現れた “ 赤いドロップ ” を ねだる
「 ああ ・・・ 今日は ごめんよ こずえちゃん ・・・ コレ あげるから ・・・ ちょっと ココ で “このヒト” と 待ってて ・・・ 」
き ん
『 黒騎士 』 から 少女 が “ 赤いキャンディー ” を 受け取る
「 はい 」
素直 な コ だ ・・・・・・ コクリ と うなづき ・・・・・・ “ 赤いキャンディー ” を 口 に 運ぶ ・・・・・・
「 ・・・・・・ おいしい ・・・・・・ あまい ・・・・・・ 」
恍惚 の 表情 で “ 赤いキャンディー ” を なめる 少女 ・・・・・・・・・
・・・・・・ こうして ・・・・・・ また ひとり ・・・・・・ 『 dark knight 』 の 僕 ( しもべ ) が 生まれてゆく ・・・・・・・・・
「 “ 摂政どの ” に 渡した “ 青いキャンディー ” の方は 正真正銘 万能治療薬 だ ・・・ 媚薬 などでは ない ・・・・・・ 」
ガラ にもなく 顔 を 赤めながら ・・・ 横 を 向き ・・・ 『 黒騎士 』 ・・・ いや ・・・ 真中淳平 は わたし に 念を押した
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
ざあああん ・・・ ざあああん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざん ・・・ ざあああん ・・・ ざあああん ・・・・・・
ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ぐるるるうううんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・ ごごごおおおんんん ・・・・・・・
がががあああんんん !!! ばばばばああああんんんん!!! ぴしいっ! どどどどおおおおんんんん!!!
「 おおっと ・・・ いかん ・・・ かわいい “ 姫様 ” の コト ・・・ 忘れてた ・・・・・・ 」
しゅたん! ひ ぃ ゅ う う う う う う う う う
軽々と 高く 高く 真中淳平 は 虚空 に 舞った
「 こずえ ちゃん ・・・ すぐに 終わるから ・・・ 待ってて ・・・ 」
漆黒 に 近い むらさき の オーラ の 尾 を 曳きながら 真中淳平 は 遥か 蒼き 虚空 に 舞った
たん! し ぃ ゅ う う う う う う う う う
少女 に ひとこえ かけて ・・・・・・ 春の 青い 夜空 を 翔ぶ ・・・・・・ 『 黒騎士 』 ・・・・・・ 真中淳平
「 かんばってぇー ! まなか さまぁー ! 」
素直で ・・・・・・ 無邪気 な ・・・・・・ 少女 ・・・・・・ 手を振る
「 『 黒騎士 』 殿 ・・・・・・ 頼みます ・・・・・・ 」
し ゅ い ん !
スピード を 上げると ・・・・・・ 彼 の 紫色 の オーラ は ますます 漆黒 に 輝いた
わたし は ・・・・・・ 彼の オーラ を 赤い瞳で 追いながら ・・・・・・ ようやく “ 青いキャンディー ” を 口 に 運んだ
す う う う う う う う う う ・ ・ ・ ・ ・ ・
“ 青 の ドラゴン ドロップ ” を なめた瞬間 ・・・・・・ 嘘のように 全身 の 痛み が 引いてゆく
「 すごいな ・・・・・・ 」
わたし は 今更ながら “ 我々以上の存在 ” である ‘彼’ ・・・・・・・・・ 真中淳平 の “ ちから ” に 驚愕 する
「 真中淳平 ・・・ 『 黒騎士 』 ・・・ いや ・・・ その 真 の すがた は ・・・・・・・・・ 」
わたし は ・・・・・・ 彼の 黒いオーラ を 赤い瞳で 追いながら ・・・・・・ ようやく ‘彼’ の 真 の ‘名前’ を 呼ぶ
「 ・・・・・・ 『 黒龍 』 ・・・・・・ けれども ほんとう は ・・・・・・ ほんとう の ・・・・・・ ‘ いろ ’ は ・・・・・・・・・ 」
し ぃ ゅ う う う う う う う う う ・ ・ ・
「 さあーて “ 姫様 ” ・・・・・・ オイタ は そんな トコ で ・・・・・・ 止めましょうねぇ ・・・・・・ 」
き ゃ ぁ し ゃ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ !!!
がががあああんんん !!! ばばばばああああんんんん!!! ぴしいっ! どどどどおおおおんんんん!!!
う〜 う〜 う〜 う〜 う〜 ・・・・・・ ううううーーーー ううううーーーー ううううーーーー ううううーーーー ・・・・・・・・・・・・・・
She Monkey MONSTER some time ... some day ...
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