エロパロ「おみまい」9(最終話) - takaci   様


その9


「あ・・・そ・・・その・・・ちょっと・・・」


淳平のぎらついた視線の意味はこずえも分かっていた。


そして、初めて目の当たりにする『男性の欲望』


拒否をするつもりは無いが、驚きと戸惑いが強くてまだ心の準備が出来ない。


だが淳平は待ってくれなかった。


こずえに覆いかぶさり、腰を沈めていこうとする。





「痛いっ!?」


一瞬、激痛が走り、こずえは思わずずり上がって逃げる。


「こ、こずえちゃん大丈夫・・・大丈夫だから・・・」


激しい興奮に包まれた淳平の眼は不気味な輝きを見せている。


現在の眼で『大丈夫』と言われても説得力は全くなく、むしろ恐怖が湧き上がってくる。


「真中さ・・・きゃっ!?」


こずえの身体は淳平に引っ張られて元の位置に戻された。


さらに肩の上に淳平の手が置かれ、上に逃げられないようにさせられる。


(怖い・・・怖いよお・・・)


上から覆いかぶさっている淳平にただならぬ威圧感を感じ、こずえの身体は小さく震え出す。


欲望でぎらつく眼はもはや『優しい淳平』ではない。


獲物を目の前にした『獣』の目である。





「いくよ・・・」


しかも感情が感じられない乾いた声。











こずえの恐怖はピークに達していた。










再び腰が沈められる。


そして、激痛・・・












「いやああああああああっ!!!!!やめてええええええええええっ!!!!!」




















(お、俺っていったい・・・)





この悲鳴が、淳平を元に戻した。





(こずえちゃん、震えてる・・・)


涙を流し、硬く目を閉じ、身体を大きく震わせながら苦痛を訴えるこずえの姿。





(俺、こずえちゃんを怖がらせてる・・・)





(男嫌いを治すどころか、ますます男嫌いにしちゃった?)





『獣』のままだったら何も感じなかっただろう。


だが我に帰った淳平には、こずえの脅える姿は大きな衝撃であり、また強烈な自責の念に駆られた。





先が僅かに進入していたが、もうそれ以上進む気は無い。


女芯から欲望を抜き、こずえに背を向ける淳平。


「こずえちゃん、本当にゴメン。これじゃあ無理やり襲ってるようなもんだよな」


肩を落とし、声には力が無い。















「真中さん・・・」


こずえは突然もとに戻った淳平にただ驚いている。


「俺なんかよりずっと優しくていい男はいっぱい居るから、だから・・・男嫌いに戻らないで欲しい」


「えっ?」


「襲った俺が言っても信じられないと思うけど、でも・・・俺なんかよりずっといい男を見つけてくれよな」


そして淳平はベッドから降りた。





(真中さんの背中、とても寂しそう。あたしと最後まで出来なかったから・・・)


(あたしが怖がって泣いちゃったから、真中さん落ち込んじゃった・・・)


(あたしから誘っておいて、あたしが拒否して・・・真中さんを苦しめちゃった・・・)


淳平はトランクスを穿き、Tシャツを着ようとしている。


(このままじゃ・・・ダメ!!)











「こ、こずえちゃん?」


シャツを着ようとした淳平の動きが止まった。


背中に感じる、柔らかく暖かい感触。


「真中さん・・・ごめんなさあい・・・あたし臆病で・・・泣いちゃったから・・・真中さん苦しめちゃって・・・」


背中越しに聞こえる涙で詰まったこずえの声。


「そ、そんなことないって!!そもそも俺が悪かったんだからさ!」


明るい声で励ます淳平。


「真中さんも・・・気持ちよくなりたかったんですよね?」


「へっ?」


「あたしだけ気持ちいい思いして・・・真中さんは・・・」


「だ、だからそんな事は気にしな・・・く・・・て・・・も・・・」





ビクンと淳平の身体が反応する。


こずえの手はトランクス越しに淳平の欲望に触れていた。





「真中さん・・・気持ちよく・・・してあげます・・・」


こずえは淳平の前にひざまづき、トランクスを下ろす。


欲望がぴょんと跳ね上がり一瞬驚くが、気を取り直しておずおずと右手で掴んだ。


「うわっ! こ、こずえ・・・ちゃん・・・」


今まで経験したことの無い大きな快感に包まれる。


(お、女の子に触られるのがこんなに気持ちいいなんて・・・)


襲い来る快感に圧倒される淳平だが、こずえはそれで終わらない。


欲望の先端を小さな口の中に入れてしまった。





「うう・・・こ、こずえ・・・ちゃん・・・   ちょっと・・・  」


快感が一気に増幅し、淳平の腰は小さく震え出している。





こずえは唇と舌を使い、欲望の先端を懸命にしゃぶっている。


さらに右手で本体をゆっくりとしごき、左手は袋を優しく撫でる。


どこでどのような形で知識を得たのかは不明だが、こずえのフェラは初めてとはとても思えない絶妙なものだった。


並の男でも長くは耐えられないほどの快感が送られており、しかもその相手は初めてフェラを受ける淳平である。


「うわっ!!  も、もう出るっ!! 」


淳平はあっという間に絶頂に達してしまった。


欲望が脈動し、おびただしい量の白濁の欲塊が先端から発射される。


「ひゃあっ!?」



熱い欲塊はまずこずえの口の中に放たれた。


驚いたこずえは顔を離すが、欲塊の発射は止まらない。


勢い良く放たれたそれはこずえの顔を、髪を、胸を汚していく・・・


(あ、熱くって・・・なんか・・・すごいよお・・・)


こずえは荒い息の中で、欲塊の熱さに淳平の、男のエネルギーを受け入れたように感じていた。


「こ、こずえ・・・ちゃん・・・」


淳平は自身から放たれたモノで汚れるこずえに対する罪悪感からか、背筋にすっと冷たいものが走っていた。




















ガチャ・・・


玄関の扉がゆっくりと開く。


学生服姿の淳平と、パジャマ姿のこずえが姿を表した。


数時間前と同じような光景。


まるで何も無かったかのように見えるふたり。









「真中さん、今日は本当にありがとうございました」


こずえは澄み切った笑顔でぺこんと頭を下げる。


「い、いや・・・それよりもう大丈夫?」


淳平は気まずそうにこずえにそう尋ねると、


「はい!もう咳も出なくなったし、なんか直っちゃったみたいです」


「そ、そう。 それはよかった!」


「・・・真中さんの、少し飲んじゃったから、それが効いたのかな?」


「ええっ!?」


「あっ!? やっやだあたしったら・・・」


こずえの爆弾発言に慌てる淳平。


それを言った本人も慌てている。


しばらくの間、顔を真っ赤にして固まるふたり。

















「じゃ、じゃあ・・・俺帰るから。一応今夜はちゃんと寝なきゃダメだよ」


「あ、は、はいっ!!じゃあ真中さんも気をつけて・・・」


「また・・・塾で会おうね。じゃあおやすみ」


気まずさに耐えかねた淳平はそそくさと逃げるように玄関から、こずえの家から立ち去っていった。









「おやすみなさい・・・」


こずえはやや寂しそうに淳平の背中を見送る。













(よかった。『また塾で会おう』って言ってくれた。あたし嫌われてなかった)


(でもあたし達ってすごい事しちゃったんだよね。やだあなんか急にドキドキしてきたよおお!!!)


(真中さん、次はもう絶対に逃げません。あたし頑張ります!!)


もう姿が見えなくなった淳平に向けて、こずえは愛情が込められたメッセージを飛ばしていた。













対する淳平。


(ヤレなくてがっかりしたけど、でもこれでよかったのかな?)


(こずえちゃんとそんな関係を持っちゃったら、こずえちゃんが俺の彼女になるんだよなあ)


(彼女でも悪くない、っつーか全然いいんだけど、西野と東城の事を考えるとなあ・・・)















『あんな事しといて今更そんな事言うなんて・・・もう最低!!』












「えっ!?」


ビクッとして辺りを見回す淳平。









「今、確かに西野の声が・・・」


だが、周辺につかさの姿は無い。










「い、居るわけないよな?そもそも西野がさっきの事を知るはずが・・・」


そう心に言い聞かせ再び帰路に眼を向けると、















『この浮気者おおおお!!!!!』





淳平の脳裏に激高したつかさの姿が鮮やかに浮かび上がる。


声は『淳平の心に潜むつかさ』から発せられていた。









(な、何でさっきは出てこなくって、今になって出て来るんだよお!?)


淳平は必死でつかさの姿を消そうとするが、消えるどころかますます鮮やかに浮かび上がってくる。


さらに、












『真中くん・・・信じてたのに・・・』












泣き顔の綾の姿まで浮かんできた。


(ふっふたりともゴメン!!! でも男があんな状況になったら・・・)












『問答無用!!!おしおきだああああ!!!』







『真中くん、これで反省して・・・』









東西美少女の後ろから、小さな槍を持った無数の黒い小悪魔が姿を現す。





そして一気に襲い掛かって来た。



















「うわあああああああああ・・・・・・」





断末魔の叫びがこだまする・・・










































翌日から、淳平は悪性の風邪で寝込んでしまった。


要はこずえの風邪がうつっただけなのだが、淳平の症状は重かった。


さらに風邪の苦しみに加え、(自業自得だが)心の痛み。





数日間、まさに『地獄の苦しみ』を味わう淳平であった。










おみまい  〜完〜