素顔 7 - 金魚 様
素顔7 〜勘の鋭い仔〜
「はぁ!?」
つかさの声が近所に響き渡る
隣のおばさんが外に飛び出してつかさに尋ねた
「つかさちゃん、どうしたの!?」
つかさは慌てて「なんでもない」と答え、
恥ずかしそうに家の中に入っていった
(一体どういうこと!?なんか頭の中がぐちゃぐちゃだよ〜)
つかさはとりあえず自分の部屋に向かった
ベットに座って携帯を手に取る
(淳平くんに電話してみよう)
そう思ったとき、電話がかかってきた
相手はトモコからだった
「もしもし?」
受話器の向こう側から明るいトモコの声が聞こえてきた
後ろで男の声がするのは多分、外村だろう
「トモコ!なんかね・・・」
淳平に話そうと思っていたことだが、この際誰でもいいと話をしようとした
その声は、トモコとかぶり、聞き流されてしまうのだが・・・
「それより、上手くいった?」
「え・・・??」
つかさはトモコの質問の意味が理解できなかった
つかさずそれを尋ねると
「昨日の夜、家に電話かかってきたわよ。つかさのお母さんから。こっちに来てないかって聞かれたから、「今日は泊まります」って答えてあげたわよ。一応、明日の夕方くらいに帰るって言って」
トモコから訳を聞いたつかさはやっと頭のもやもやがとれてベッドに寝転んだ
「ありがと!ほんとに助かったよぉ」
「お礼はいいからさ、代わりに昨日、何してたのか教えなさいよ」
「え・・・」
予想はしていたものの、やはり言葉が詰まる
つかさが黙っていると、受話器から外村の声が聞こえてきた
「真中つながりだろ?」
つかさやトモコも勘が鋭いが、外村も負けてはいない
(やっぱりお見通しか・・・。でも、話したら長くなりそう。ついでにあの薬のことも相談したいし)
「話せば長くなっちゃうから、今度でいい?」
「じゃぁ、来週の土曜日、この前のカフェでどう?」
「うぅ〜ん・・・。OK☆じゃぁ、トモコによろしく」
そう言って電話を切った
部屋は静かになった
下からかすかに物音が聞こえてくるくらいだ
(淳平くん・・・・・・・・・・・・・・)
暇になると、頭に浮かんでくる単語はこれしかない
ただ、淳平のことを考えて目をつぶっていた
淳平はというと・・・
(母さん、怒ってるかな・・・)
淳平もつかさ同様家の前に立ち尽くしていた
「ええぃ!こうなったらやけくそだぁ!」
淳平は勢いよくドアを開けた
『ガチャ』
「ヴッ・・・」
さっきの強気な行動はどこにいったのだろうか
一瞬で淳平の顔は真っ青になった
「か、母さん」
玄関掃除をしていた母と鉢合わせしてしまった
「おかえり」
「えっ・・・??」
淳平は怒られると思っていたので驚いた
(どうなってるんだ・・・)
淳平は、そのことをつかさに話したら、外村の家に泊まっていたことになっていた ということを知った
(よかったぁ〜母さんにばれなくてすんだぁ)
淳平も疲れたのか、ベッドに寝転び、目を閉じた
つづく