Preference  - WithWings  様




Prologue


一人の男が居酒屋から出てきた。

ひどく酔っている。何時間も飲んでいたのであろう。


「お客さん、タクシー呼びますか?」

「いいさいいさ、車で帰るらら」


もう呂律が回っていない。

「ちょっ、お客さん!危ないですよ。タクシー呼びますから、ちょっと待っててください」

「うるせぇ、俺は自分で帰るんらよ」

「大体、飲酒運転は違法です!」

「黙れ、俺は行く」

店員の忠告も無視して車に乗り込む。

そして、アクセル全開。ものすごい勢いで出発する。



「事故、起こさなきゃいいけど……」

「無駄、だったな。せっかく注意したのに」

「先輩。もし、事故なんて起こしちゃったらどうしましょう」

「安心しろ、お前は悪くない。しかし不安だ……」



翌日


『乗用車 高校生カップルに激突 飲酒運転か』


新聞を大きく飾る記事。やはり、昨日の男が事故を起こした。男は即死だったようだ。



「やっぱやっちゃっいましたね……」

「俺があの時止めていれば」

「でも、あの時のアレに何言っても無駄ですよ」

「ああ、そうかもな……。でも」

「そういえば、轢かれた高校生、意識不明ですって」

「らしいな。確か、カップルで歩いてたんだっけ?」

「はい。男のほうは無事だったらしいんですが、女の子が……」

「……」



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