2004夏・赤丸ジャンプ読みきり「しーもんきー」二次創作

S M  COCOON - strike blue  






ぶ ろ ろ ろ ろ ろ ろ ろ ろ ・ ・ ・ ・    き ぃ ぃ ぃ ・ ・ ・ ・    ぷ し ゅ う う う ・ ・ ・ ・


『 ・ ・ ・ UR関東バス ご利用ありがとうございます ・ ・ ・  泉坂高校前 ・ ・ ・ 泉坂高校前 です ・ ・ ・ ・ ・ ・ 』




邦夫たちの乗った高速バスが ようやく 泉坂高校前のバス停に到着する。


桜海本町のバス停からは たった ひとつ先の停留所なのだが  バスはその間を 泉坂市内を横断するように走る。


このバスは 終点の泉坂駅を目の前にして ラッシュ時の渋滞を掻き分け 余分に10分以上もかけて 泉坂高校前まで 足を伸ばすのだ。


だから 桜海本町と泉坂高校前 に 立寄るバスは  朝の この一本だけで  あとは みんな 泉坂駅のバスセンターへ直行してしまう。


よって 邦夫たち の 帰り は   バスの出る 泉坂駅のバスセンター まで 歩く事と なる。




ぷ ぅ ー   ぷ し ゅ う   ば た ん




バスの折戸が 折りたたまれ 乗降口 が 開いた。




たん  たん  たん     たん  たん  たん     たん  たん  たん     たん  たん  たん




パスを運転手に見せながら 邦夫たち四人が ハイデッカーのステップを 駆け下りていった。


バスを降りて すぐ  邦夫が ひとつ おおきく背伸びする。




「 う〜ん (背伸び)  ヤット着いたぁ (ノビノビ) 」




リクライニングなシートでも さすがに 二時間近くも座っていると 背伸びのひとつもしたくなる。


背伸びする邦夫の その背後から声をかける 同じ泉坂高校の制服を身を包む ひとりの女子があった。




「 おはよう  邦夫くん 」




ショートの髪を 向かって右側  ヘヤピンで留め   少しキツメのまなざし  凛とした容姿  そして  もの言い


右手を軽く上げ 朝日のように明るく微笑む  彼女




「 あっ  おはようございます  美鈴先輩 」



振り返り さわやかに微笑み返す  邦夫


邦夫に声をかけて来たのは  邦夫が所属する映像研究部の一年先輩  外村美鈴  だった




「 おはよう ・・・ てぇ あなた ・・・ なぁに? パン屑だらけでぇ ・・・ もぉ みっともない 」


「 ああっ ほんとだ 」


「 ほらあ!  ちょっと じっとしてな! 」




パタ  パタ  パタ  パタ  パタ  パタ




邦夫に寄り添い  取り出した白いハンカチーフで 邦夫の上着の胸元に こびり付いたパン屑を払う 美鈴




「 あ   す すいません  先輩 」



ちょっと 表情を赤らめ 照れる  邦夫



「 あなた は ウチの男子じゃあ 唯一の マトモな部員 なんだから ・・・ あなたをスカウトした 私のコトも少しは考えてよね ・・・ 」



パタ  パタ  パタ  パタ  パタ  パタ



邦夫にピッタリと寄り添い  邦夫を見上げながら ハンカチーフを振る 美鈴






「 すいません  今朝 ちょっと ばたばた しちゃって ・・・ 」




「 いつものことでしょ ばたばたって・・・  ちゃんと 食事してる?  なんなら  あたし‘また’作りに行こうか? 」




「 いえ・・・  わるいっすよ 先輩・・・  この前みたいに 終バス無くなっちゃったりしたら・・・ 」




「 気にしないの!  あたし が ‘好き’で やってるんだから・・・  ‘好き’・・・で・・・ 」




邦夫と絡み合わせていた視線を   少し右下に外して・・・ 美鈴




「 ・・・ せんぱい ・・・ 」




「 ほら・・・ きれいになった 」




互いの息がかからんばかりに  邦夫に寄り添いながら  白いハンカチーフを たたみ ポケットにしまう 美鈴




「 ほら・・・  ここも・・・  襟元 ちゃんとする・・・ 」




すこし背伸びして  美鈴の やわらかな細い白い指先が  邦夫の乱れている  襟元を直す




ふ   ん   わ   か  ・  ・  ・




意外に ふくよかな 美鈴の胸の 優しい膨らみが  邦夫  の みぞおち の あたりに あたる




ふ   ん   わ   り    ・   ・   ・




意外に ふくよかな 美鈴の胸の 優しいかおりが  邦夫  の  鼻くう の 奥あたり を くすぐる




そして・・・




意外に ふくよかな 美鈴の胸の・・・     優しい胸元が・・・    その谷間が・・・   




    !   !   !     ど     き     ん    !   !   !




・・・・・・・・・ 見下ろす  邦夫  の  おとこ  を  誘っている ・・・・・・・・・





「 ・・・ ・・・ ・・・ せんぱい 」




邦夫 が すこし グラッ と しかけている


いや  邦夫でなくても  グラリ と 来るわなぁ  こりゃあ




「 はい なおった 」




美鈴が すこし 乱れていた 邦夫の襟元を 整え終わる


邦夫の すこし 乱れていた 襟元を整え終わったあとも


美鈴が 邦夫から 距離をとることは   なかった・・・



そして



邦夫と 絡めている 視線を・・・


美鈴が 外す こと も    なかった・・・ ・・・ ・・・












えーと(ポリポリ…)・・・・・・


つまりぃー・・・・・・


てぇー・・・   言うかぁー・・・・・・


ようするにぃー・・・・・・


へぇー・・・    そぉーなんだぁー・・・・・・


邦夫タン   と   美鈴タン   てぇー・・・・・・


つまりはぁ・・・    そぉー ゆぅー   『 仲 』   なんだぁ・・・・・・


へぇ〜  へぇ〜  へぇ〜  へぇ〜    ♪  ト〜 リ〜 ビ〜 ア〜〜〜  ♪     へぇ〜   ・・・・・・・・・


「金の脳は メロンパン入れでぇーす」    「はーい いらっしゃーい♪」




















ちょっと   まてぃ!!!         それじゃあ   紋樹タン  の  立場はぁ〜???           ヲイ ! ゴラァ ! ! !




















「 お 〜 ほ ほ ほ ほ ぉ ・ ・ ・   邦 夫 ぉ ぉ    お 先 に 失 礼 ぇ 〜   ご ゆ っ く り い ぃ ぃ ぃ 」


ナゼか  カマっぽく   柿野  が


「 む 〜 ふ ふ ふ ふ ぅ ・ ・ ・  ク ニ ち ぁ ゃ 〜 ん   この 年上ごろしぃ〜  に く い ね ぇ 〜  こ の こ の ぉ ぉ 」


ナゾの  含み笑いで   種田  が


「 先輩! ひとこと言っておきますけど、 こんなんでも 一応コイツ おとこ ですから  ぜったぁーい 気を許さないように! それじゃっ! 」


ナントなく  恋敵(ライバル)???   御三須日  が




二人が  すっかり ストロベリートリップ している その脇を


三人が  それぞれ  ひとこえ かけて 通り過ぎる     泉坂高校前バス停  から  泉坂高校へ向かう


四人が  降りたバス停から  泉坂高校正門までは  すこし  離れている





ふつうに歩いて  二分ほど・・・・・・   それでも すこしは いっしょに 歩ける・・・・・・


そう・・・    美鈴は このバス停で 邦夫を 待っていたのだ・・・・・・・






「 い ・・・ いこうか ・・・ 邦夫くん 」



絡めていた視線を 右下に外しながら 美鈴   ・・・  誰も 見たことの無い すこし 恥じらいの 表情



「 すいません 先輩・・・   アイツら  勝手なコトばかり・・・ 」



スッと  美鈴の右手に進んで 邦夫  ・・・  優しく自然に 美鈴をエスコートする



「 いいのよ・・・  あたしこそ 邦夫くん に・・・  そんなに映画に興味無かったのに 無理言って・・・ ごめんね 」



すこし すまなそうに ・・・ 美鈴 が 目を伏せる



「 たまたま あの日・・・  教室を間違えて・・・  映研の部室に入ってきた あなた を・・・  あたし・・・・・・ 」



美鈴は あの日 桜の花が散る頃    美鈴ひとり が たたずむ 映研の部室に ふらりと入ってきた 邦夫 を 思い出す



「 そんな・・・ 先輩の頼みだったら 俺・・・   それに・・・ ほんとうは・・・ 」



ほんとうは・・・?     ほんとうは・・・なに?     ほんとうに 邦夫は 教室を間違えて 入ってきたのだろうか・・・・・・



「 それに やってみると 結構面白いッスね  映画作り も! 」



すこし あわてて・・・  なにかを言い隠すように 邦夫 が 美鈴を励ます



「 ・・・・・・ありがと ・・・邦夫 」



まわりに 誰も いなくなったから・・・    小声で・・・  やっと・・・  ポツリと・・・    美鈴 






ど   き   ん  !






美鈴 の 薔薇色の唇 が      いつもとは 少し違う 表情 で      邦夫 を 呼ぶ



「 あ・・・ え・・・ えと・・・ 先輩・・・・・・    こ・・・  小宮山先輩・・・から・・・   な・・・   なんの連絡も・・・ 無いんですか? 」



慌てて 焦って  邦夫    話題を 無理矢理 切り変える


10日ほど前から  行方不明の映研の魔除け・・・  失礼っ!  映研の先輩 三年生の小宮山力也 の コト を 聞く



「 なんにも ・・・ 10日も 連絡が 無い なんて ・・・ あんなヤツでも ・・・ 」






そう 言いかける 美鈴


それ を 聞く 邦夫


その 二人の視界 に


この ところ  泉坂高校正門周辺  を  騒がしている


その 彼等の姿    が    飛び込んで来る






「 相変わらず ・・・ あいつら ・・・ 」


「 アレが  あの人達の  商売  だからね ・・・ しかたないよ ・・・ 」







眉間に シワを寄せる 邦夫  に   美鈴 が なだめるように言葉 を かける







泉坂高校の正門前は  今朝も 沢山の男たち女たち  そして  特殊な用途の車たち  そして  野次馬たち

泉坂高校の正門前は  もうこの一月程  あんな様子になっている

泉坂高校の正門前は  今や 日本一の  超有名スポット  と なっている




『 はいスタジオさん聞こえてます…  えー 今朝も ラグビー部ほか各運動部の “集団失踪事件” が発生しました ココ 県立泉坂高校
  
 の正門前から お送りいたします。 えー 失踪しております生徒は その後の県警の発表で さらに増えまして その数 76人になりました。
 
 全員が男子生徒で おもに運動部に所属する “体格の良い生徒” ばかりが 突然 行方不明になっていると云う事です、 このことから… 』




マイクを 握り締め


構えるカメラのレンズに 向かって


熱っぽく  センセーショナル に  語りかける  レポーター


それは ひとり だけじゃない 


その 向こうでも




『 ‥‥一番最初の集団失踪は ラグビー部の新入部員歓迎会の際に発生したらしい事を先日の放送で お伝えいたしましたが

 わたくしどもの 独自の調査で 新たなる事実が判明致しました! 実は失踪したラグビー部員たちが その直前、 泉坂市内  

 にあります とある私立女子高校の生徒達との間で行われました いわゆる“合コン”に 出ていたらしい事が確認されま‥‥ 』




そして  その  向こうでも




『 あと 一分で 来まーす!  カメラさーん 音声さーん よろしくー! 』




パラボラアンテナを屋根に積んだ 窓の無い派手なカラーリングのマイクロバスの前を 行ったり来たりするスタッフの群れ


カメラマンに担がれる ハイ-ビジョンなカメラ


担がれた カメラの砲眼のひとつが   邦夫と美鈴  に 向けられる





( ああ そうか ・・・  だから 先輩 ・・・ )






邦夫はなぜ 美鈴が さっき自分の身なりを整えてくれたのか ようやく 理解した






すると ・・・ ・・・ ・・・






すっ






やわらかい  美鈴の右の指先が  邦夫の左の掌を 包む




「 ・・・・・・ いやよ 」


足元から  すこし さきの   朝日に 照らされた 歩道を   見詰めながら つぶやく




「 ・・・・・・・・・ 」


その 視線を 追いかけながら  無言で




「 みんな みたいに ・・・・・・ 居なくなったりしたら ・・・・・・ あたし ・・・・・・  」


切れ長の 瞳 が   せつなく 絡みつく






きゅ






やわらかい  美鈴の右の指先に   ちから が 加わる



「 ・・・・・・・・・ だいじょうぶですよ! 」






ぎゅ






美鈴の右手を握り返しながら  邦夫は答える






「 あの “ひと” に よると  ・・・  俺 ・・・ “千年皇子” らしいから ・・・ ・・・ ・・・ 」




「 邦夫・・・・・・ 」






あんな   奇怪な体験   を   顔を上げ  朝日の中に  さらり  と  言い流す    邦夫



ただ能天気なだけなのか    それとも    本当になんにも考えていないモノなのか



邦夫の  この性格は   ときどき  美鈴にも   わからなく  なる  とき  がある






きいーん こおーん      かあーん こおーん      きいーん こおーん      かあーん こおーん






ありふれた響き の  泉坂高校 の 予鈴  が  鳴り始めた






「 行きましょう  先輩! 」






美鈴の手を引き  駆け出す  邦夫






「 あ 」






一歩遅れて  駆け出す  美鈴






たた たたん     たた たたん    たた たたん    たた  たたん    たた たたん    たた  たたん   ・・・・・・






ふたり  の  駆け出した  靴音?



いや   遠くから  聞こえて来た   列車の音 ・・・






きいーん こおーん      かあーん こおーん      きいーん こおーん      かあーん こおーん






それ に 重なって  ありふれた響き の  泉坂高校 の 予鈴  が  鳴り始めた ・・・









『 ・・・はい おはようございます・・・  今朝も何一つ変わりの無いように見えます  ココ  泉坂高校ですが  残念な事に  
 
  昨夜も 新たな行方不明者が 出ている事が わかりました ・・・・・・  新たに行方が わからなくなっているのは ・・・・・・・・・・ 』









レポーターたち の さらなる  喧騒 ・・・









その 脇 を ふたり 駆け抜ける ・・・









たた たたん     たた たたん    たた たたん    たた  たたん    たた たたん    たた  たたん   ・・・・・・









ふたり の  駆ける  靴音 にも似た   遠い列車の音 を 聞きながら




あの  夜にも  聞こえていた   遠い列車の音 を 聞きながら




美鈴は  邦夫と  ふたりで   経験した   あの   怪奇な春の夜を   思い返していた ・・・ ・・・ ・・・












きいーん こおーん      かあーん こおーん      きいーん こおーん      かあーん こおーん








































S  M    COCOON








































き  ゃ  ぁ   し  ゃ  あ  あ  あ  あ  ぁ  ぁ  ぁ  ぁ  あ  あ  あ  あ  ぁ  ぁ  ぁ  ぁ  あ  あ  あ ! ! !












「 え? 」





美鈴は  その夜  確かに  その“鳴き声”を 聞いた






「 ねえ  邦夫…くん 」






美鈴は  泉坂駅につづく 薄暗い歩道を いっしょに歩く   映像研究部の今年唯一の新入部員  伊勢邦夫  の 名 を 呼ぶ






「 いまの ・・・ 聞こえた ・・・ よね 」






どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき






ただ  そう  聞いただけなのに ・・・






美鈴 は  鼓動 が 速まるのが  抑えられなかった ・・・







どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき






無理も無い






考えてみたら






兄以外の  男性  と  並んで






二人っきりで歩く  なんて






コレが 初めての  経験  である







どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき







「 ねえ  邦夫…くん てばぁ 」






少し  先を  行きかけた  邦夫の  背中に  呼びかける






美鈴は 今日、 代理で出た 部長会 で 遅くなった






本来なら  監督で部長の  真中淳平  が  出席しなければならないのだが・・・






じつは新学年となって以来  真中はもちろん  美鈴以外の部員は  誰一人として  映研の部室に  顔を出していなかった






あの 憧れる 聡明な先輩   東城 綾   ですら  映研の部室に 一度も 顔 を 出していない






「今年は 先輩達 ・・・ 受験だから ・・・」






と  半ば  今年の映研の活動は 諦めていた・・・      しかし・・・






美鈴は  それでも   毎日 放課後   映研の部室に通った・・・    なぜなら・・・






「誰か ・・・ 来るかもしれないから ・・・」












そして・・・    邦夫が 来た・・・












そして・・・     邦夫と  二人きりの  放課後  が   半月ほど続き・・・












今日  はじめて  ふたりで  帰る・・・












どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき













美鈴は・・・



随分前から  自分の こころ の変化に  気付いていた・・・



そして・・・



随分前から  邦夫の こころ のなかに  誰かが 住んでいることも・・・









「 鳥の鳴き声じゃないかぁ? 」



「 えっ ・・・ あっ ・・・ そっ そうか ・・・ 春だから 鳥たち も 繁殖期 なんだね ・・・ 」



自分から聞いておいて  一瞬  返答に詰まる  美鈴



その返答も  「 繁殖期 」  だなんて ・・・・・・



( なっ・・・  なんてコト  答えてんのよ あたし ・・・・・・ 恥かしい ・・・・・・ )






どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき






( 邦夫…くん とは ・・・ もうすぐ そこの 駅のバスセンターで お別れなんだから ・・・ もっと 気の利いたコト話さなきゃ ・・・ )






どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき






( じゃないと ・・・ あたし ・・・ その ひと に ・・・ 勝てない ・・・ )






どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき   どきどきどき






きゅ!






すこし  先を  ゆく  邦夫 の 背中 を 見詰めながら  唇を噛む  美鈴







邦夫  の  はなし  に  いつも  出てくる


行き帰りのバスで  いつも  いっしょになると云う


桜海学園 の 三年生    ・・・  トモコ ・・・







( もしかしたら 駅のバスセンターで・・・  その ひと と・・・  逢えるかも・・・ )








ぎゅっ!







まだ見ぬ  恋敵(ライバル)の姿を アレコレ 想像して  気持ちを 引き締める  美鈴













たた たたん     たた たたん    たた たたん    たた  たたん    たた たたん    たた  たたん   ・・・・・・












春の夜風にのって  泉坂駅に滑り込んでゆく  列車の響き が 夜空から聞こえて来る












美鈴は ふと  なにかの気配を  その夜空のなかに みた












「 えっ? 」












美鈴が  その物体  を 見上げた視界の なかに  認めた  次の瞬間! 






ふわあああぁぁぁ






美鈴の  まとめた髪が  乱れた!









「 きゃっ! 」









し  ゅ  う  う  う  ぅ  ぅ  ぅ  お  お  お  お  お  お  ぉ  ぉ  ぉ  ぉ  ぉ  ぉ  お  お  お  お  お  お 




ど  お  ぉ  す  う  う  う  ぅ  ぅ  ぅ  ん  ん  ん  ・  ・  ・  ・  ・  ・




ざ  ざ  ざ  ざ  あ  あ  あ  あ  ぁ  ぁ  ぁ  ぁ  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








二人の頭上   ほんの   数メートルの  ところ  を  かすめ



空気を切り裂いた   微かな音の緒を   残し



飛んで来た    ナニ か ・・・







二人の後方   ほんの   数メートル の  ところ  の  地面に



大地を響かせた   派手な音を    立て   



叩き付けられた    ナニ か ・・・







二人の後方   さらに    数メートル  



引きずられる様に  大地をすべる



落ちて来た    ナニ か ・・・










ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん











赤く   淡く  輝きながら   またたきながら



大きく   小さく   膨らみながら   へこみながら



まるで   呼吸を   しているかのような    生きているかのような



その    ナニか   ・・・









ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん









「 な ・・・ ナニ ・・・ コレ ・・・ 」









ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん










「 なんだ ・・・ コレ ・・・ 」











ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん












赤く   淡く  輝きながら   またたきながら



大きく   小さく   膨らみながら   へこみながら



まるで   呼吸を   しているかのような    生きているかのような



その    巨大な  ・・・    ナニか ・・・     ソレは ・・・ ・・・ ・・・












「 コレは ・・・    まるで   繭(まゆ)  じゃ  ないか ・・・ ・・・ ・・・ 」













ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん   ・・・   ど き ん  ・・・  ど き ん  ・・・  ど き ん




















She  Monkey    COCOON                    some time ...   some day ...


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