2人の真中淳平〜プロローグ - れいじ様


真夏の日差しが1人の少年を照らしていた。

「やっべーこのままじゃ遅刻する!!」
そう1人叫ぶと同時に彼は通学路を全力で走り始めた。
この走る少年の名は真中淳平。
彼は普段起きる時間より大幅に遅れて起床したため学校に遅刻しそうなのである。

「一限は黒川先生の授業だから遅刻したらどうなるかわからない…急がないと。」


そしてもう1人の淳平も全く同じ状況にいた。

「やばい!!やばいよ!!!早くしないと…西野は俺の事置いて先学校行ってるしさーまぁ寝坊した俺が悪いんだけど…」

そんな2人はある曲がり角にたどり着いた。その瞬間、

「「いてっ」」
何かにぶつかった事を理解した2人は目の前を見た。

「「…あれ?なんもない?」」
まるで空気の壁にぶつかったかのような感覚。不思議に思った2人だがそんな事を気にしている余裕はなかった…

「「なんだ今の?ってそれよりも早く行かないと…」」

2人にはお互いが見えなかった。それもそのはず。2人は別世界の人間同士なのだから…
なぜその2人がこうしてぶつかったのかはわからない。ただもし神族がいるならこれは神様のいたずらであろう。そのいたずらにより、この2人はこれをきっかけに大きく人生を変えることとなるだろう。そしてそれと同時に周囲に大きな影響を与える事にもなるのだろう。なぜなら2人は自分ともう1人の世界がお互いに入れ替わってしまったからだ。


 



2人の真中淳平 捕捉1


多分、私みたいなのが書いたらすごく分かりにくくなるので捕捉です。

【登場人物について】
真中淳平
最初に出てきた淳平と後から出てきた淳平がいますよね?
これからはタイトルをside A、side Bとします。
例えば第1話 side Aみたいな感じです。
で、最初に出てきた淳平がside Aの主人公です。side Aの淳平は原作と同じような立ち位置と思って下さい。ただside Bの淳平が本来いる世界にいるわけですが。
side Bの淳平は後から出てきた淳平です。side Aの淳平と同じように、本来side Aのいる世界に飛ばされてます。side Bの淳平がどんな人物かはこれから展開していくお話にて。

西野つかさ
side Aの西野つかさ
原作と同じような感じです。ただ違うのは真中と付き合っています。
side Bの西野つかさ
side Bの淳平の幼なじみであり、泉坂に進学しています。密かに淳平に思いを寄せるが、幼なじみゆえその関係を壊したくなく動けない。

東城綾
side Aでは原作と同じ感じで。ただ西野と淳平が付き合っているため少し積極的です。
side Bでもあえて原作と同じ感じです。ただ淳平が少し違うのでそれにより多少の違いがあります。

北大路さつき
side Aでは原作と変わらず、何があっても積極的です。ただ西野と淳平の関係により、真中争奪戦からは身を引いています。
side Bでは普通に登場してもただ積極的なだけではつまらないので、芸能人という設定にしておきます。

南戸唯
side Aでは原作通り。争奪戦には参加しません。
side Bも原作とあまり変わりせんが、淳平と西野が幼なじみなので唯は西野とも幼なじみです。ちなみに泉坂に進学し西野の気持ちも知っています。

外村美鈴
side A原作通り
side B西野と同じく淳平に密かに好意を持つ。

端本ちなみ、向井こずえ
side A、Bともに原作通り。





2人の真中淳平 捕捉2

外村ヒロシ、小宮山力也
side A、Bともに原作に近い。そしてすごくいい奴。

大草
side A、Bともに原作に近いが、Aは西野を諦めているが、Bでは西野は淳平と何もないため積極的である。

天地、東尾繭子
side A、Bともに原作に近い。ただside Bの繭子は淳平がだれとも付き合ってないので何かと関わってきます。

登場人物はこれくらいです。実際あまり出て来なかったりしますが気にしないで下さい。


【物語について】
プロローグを書きましたが、まず最初は2人の淳平とも本来いる世界での生活を書きます。理由はややこしくなりすぎないよいにです。このまま書いたら私もわからなくなりそうなので…
だから最初は、
2人の真中淳平 第−1話 side Aとなる予定です。
マイナスとなります。

なぜこのようなややこしい設定にしたかというと、普通に恋愛してるだけなら既に素晴らしい書き手の方々が書いてるからです。それならいっそ変わった世界を書こうと思ったからです。





2人の真中淳平 第−1話 side A


世界が変わる数日前…
少年の心は、どこまでも雲ひとつない今日の青空のように晴れていた…


2人の真中淳平 第−1話 side A

その少年真中淳平は高校3年生なので受験に苦悩するはずなのだが、今の彼にとっては受験よりも目の前の光景に心を踊らせていた。

さかのぼる事数分前

「予定よりちょっと早く来ちゃったかな?でも誰か来るのを楽しみに待つのってなんかいいかも。」
そんな事をぼやいてると、ふいに背中に何がのしかかる。

「お待たせー淳平君♪待った?」

「いや、俺も今きたとこだよ西野。」
そう彼は西野つかさを待っていた。だが彼のこの一言により待ち焦がれた彼女は少しむくれている。

西野「むー」

「ど、どうしたの?」
やべっ俺なんかしたっけ?

西野「…名前」

「えっ?」

西野「名前で呼んでくれなきゃやだよ…ねぇあたしたちつきあってるんだよね?」

また俺は西野をいやつかさにこんな顔をさせてしまった…これからはつかさの笑顔を守ろうって決めたのに…

「…ごめんな」
淳平の表情は暗かった。

西野「もう!なんて顔してるんだよ!!これからデートなんだからもっと明るい顔しろよな!!」

「そうだな!ごめんつかさ。」

西野「名字で呼んだから減点50、暗い顔したから減点50。」

それって0だよね…?

西野「でも!名前で呼んでくれたからプラス100点だよ♪」
顔を朱に染めながらも、眩しいくらいとびきりの笑顔を淳平に向けた。

「ありがと。じゃあどこか行こっか!」

西野「どこ行くか決めてないの?…まぁ淳平君らしいね。」

笑いながらつかさはそう言うけど俺ってそんな風に思われてるの…?

西野「ん?どうしたの?」

「い、いやなんでもないよ。」

西野「まぁいいや。時間も時間だしご飯食べようよ。お弁当作ってきたから公園で食べよう!」
そう言って有無を言わさず手をしっかりと握り引っ張る西野。

あぁこれなんだ。俺のつかさ好きなところのひとつは…でもたまには俺がリードを…無理かな。トホホ我ながら情けないな。

そうして公園に着いた

西野「あっ!あそこのベンチ空いてるからあそこに座って食べよ?」

そして冒頭にもどる


こんなにかわいいつかさとまたこうしていられるって幸せだな〜俺。つかさって顔だけじゃなくて性格もすごく良くてこんないい子普通いないよな。
ついつい顔がニヤける淳平。

西野「なにニヤニヤしてんだよ?またえっちな事考えてたんだろ?」

「えっ?違うよ。こんなにかわいいつかさとまた一緒にいられるなんて俺幸せだなーって…」
つい本音を喋りとたんに恥ずかしくなる。

西野「えっ?本当?」

「う、うん」

西野「…あたしも。あたしもすごく幸せ!!すごくつらい時もあったけど、これからもこうしていられるならあたしはもう何もいらないよ♪」

「俺も。俺もつかさといられるなら何もいらない!」

西野「でもあたし欲張りだから、欲張りだからやっぱり証拠がほしいかも…ねっ?」
そう言って顔を俯ける西野。

「俺も欲張りかも…」

顔を上げて何かを待つ西野とそれに答える真中。顔が近づき自然と目をつむる2人。そして2つの影が重なり1つの影となった…そんな2人を今日の青空と太陽は祝福しているかのようだった…それからしばらくして2人は離れた。

西野「じゃあお弁当食べよっか?」

「うん。」

西野「どう?おいしい?」

「すっげーうまいよ!!どっかの高級レストランみたいだよ!!」

西野「またまたーお世辞言っちゃって!」

「いやお世辞とかじゃなくて本当にうまいって!!」

西野「知ってる。だって淳平君お世辞言えるほど器用じゃないもんね♪だから余計に嬉しいんだ。」

お互いに照れてしまい少しの間沈黙が流れた。そして沈黙をやぶったのは…

西野「…ねぇ。もっとおいしく食べる方法知ってる?」

「?わかんないけど充分おいしいよ?」

西野「こうするの。はい!あーん♪」

「えぇっ!恥ずかしいよこんなの!!」

西野「…嫌?」

そんな上目遣い反則だよ…

「嫌じゃないよ。むしろ嬉しいよ…」

西野「じゃあは〜や〜く〜ほらあーん♪」

パク

「もっとうまくなったよ!」
少し照れながら笑顔で喋る淳平。

西野「本当?じゃああたしにもして!」

「わかった。はいあーん。」

パク

西野「うん。おいしいね♪」

そして弁当を食べて、それからカラオケやゲーセンに行ったりして遊んだ。そして帰り道

西野「今日のデート楽しかった〜♪」

「俺もすっげー楽しかったよ!つかさをすごい近くに感じられて…これからもずっと一緒にいられると思うとすげー嬉しい。」

西野「…うん。そうだねこれからもずっと一緒にいられたらいいね…」

寂しい表情を見せた西野を淳平は見逃さなかった。

「どうしたの?なんか元気ないけど?」

西野「えっ?なんでもないよ!!それより送ってくれてありがと♪」

「おぅ!じゃあまたな!!」

西野「うん。」
そう言って目をつむる西野。

「なに?どうしたの?」

西野「なにって決まってんじゃん。早くしてよ!」

やっぱり。今なら周りに人いないし…

そして2人は今日2度目のキスをした。

西野「今日のデート楽しかった!またデートしようねぇーっ!西野つかさ!西野つかさに一票よろしく〜」

そう言って西野は家に帰った…


そういえば最後のつかさの寂しそうな表情はなんだんたんだろう?まぁ次会うのもすぐだしそん時聞けばいいか。急がなくても時間はあるんだし。


淳平君最後なにか気づいちゃったかな?でも言えないよ…あんなに楽しそうなのに。それにあたしもこんなにも幸せな気持ちなんだもん。言ったら今の関係が壊れてしまいそうで…それがすごく怖い…言えないよ。あたしがパリに行くだなんて…


2人は各々考えながらも眠りについた。


さっきの会話がこの世界の淳平と西野の交わす最後の会話になるとも知らずに…




2人の真中淳平 第−1話 side B

世界が変わる前日のもう1人の淳平は、自分の夢に向かって努力していた。


2人の真中淳平 第−1話 side B


こちらの淳平の夢とは、将来科学者になり、たくさんの発明品を世に出したいらしい。今日も放課後、部活で何かせっせと作業をしていた。

「ふぅやっと終わったー」
どうやら何かできたらしく、淳平はせわしなく動いてた手を止めた。それを見ていた少女は淳平に話しかける。

「おっ!淳平君完成したの?」

「まぁ一応な…上手くできてるか試さないとわかんないけどな。」

「で、何作ってたの?」

その一言を聞いて溜め息を吐いた。

「はぁー…あのなぁ仮にも西野も科学研究部の一員なら何作ってるか知っとけよなー」

「そうは言っても、ただいるだけだしさーしょうがないじゃん?そんなに興味あるわけじゃないしさー」
西野と呼ばれた少女はあっけらかんとした態度で返した。

「じゃあなんでここに入ったんだよ!?」

淳平が至極当然の質問をした。すると西野は突然頬を朱に染める。

(そ、それゃあ淳平君と一緒にいたいから…なんて言えないよね…)

西野の考えてる事なんてわからない淳平は疑問符を頭に浮かべていた。

「だってほら…ね?」

「『だってほら…ね?』じゃわかんねーよ。」

「うーん…ほら昔から淳平の発明品見るのはあたしの役目じゃん?だからだよ!!」

「昔のって全部失敗作だけどな!ところで熱でもあんの?顔赤いよ?」

淳平は笑いながら答える。

「ね、熱なんかないよ!っと。それよりもう結構いい時間だし、終わったなら帰らない?」

「待て待て。まだ映研のやつらに見せてないし、実験してみないと。」

「えー。どうせまた東城さんに会いに行きたいだけでしょ?」

西野がそう呟くと今度は淳平が頬を染めた。

「ち、違うよ。今回は外村に見せるんだよ!」

「…今回は?」

「しまった…」

「それにそんなに顔真っ赤にして反論しても説得力ないぞ!」

「ま、まぁとりあえず行こうか。」

「はいはい。」
(全く人の気も知らないで…)

「で、結局何作ったの?」

「おっ!気になる?聞いて驚くなよ。」
淳平はたっぷりためて言い放つ。

「…物を異世界に送る、もしくは引き寄せる大傑作だ!」