Life is ... 特別編: Snow - EVE   様




雪が降る


白い 白い 雪が降る


聖夜を飾る冬の妖精たちは


白く そしてどこか暖かい

























Life is ... 特別編:  Snow









拝啓、皆様お元気ですか?

どうも、僕です。

暮れも押し迫り、いよいよ受験生にとって最後の追い込みを掛けようというこの時期

紆余曲折を経て僕は今


『西野さん』のお宅にいます。


なんで? それは俺が聞きたい。

世間一般の受験生よろしく家でおとなしくコタツに入りながら問題集を解いていた俺。

窓の外を眺めながらも隣でわざとらしく「今日はホワイトクリスマスねぇ。」なんていかにも『てめぇ、今年も一人寂しくメリークリームソースってか? ああん?』と、テレパシーをおくってくる母親を断腸の思いで無視して勉強していたわけだ。

しかしシャーペンが半ばから折れるといった不思議現象には困ってしまい、まだ時間もあったので、近所のコンビニにでもシャーペンを求め兼気分転換に出かけた。

で、今に至る。・・・・あれ?

まぁそれはおいといて

彼女の部屋で、世間話に花を咲かせながらきっとペコちゃん家のケーキより1013倍うまいと思うケーキをご馳走になって紅茶をいただいた後、お代わりを持ってくるという彼女を待っているところなんだにゃぁ。

「おま「ああ!テンパッテルさ! だって、だってなんだもん!!」た…せ… じゅんぺい君?」

「あれ? あ・・ いや、なんでもないよ。ちょっとM77.89星雲からデンパがね・・・」

とっさにいつもの調子で変なことを言う小憎らしい My mouth。

「微妙にピントがずれてるけど、緊急の用?」

(え? 嘘、これ通じちゃう子? あれ〜?)

「いや、なんでもないんだ、わすれて。」

(西野つかさデンパちゃん疑惑。クラスで口を滑らせたら小宮山あたりに殺されるだろうな。)

「そう? あ、ハイこれお代わりの紅茶。」

かのじょはそういって、手に持ったお盆をテーブルの上においた。

「お、サンクス」

流れのまま紅茶のカップを手に取る。

「・・・はぁふぅ、うめぇ、家じゃあんまり紅茶なんか飲まないけど、これはうまいなぁ。」

『きっと君が入れてくれたお茶だからだよ・・・』ってあほか俺は。

「ふふふ、ありがと。お代わりはまだあるから遠慮しないでね。あ、ケーキは無いんだけどw」

(たしかに、学校の連中が夢中になるのも分かるわな。)

面と向かってそんな笑顔を向けられたらだれだってまさに『ICHIKORO』だろう。部屋の暖房や紅茶の熱では無いもので頬が火照るのが分かった。

さっきから記憶の中のいろんな映画の知識から、こういう場面でどういう行動を取ったら良いか、検索してるが・・・


『そっと男は女のおとがいに触れなんちゃらこうちゃら・・・』

などという、みゅんみゅんな電波しか出てこず・・・

「ねぇ、なにかきょ「だ〜!! 最近の映画は安易にそういうとこに持っていく傾向が強いのではなかですか!?」く・・・ はぁ?」

・・・あれ?

「なにかいった?」

「む〜・・・」

お、おこってらっしゃるよ? You got burning?

「そのぷくッとしたお顔がとってもキュー「じ ゅ ん ぺ い 君って結構人の話聞いてないことあるよね!?」トですよ?・・・・・・ すみません。」


こんなかんじで、改めなくても家に足を踏み入れた時点から何していいのやら・・・トホホ

「もう、さっきは何か曲でも聞かないかって言ったの。」

「あ、でも、そろそろ夜も遅いし帰ろうかなって・・・」

ていうか、そろそろ慣れない雰囲気のせいで、胃がね・・・

「え? もう?」

う・・・ そんなに残念そうな顔されると罪悪感が・・・

でも、もう限界なんだよ、ごめんね。

「う、うん、それに家にも連絡入れてないからさ・・・」


極力目をあわさないように、席を立ちながら彼女に言う。

(自分の頬に浮かんでいるのが変に硬い苦笑いで無いといいんだけどなぁ。)


そんな埒も無いことを思いながら、そばにおいておいたコートを持って彼女に向き直…





―――――― ずっと ずっと 気付いてほしかった ――――――




「・・・え・・・?」


胸に感じる彼女の体温と、鼻先に感じる彼女の髪



「いつかは気付いてくれるんじゃないかって思ってた」


「いつかあなたが答えてくれるとおもってたの」


なにもいえず彼女を見下ろしている俺


彼女は静かに俺を見上げて



―――― 結構がんばってアピールしてたんだけどなぁ ――――



濡れる瞳を揺らしながらこそばゆそうに苦笑した


「西野…」



―――― あなたが すき ――――



胸に置いた両手でキュッと俺の服の握り


「あなたが 好き」


もう一度 ささやいた



不安


焦り


期待


瞳はそれらすべてを含まず


ただ、愛を歌っていた ――――――――――





それまで何を思っていたかなんて全部吹き飛んで今は覚えてない


でも 胸に納まる彼女がひたすら愛しくて



思い切り抱きしめた



こういうとき大草見たく何か気の利いたことをいえたらいいんだけど


間違って無かったって思う


彼女の背中にまわした手と 俺の背中にまわった彼女の手


その夜 それらが離れることは無く



彼女がとても幸せそうだったから























妖精たちは踊る


溢れる愛を祝福(歌って)して


12月25日 聖夜


雪が降る


白い 白い 雪が降る