雪の降る日は天気が悪い 悪いはずだよ雪が降る 12-1 - たゆ   


『鼓動』1


「・・・聞いていい?・・・み、耳をあてるよ・・・」

長い沈黙の後、真中がそろりそろりと耳を胸の真ん中に近づける。
胸の真ん中のボタンが丁度耳たぶに当る。
少し耳をずらしてみるが、当ててると頬や耳が痛くなってきそうだし聞こえにくい。

「ボタン・・・じゃまだよね・・・外すよ・・・」

一言ずつ溜めながら声を潜め話す。
真中以外に聞かれることもないが、その声はひそかにやさしい。

「えっ、いいの?」

「・・・ん・・・大丈夫だよ・・・」

真中の横で胸のボタンを一つ一つ外していく。
就寝時にはブラはしていない、生の白い柔肌がのぞく。
胸の下あたりのボタンを外した後、手が止まる。
これ以上外さなくても胸の間に耳は当てることは出来るのだから、外さなくてもいい。

しかし、つかさの指は再び動く。

真中と同じようにはだけた上半身になった、開いた場所は耳が当てられる程度に開いている。
白く抜けた柔らかな肌が覗いている。
そっと顔を近づけ無言のまま真中はためらう。
生の肌に触れるのは初めてだ。
でも胸の鼓動は聞きたい。
仰向けのつかさが苦しくないように、腕立て伏せの要領で身体を乗せ耳を当て、ゆっくりと触れていった。



12-2へつづく